県民健康調査の目的に沿った調査と検査の継続と拡充を求める要望書


ひだんれん(原発事故被害者団体連絡会)

日本財団が9月に福島で行った国際会議での提言を元に、甲状腺検査を自主参加とするよう12月9日(金)に知事に提言しました。
これに対し、ひだんれんとして「甲状腺検査の継続と拡充を求める」要望書を県民健康調査課に、12月21日に提出します。

福島県知事 内堀雅雄様
県民健康調査課課長 小林弘幸様

県民健康調査の目的に沿った調査と検査の継続と拡充を求める要望書

原発事故被害者団体連絡会
共同代表 長谷川健一
同  武藤 類子

貴職の日頃のご尽力に敬意を表します。

12月10日付の福島民友新聞は、「原発事故当時18歳以下の県民を対象とした甲状腺検査を巡り、日本財団の笹川陽平会長は9日、県庁を訪れ、『検査を自 主参加にすべき』とする提言書を内堀雅雄知事に提出した。内堀知事は『大事な提言として受け止める』とし、提言を参考に県民健康調査検討委員会で議論を尽 くす考えを示した。」と報じました。
この提言書は、本年9月26日と27日に日本財団の主催で開かれた第5回福島国際専門家会議の内容を取りまとめたもので、IAEAやUNSCEAR、 WHO等国際機関メンバーらが、福島県で多発している甲状腺がんについて、福島原発事故による放射線被ばく由来ではなく「過剰診断」によるものとの指摘が なされています。

提言書3頁の「将来への提言」では、「1)福島県民健康調査事業、特に甲状腺超音波検査の今後については、地域のステークホルダー(利害関係者)、 すなわち直接その決定によって影響を受ける関係者の課題である。甲状腺検診プログラムは、個人と集団全体のリスクと便益、公衆衛生上の人的ならびにその他 の資源の需要、他の国々の同様なプログラムなどの分析を考慮した上で決定されなければならない。健康調査と甲状腺検診プログラムは自主参加であるべきであ る。」とありますが、そもそも甲状腺がんを含む異常が原発事故に起因する放射線被ばくによるものではなく、スクリーニング効果であると決めつけた前提に立 つ提言であり、この決めつけは、県民健康調査の検討委員会等で重ねてきた議論を蔑ろにするものです。

第24回県民健康調査検討委員会では、「二巡目の検査の評価が出るまで検査縮小の議論はすべきではない」「チェルノブイリの例では4、5年から低年層の甲 状腺ガンが急増することが観察されているので、実はこれからだ」「この検査は非常に特殊な事態の中で、非常に意味のある調査である」「最初は放射線の影響 は考えにくいという報告をしたが、今は懸念がある。放射線の影響を考慮しながら検証していくべき」という意見が出され、星座長も「受診率を上げるというの が一つの目標になっている」と述べています。また、福島の子どもの多くを執刀している福島医科大の鈴木眞一教授は、詳細な手術症例を報告し、125例のう ち5例を除く121例が、1センチ以上の腫瘍かまたはリンパ節転移があると説明し、「過剰診断」とはほど遠い治療実態を明らかにしました。また、片葉を摘 出した患者の中に、再発しているケースがあることも公の場で初めて認めました。

8月25日にも、福島県小児科医会は現行の甲状腺検査によって「被験者、家族のみなのらず一般県民にも不安が生じている」とし、同意を得られた人のみの検 査とするよう、規模の縮小を求めて福島県に要望書を提出しましたが、それに対して当事者団体である「311甲状腺がん家族の会」や国内外120を超える諸 団体からは、検査を縮小せず、むしろ拡充してほしいという要望書が提出されました。

福島県議会も9月の定例会で、「福島県民健康調査における甲状腺検診で、検査規模の縮小ではなく、検査の維持を求めることについて」の請願を全会一致で採択しました。

県民健康調査の目的は「東京電力福島第一原子力発電所事故による放射性物質の拡散や避難等を踏まえ、県民の被ばく線量の評価を行うとともに、県民の健康 状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、もって、将来にわたる県民の健康の維持、増進を図る」と要綱に記されています。
今回の日本財団の提言はこの検討委員会で確認されたことに逆行する内容と言えます。福島県も「甲状腺検査は、現時点での甲状腺の状況を把握するとともに、 子どもたちの健康を長期に見守るために、本人や保護者の皆様に安心していただくため、福島県が県民健康調査の一環として行っているものです。」と謳ってい ます。

一財団が開催した国際会議の提言にとらわれることなく、福島原発事故で被ばくした被害者の実態に真摯に向き合い、県民健康調査の本来の目的に立ち返っ て、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、将来にわたる県民の健康の維持、増進を遂行していただけますよう要望いたします。

要 望 事 項

1.県民健康調査の甲状腺がん検査は縮小せず、広く県民に周知して拡充、継続すること。

2.県民健康調査では、甲状腺がんに限らず検査項目を増やし、検査のスパンを短くして、県民健康調査の本来の目的に立ち返り、県民の健康状態を把握し、疾病の予防、早期発見、早期治療につなげ、将来にわたる県民の健康の維持、増進を遂行すること。

フクシマ・アクション・プロジェクト対県交渉


フクシマ・アクション・プロジェクト対県交渉 議事録

2016121916時~県庁

参加者:吉成宣子企画調整部文化スポーツ局生涯学習課課長、石田弘枝副課長

小池光一、小渕真理和田央子武藤類子、佐々木慶子、越智信一朗

吉成課長

 今年度は有識者会議を基にして、基本構想検討会議を始めています。お配りした資料の1ページ目をご覧ください。建設予定地の選定は、原発や中間貯蔵施設も見える場所で震災の記憶などの施設として適切ではということで決まりました。双葉町に産業交流センターが作られる予定で、復興記念公園も作られる予定です。アーカイブ施設には、原発災害を中心に記録を残す予定。復興記念公園は地震や津波を中心とした犠牲者への鎮魂と追悼のために。

 2ページ目について。展示部分を検討会議で話し合ってきました。それが3つの展示ポイントとなります。ここの会議では、原発事故が起きたところから始めるのではなく、原発災害の前にあった当たり前の日常や原発誘致で得たもの、失ったものを伝えてほしいという意見が出ていました。県民の思いとしては、大切な故郷を失わなければならなかったところはどういうところにあったのかなど、みんなに考えてほしいという声がありました。仮設住宅で家族がバラバラになったことなども伝わるようにという声もありました。

 3ページ目では、4つの視点、アーカイブでは福島独自の情報を展示する予定です。

 4ページ目は、意見をもらうための資料、イメージとして記載しています。多くの県民の方に参加してもらい、施設を支えてほしい。企画段階から加わってもらいたいということで、県民の方々から意見をもらいました。今年の820日にシンポジウムを三春町の環境創造センターで行い、150人ほど来場し、アンケートには88件ぐらいの回答がありました。広報をかなり行いました。

 67ページは、アンケート結果となります。

 第4回では、これらを踏まえて何をしていくか。場所が海に近く、この地域は津波の浸水もしている。ただ、その後には7mの防潮堤ができ、シュミレーションでは津波は来ないことになってる。検討会議は4回で検討を終えています。

佐々木慶子

企画の段階から県民参加型ということでとても期待しています。現状はどうでしょうか。

吉成課長

基本構想の検討の段階なので、その中で県民参加を謳いたいと思います。どういう組織づくりかはまだ。県民の皆さんの部屋が欲しいなど声が生まれて、施設設備が話し合われることになるかと思います。今回の構想会議で代表の方の声を伺っただけでなく、今後も県民のみなさんから意見を伺うような形を残していきたい。資料収集の一環としても。今後の予定としては、今年度中に基本構想を策定。次は実際の施設整備のための設計に移っていきます。ただ、予算のあてがまだついていないので、なかなか進められません。

和田央子

産業交流センターのイメージのような、アーカイブの方のイメージ図はないですか。

吉成課長

先入観をなくし、どのようにしたいのかというのを後々聞いていきたいと思っているのでイメージ図はつくっていません。そのためにも、予算が早く決まってほしいと考えています。

和田央子

予算の目標額はありますか。

吉成課長

ないです。

和田央子

県の予算ですか。

吉成課長

国に要望しています。

佐々木慶子

アーカイブセンターをオリンピックまでに作るということですか。

吉成課長

せっかくその時に多くの外国の方が来るので、オリンピックまでにと考えています。

武藤類子

県民は委員会に入っていますか。

吉成課長

県民は入っています。大熊町の商工会長や日本青年会議所の石田さん、小高ワーカーズベースの和田さん、会津の施設の谷津さん、学識者では福大の菊池さん、市岡さん。富岡で校長をされていた青木先生。

武藤類子

アーカイブ拠点に関する、県民への説明会はありますか。

吉成課長

市町村の会を来年111日に行いたい。これまでシンポジウムで意見を聞き、委員会、有識者会議でも聞いてきたので、今後ホームページに載せて聞いていきたいと思っています。やり方としては農業など幅広い被害がある。単なる地震と記録を展示している人と防災センターを見てきたが、そこよりも幅広いものを作っていきたい。

佐々木慶子

県民参加ということで女性も3名入っていますし、男女比はまぁまぁだと思います。ただ、私たちがこの人に思いを託せるという人が入っていない。どちらかというと体制側の組織ではない、福大の教授後藤忍さんなどを入れてほしい。後藤さんは先日の学習会でも公正なお話をしていただいた。世界で初めてチェルノブイリ事故とコミュタン福島の展示内容の比較を行った。私情も入れず、淡々と話していた。

吉成課長

予算がつけば2020年までに間に合わせたいとは思っている。今回つかなければ、来季からだと遅すぎる。

佐々木慶子

資料のページ1に「光と影」とありますが、ここの影がなかなか見えない。環境創造センターにフレコンバックや汚染水、廃棄物、処分方法などがきちんと書かれていない。光だけ見るのは危ない。影が見えると予防策も見えるし、影の部分も出してほしい。

武藤類子

展示内容についての意見は受け入れていかれると思うのですが、どのような形で集めるのでしょうか。

吉成課長

自由に寄せられるようにHPに準備したい。施設が開設されたあとも、県民の思いというコーナーも作りたいと考えています。県民の中には色々な思いがあると思うので、苦しんだ方々の思いも伝えていきたいと思っています。お母さんの思いも仕事上聞く機会があり、洗濯物を外に干すのかどうかが踏み絵みたいになるという話も聞いています。そのようなことも反映させたいと思います。資料室も設けるので、ぜひ活動の記録を出してください。

佐々木慶子

県に100回以上出しているので、持って来てもいいですか。

吉成課長

もちろん。そのような事実も集められたらと考えています。お金が集まったら寄せてくださいということを呼びかけたいと考えています。集めていきたい。

佐々木慶子

3.11の前から原安課の吉成課長にずっと要望書を渡してきた。3.11後に会った時に謝ってくれた。ぜひこれまでの要望書を受け取ってもらっていたい。

吉成課長

あらゆるものをいただきたいと思っている。双葉町の看板もうちの倉庫に入れられればと考えている。原発災害情報センターの「原発さえなければ」もいただき、展示できればと思っています。国の予算は年末までに出てくるので。

佐々木慶子

収録一覧なども作ってもらい、見せてくださいといえば見せてもらえるといい。

吉成課長

そのような形にしたいということも資料にも書いてあるので、ぜひ。

佐々木慶子

以前、2010年の年齢別の人口の数を県の担当者に聞いたら、うちではこれしか出せませんと言われた。しかし、他を辿ったらあった。

吉成課長

菊池先生は資料分類のプロなので、出せるように分類してくれる。そのようにできればと思っています。

小池

原発を作る時からの資料の公開をぜひ進めてほしい。予算が決まって、ガチガチに決まってしまうと意見が入れられないので、柔軟な素案ができた時にシンポジウムのような形で県民の意見を出せるときに行ってほしい。

吉成課長

作って終わりではないので、その後も続くと思っています。広島も今でも資料を取集している。

武藤類子

施設を作るにあたって参考にした施設は。

吉成課長

手分けして見て回った。平和祈念館、人と防災未来館。リアスアーク、中越。一日で安く行けるときには車で行っています。

武藤類子

チェルノブイリや水俣などにも行ってもらいたい。

吉成課長

ニューヨークのトリビュートセンターなど。英語を訳してもらって、見ている。ハイヒールとその物語。突然命を失わなければならなかったという展示がとても印象に残っている。。

武藤類子

今回の施設は原発から4㎞のところにある。修学旅行生なども来させるということはとても心配。対策はどのように考えていますか。どうやって逃げるのか。

吉成課長

検討会議の中でも言われました。防潮堤、盛り土、あとは1F。1Fの近くに作るということは、やはり事実を知ってもらうという意味があります。1Fに一日8000人の見学者も来ているので、併せてみてもらうということも考えています。原発立地の自治体の方もそちらに来るようなので、アーカイブセンターも原発事故が起こったらこのようになるということを来て学んでほしい。

武藤類子

ヨウ素剤は置く予定はありますか。

吉成課長

まだ予算も出ていないので、そこまでは。今後ご意見をもらいながら。パブコメではなく、ずっと意見を集めていきたい。

田中俊一委員長と会って、会話もできました!


佐々木慶子

去る7月28日、飯野町で開催された「飯館村幼稚園・小中学校教員研修会」で原子力規制委員会の田中俊一委員長の講演を聞いてきました。終了後、少しでしたが(約10分?)ご本人と1対1で会話(それも想定外な内容!)できるという貴重な機会を得ることができました。大変遅くなってしまい、今さらの感もありますがそのご報告をいたします。
(長くなりそうですみません。)
 会場の体育館には聴講の先生方ざっと40人、傍聴席には約10人、職員など合わせて計60人ほどがいました。偶然に座った傍聴席の隣には菅野飯舘町長がおられました。彼にも言いたいことがありましたが「二兎を追うもの一兎をも得ず」に従い、挨拶だけにとどめ、あくまでも「田中委員長」に狙い(?)を定めました。
 この講演会は飯舘村が来春3月以降、全村(除く長泥地区)避難解除宣言をしていることからその事前準備として「放射能不安をいかに払拭するか」の一環として開催されたことは明らかです。そこに学校教育に携わる教員を対象に「原子力規制(推進?!)委員会委員長」という重責を担う人物の肩書力をもってきて説得させようとする意図も見え見えです。
 彼の口調はとても穏やかでゆったりとしており、そこに押しつけがましさや居丈高さは微塵もなく、淡々と約2時間……。しかし、終わってみれば「放射能恐るるに足らず。1F現場からの放射能もれも心配なし。」の結論になっており、私にはエートス以上のエートス効果(?)の講演の感がありました。

以下に私が特に聞捨てならぬと思った個所のいくつかをあげます。

<その1>ー外部・内部被ばく問題についてー除染効果により飯舘地区の空間線量はほぼ全域下がっている。国の基準年間1m㏜で0.23μ㏜/h目標は高すぎで帰還の大きな妨げになっている。当面は1~2μ㏜/h程度でコントロール出来る。
<その2>-除染廃棄物についてー国の当てにならない中間貯蔵施設建設を待つよりも、村独自の処分場建設を考えてはどうか。
<その3>ー子どもたちへの期待ー放射能・放射線を正しく学んでほしい。放射線を知ることによって放射線が見えてくる。医療、宇宙、温泉などから自然や科学に幅広い知識が得られ、放射線被ばくの低減にも結び付く。「飯舘村の子どもたちは世界で最も放射線の知識を持っている」ことを誇れるようにしてほしい。
<その4>ー1Fの状況についてー
①1F敷地内汚染水タンクは1100基もありほぼ満杯に近く、破綻するのは明らかである。排出濃度以下のトリチウム水は世界中で海洋や河川に放出されている。排水濃度以下にして排水するという循環型システムにしなければ廃止措置も進まない。
②5年経過し、原子力規制委員会としては敷地外に大きな影響を及ぼす可能性はほぼなくなり、計画的に廃止措置を進められる段階にあると判断している。みなさんが再び避難しなければならないような事態は起こらないと思っていただいてよい。
<その5>ージェンダー意識の欠如についてー(私の見解)女性差別の代表的用語である「父兄」(親を指すのに母・女を無視した『家父長制度』の代表的名残)はマスコミはもちろんジャーナリストや知識人、日常用語としても事実上、使用不適切、禁止用語となっているのは周知の事実。最近はほとんど目や耳に触れることはなくなっている。ところが彼の講演中にこの言葉が何度か出てきたのである。最初、我が耳を疑ったが何度か繰り返され、彼のレジメにも明記されていた。
 講演が終了し、「これから質問をお受けしますが傍聴席の方はお帰りください。」との指示アナウンスがあった。私は田中委員長の至近距離にいる今というチャンスを捉えるべくのろのろして彼の動向を見ていました。(虎が獲物を捕らえる時のごとく?!)すると、彼は喉を潤すために私たちの近くのドリンクコーナーにやってきたのです。何人かに取り囲まれ挨拶などしていました。一瞬、人が退けたその時、私は彼の前に行って声をかけました。1問1答を以下に再現してみます。

<田中委員長との会話>

K(慶子):失礼します。私、(名乗って)福島県公立中学校の教師でした。本日は実のあるご講演、ありがとうございました。
Т(田中委員長):(きょとんとしていたが疲れていたせいか無抵抗の雰囲気)
K:今日、委員長さんは「父兄」という言葉をお使いになられましたが、現在は禁止用語扱いになっているのはご存知でしょうか。今はマスコミでも有識者のほとんどの方は使っていません。テレビなどで使われると「不適切用語を使って申し訳ありませんでした。」と謝るのが普通ですよ。
Т:(きょとんとして)どうしてですか?(すんなり聞いてきたのでこちらがびっくり)
K:(さりげなく私のうんちくを少々。最後に)この言葉を使うと「女性を敵に回しかねませんよ。」(と、とどめを刺しました。)
Т:(私の顔をあの眼鏡の奥からじっと見て聞いていた様子でしたが突然)ありがとうございました。
K:(素直に礼を言われてこちらがびっくり、一段落は成功!でも、ここで引き下がるわけにはいきません。畳みかけるように)分かっていただいてありがとうございます。委員長、再稼働はないでしょう。(と言ったとたん敏感に反応して)
Т:その問題は今日は別!(といって向きを変えて私から逃げはじめました。)
K:(逃げようとする委員長に向かって)避難計画もオフサイト建設もなしで「世界一厳しい基準」ではないですよね。委員長はさすが使ってませんが安倍総理は今も言ってますね。毎日出てくる廃棄物や汚染水も解決しないで
再稼働はありえません!地震も毎日のようにおきてます!
以上、長々と失礼しました。

佐藤栄佐久 元福島県知事を応援しよう!


佐々木慶子

21日(月)、仙台高裁で第2回口頭弁論が行われました。
9時30分ごろ、ロビーに集まったのは総勢30人ほど。栄佐久様関係として弁護士さんやご親族を筆頭に10数人。マスコミ4社(?)ほど。私たち側から遠くは三春と郡山から類子さん、Rさんそして福島からKKさんと私、何とフォーラムの支配人も! 仙台からSさん、Aさんなど10人ほどでした。栄佐久元知事からご挨拶を受け、10時開廷。
法廷での審議は20分ほど。口頭でのやり取りは少なく、文書確認が主でした。
中山顕裕裁判長からはこの日をもって結審とし、2月24日に判決言渡しとなるとのお達しがありました。(裁判のあらましは翌日(22日付)の民報・民友に掲載)

実は、事前に私たち側から裁判終了後、説明を受けたいと栄佐久元知事側にお願いをしていたところ安藤弁護士さんのお計らいで裁判所内の別室をお借りすることができ、そこで裁判の詳しい経過と疑問点にも答えて
いただける場を持つことができました。その時の 要旨は
①この日の裁判の終了直後、裁判長側から「和解」の申し出を受けたこと。
②「和解」は一般的に原告側も妥協することが多いが今回は妥協する何物もないこと。
③「和解」することが原告側の不名誉につながってはいけない。安易に受託できない。
④被告である福島県側も打診されているので1月22日に和解協議をすること。
などの説明があり、質疑応答も行いました。

これからの取り組みとして、もともと佐藤栄佐久元福島県知事の汚職容疑が「賄賂額0円」で実質無罪なのに有罪とされた裁判そのものが不合理なのに福島県が非情にも退職金返還命令を出したこと。それに対して栄佐久元知事が「不服申し立て」の裁判を起こしていることを知っている県民はあまり多くないことを踏まえて、それを周知させることと、県に対して「返還命令」を取り下げることを要望するための集会を持つことが参集者から提案され、呼びかけ人の2人も翌日、話し合って1月中に開催することにしました。
みなさまのご協力をお願いいたします。

福島県の子どもたちの甲状腺がん:破綻した「過剰診断」論


満田夏花

8月31日の「福島県県民健康調査委員会」で公開された資料の内容および当日の審議内容をもとにまとめました。
深刻な状況なのに受診率も下がっています(1巡目検査の受診率は81.7%であったのに比して、2巡目の検査の受診率は激減し、44.7%)。
もはや「事故との因果関係」を否定することに固執するのはやめ、政治的な思惑抜きに、手術後の症例などもふまえてきちんと議論するべき局面です。
また、「リスコミ」という放射線安全神話のプロパガンダではなく、被ばく低減、健診の拡充にこそ予算を投じるべきでしょう。
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ファクトシート:福島県の子どもたちの甲状腺がん
「悪性または疑い」137人に
http://www.foejapan.org/energy/news/150904.html
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2巡目25人、うち前回「問題なし」23人

8月31日、福島県県民健康調査委員会で、福島県の子どもたちの甲状腺がんの最新の状況が明らかになりました。
それによれば、甲状腺がんの悪性または疑いと診断された子どもたちの数は、合計137人。2014年から始まった2巡目検査で甲状腺がんまたは疑いとされた子どもたちは25人。この中には、1巡目の検査で、問題なしとされた子どもたち23人が含まれています。
「疑い」とは、ここでは、細胞診において「甲状腺がん」と診断された人のことです。「確定」とは手術後に摘出した組織などを調べて診断した結果です。
国立がんセンターの統計データでは、甲状腺がんは10代後半で10万人に約0.9人とされています。現在、福島の子どもたちの甲状腺がんの率がそれをはるかに上回ることについては、「スクリーニング効果」、すなわち一斉に甲状腺エコー検査を行うことにより、通常よりも前倒しで発見されたことによるものと説明されてきました。しかし、すべてを「スクリーニング効果」とする根拠が不十分である上、2巡目の検査で前回問題なしとされた23人については、説明できません。
多いリンパ節転移や甲状腺外浸潤
破綻した「過剰診断」説

政府は、2巡目で甲状腺がんが見出されて以降も、「事故との因果関係は考えにくい」とし、一部の専門家たちが唱えている「過剰診断論」を盾にして新たな対策を取ろうとしません。

「過剰診断」とは、ここでは「生命予後を脅かしたり症状をもたらしたりしないようながんの診断」をさしています。すなわち、大したがんでもないのに、「甲状腺がん」と診断し、手術を行うことをさしています。
しかし、8月31日、手術を受けた子どもたち99人の症例について、福島県立医大(当時)の鈴木眞一教授によるペーパーが公開され、リンパ節転移が72例にのぼること、リンパ節転移、甲状腺外浸潤、遠隔転移などのいずれかに該当する症例が92%にのぼることが明らかになりました。県民健康調査委員会の清水一雄委員も「医大の手術は適切に選択されている」と述べています。すでにこの「過剰診断論」は破綻しているのです。

資料はこちらから>https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/129308.pdf

鈴木眞一教授は、ずっと甲状腺がん検査の責任者でしたが、以前より、「過剰診断」という批判に対して、手術を受けた患者は「臨床的に明らかに声がかすれる人、リンパ節転移などがほとんど」として、「放置できるものではない」としていました。

1巡目と2巡目の比較
福島県立医大は、2011年10月から2014年4月まで行われた1巡目の検査を「先行検査」とし、事故前の状況の把握と位置づけています。また、2014年4月からはじまった2巡目検査を「本格検査」として事故後の状況の把握としています。この両者を比較してみましょう。

1巡目調査

2巡目調査

* 対象:平成23年3月11日時点で、概ね0歳から18歳までの福島県民。 367,685人。
* 受診者300,476 人(81.7%)
* 悪性ないし悪性疑い113人
* 男性:女性38人:75人
* 平均年齢17.3±2.7歳(8-22歳)、震災当時14.8±2.6歳(6-18歳)
* 平均腫瘍径14.2±7.8㎜(5.1-45.0 ㎜)

細胞診等で悪性ないし悪性疑いであった113人の年齢、性分布(検査時の年齢)

* 対象:先行検査における対象者に加え、事故後、2012年4月1日までに生まれた福島県民にまで拡大。 378,778 人、
* 受診者169,455人 (44.7%)
平成26年度実施対象市町村において
* 悪性ないし悪性疑い25人
* 男性:女性11人:14人
* 平均年齢17.0±3.2歳(10-22歳)、震災当時13.2±3.2歳(6-18歳)
* 平均腫瘍径9.4±3.4㎜(5.3-17.4㎜)
細胞診等で悪性ないし悪性疑いであった25人の年齢、性分布(検査時の年齢)
<第20回福島県県民健康調査委員会(2015年8月31日)資料をもとに作成>
受診率の低下~リスコミという名の不安対策の弊害

心配されるのは受診率の低下です。1巡目検査の受診率は81.7%であったのに比して、2巡目の検査の受診率は激減し、44.7%です。
ただでさえ、被ばくによる健康リスクについて考えたくない心理がある上に、政府の「被ばくは大したことはない」「不安に思うことのほうが健康に悪い」といった放射線安全キャンペーンが効を奏していると考えられます。
政府は、リスク・コミュニケーションといった不安対策に巨額の予算を投じるのではなく、個々の症例についての分析と、県外への健診の拡大、甲状腺がんのみならず、甲状腺の機能低下やその他の疾病も見据えた総合的な健診のあり方を真剣に検討すべきでしょう。

東電・勝俣元会長ら幹部 3 人「原発事故」で 強制起訴


東京電力の幹部3名が、検察審査会により重ねて「起訴相当」と議決されました。これによって、3人は強制起訴になります。以下、弁護士ドットコムより記事を転載します。

東電・勝俣元会長ら幹部3人「原発事故」で強制起訴 「市民の正義が勝ち取った」記者会見した「福島原発告訴団」の武藤類子団長(中央)と弁護団の河合弘之弁護士(左)、海渡雄一弁護士(右)

福島第一原子力発電所の事故をめぐり、東京電力の勝俣恒久・元会長をはじめとする元幹部3人が、刑事裁判の場で責任を問われることになった。一般市 民からなる検察審査会が7月31日、東電の元幹部3人を業務上過失致死傷罪で「起訴すべき」だと判断した。3人の「起訴相当」議決は2回目のため、強制起 訴となる。

3人を告訴・告発していた「福島原発告訴団」のメンバーらが東京・霞が関の司法記者クラブで会見を開き、「市民の正義が強制起訴を勝ち取った」「刑事裁判で事故の真実が明らかにされ、正当な裁きが下されることと信じている」と話した。

事故当時の東電幹部らの刑事責任については、検察が「不起訴」と判断したため、検察審査会で審査されていた。強制起訴が決まったのは、勝俣恒久・元会長と武藤栄・元副社長、武黒一郎・元副社長の3人。

●「ようやくここまで来た」

福島原発告訴団の武藤類子団長(61)は「私たち被害者はようやくここまで来たという思い」「東電が大津波を予見しながら対策を怠ってきたことは、次々に明らかになっている。元幹部らの罪は明らかだ」と力を込めた。

弁護団の海渡雄一弁護士は検察審査会の議決について、「1回目の議決よりも、内容が格段に具体的で、証拠も分厚い。有罪判決に近いような議決になっていると思う」と指摘した。

弁護団の河合弘之弁護士は次のように述べ、刑事裁判の場で、事故の原因究明が進むことを期待していた。

「もし、この事件が不起訴に終わってしまったら、この福島第一原発事故の真の原因は、永久に闇に葬られたと思う。

政府事故調も、国会事故調も、その後まったく活動をしておらず、別の調査を始めようという動きもない。

福島原発事故の原因の90%は、事故前の津波対策・地震対策の不備にある。そこをきちんと究明しないと、福島原発事故の原因究明はできない。

今回、からくも市民の正義感で、(事故原因究明の)ドアを開いた。この意味はすごく大きい。私たちは刑事法廷において、真の原因がもっともっと明らかにされていくだろうと思う」

 

沈黙のアピール&FoE Japan-6月10日要請報告


満田夏花

福島県内外の多くのみなさまのご参加および賛同ありがとうございました。アレンジしてくださった佐々木慶子さんに改めて御礼申し上げます。
また、避難者のみなさんから、たいへん切実なメッセージを預かり、読んでいて胸が痛みました。
FoE Japanがこの3週間あまりで集めた署名は、10,571筆、83団体となりました。ありがとうございました。

しかし状況は厳しいです。
福島県が国に要望している住宅支援対象は、去年までの「地震津波による被災者や原子力災害被災者」の記載は消え、「避難指示が継続している区域の避難者ら」と限定した記述に変わったとの情報も入ってきています。
これは自主的避難者の切捨てになるとともに、2017年3月には、ほとんどの避難区域が解除されるという方針が示されている中、実質的には避難者全体の切捨てとなります。

【お願い】
みなさん(とくに福島県民のみなさん、避難者のみなさん)、改めて、福島県に対して、電話やファックスで、「避難者の切捨てはしないで」との声をお願いします。
なるべく丁寧にお願いします。

電話の場合は、代表番号(Tel:024-521-111)にかけ、「秘書課につないでほしい」旨をいい、出た人に要望を伝えたあと、「県知事に伝えたい」などというといいかもしれません。
ファックスは下記に!
福島県総務課秘書課:FAX: 024-521-7900
福島県避難支援課:FAX: 024-523-4260

可能であれば、福島市・郡山市・いわき市などの自治体への電話がけやファックスもよろしくお願いいたします。(自治体に対しては、市民や避難者が要望するのがよいかもしれません。)

1.福島市への要請 対応者:福島市 市民部部長 など
<先方発言要旨>
・福島県からはまだ相談がきていない。それをまってから対応したい。
・福島市としては、今年から避難支援課を設置した。
・一斉に避難を打ち切るのではなく、避難者の実状に応じた対応をするべきだと考えている。

こちらからは、山形に避難して、帰還せざるをえなかった人や、京都に避難された方から、避難者のおかれた苦境について切々と訴えました。

2.庁舎前でアピール
このあと、県庁前でハンガーストライキを続けられているHsinkの坂本建さんを激励にいきました。
また、参加者一同も庁舎前で横断幕を広げました。脱原発かながわさんが撮影された写真を添付します。

3.福島県への要請 対応者
福島県 総務部 秘書課長、避難支援課課長 など

当方からは、佐々木慶子さんが、「沈黙のアピール」の要請書、FoE Japanから
署名および避難者からのメッセージ、蛇石郁子さんが「原発事故子ども・被災者
支援法推進自治体議連」「福島原発震災情報連絡センター」「原発事故被害者の
救済を求める全国運動先方発言要旨」から要請書を提出しました。

やりとりの中で、先方は、福島県として避難者の住宅支援の期限について、国に
どのような要望を出しているのか明らかにしませんでした。
こちらから、何度も、「住宅支援の期限については、国に延長する方向で要望しているんですか? 打ち切るという方向で要望しているのですか?」とたずねたのですが、「協議中」とのみ回答。

また、避難者の声を国に伝えてほしい、というこちらの要望に対しても、なかなかはっきりした答えがなかったのですが、こちらが粘りにねばって、ようやく「伝えます」との一言を引き出しました。

<片山かおるさんフェイスブックでアルバムと詳細な報告を書いてくださっています>
https://www.facebook.com/kaoru.katayama.7/media_set?set=a.695865987209651.1073742045.100003587671141&type=3&pnref=story

<Hsinkの坂本建さんが、住宅支援の継続を求め、塩と水だけのハンガーストラ
イキをなさっています。OurPlanet-TVのインタビュー>
「住宅支援の継続を」福島県庁前で避難者がハンスト
http://ourplanet-tv.org?q=node/1926
連日の要請の状況については、Hsinkのフェイスブックをご覧ください。
https://www.facebook.com/hinansienkanagawa?fref=ts


満田夏花(みつた・かんな)
携帯:090-6142-1807
ツイッター:@kannamitsuta
FoE Japan
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986

ガラスバッジは福島のような全方向照射では3-4割低めに検出する


福島老朽原発を考える会

1月15日に伊達市議会議員政策討論会(放射能対策研修会)が開かれフクロウの 会の青木一政と(株)千代田テクノル執行役員線量計測事業本部副本部長佐藤典仁氏が講師としてそれぞれ講演を行いました。同政策討論会は同市議会基本条例 にもとづく公式な会議で市会議員全員が出席する会議です。

この場で、千代田テクノル佐藤氏がガラスバッジは放射線管理区域で使うもので前 方からの照射を前提としているため、福島のような全方向照射では身体による遮蔽効果により約30-40%低くでるとの説明を行いました。福島県内の各自治 体ではガラスバッジによる住民の被ばく量測定を行っていますがこれはガラスバッジの本来の使い方から逸脱したもので、これで住民の被ばく量管理を行うこと は問題であることが明らかになりました。ましてガラスバッジによる測定結果で住民の被ばく量は予測計算より少ないとして除染基準を緩和するような動きは極 めて大きな問題です。

私達はあらためて政府の「個人の被ばく線量重視」「個人線量計による被ばくの自己管理」の動きに対して抗議するとともに、「場の線量」と「個の線量」の二段構えでの住民の被ばく防止の考え方を堅持することを要求します。

伊達市民の働きかけにより実現した今回の放射能対策研修会
伊達市は市民約5万3千人のガラスバッジ調査で個人線量は十分低いとして、空間線量率が0.3~0.6マイクロSv/h程度でも追加被ばく年1ミリSvは達 成できるとした報告書を2014年8月に発表しています。この調査結果も踏まえ仁志田伊達市長は、従来からの持論である線量の低いCエリアの除染は不要と の立場に固執しており市民からの批判が高まっています。

こうした流れの中で伊達市議会放射能対策研修会というフォーマルな場でフクロウ の会/放射能測定プロジェクトの青木一政が伊達市議会議員研修会の講師として招請され1時間ほどの講演をする機会を得るに至りました。伊達市のお母さん方 の議会への熱心な働きかけにより実現したものです。伊達市民の方々の熱意ある取り組みに敬意を表したいと思います。

ガラスバッジによる被ばくの自己管理について、私たちはこれが住民に対して被ばくリスクを強いるものであるとして批判し環境省等への要請行動を行って来ました。この動きについては下記をご覧ください。
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2014/08/post-0694.html
http://fukurou.txt-nifty.com/fukurou/2014/06/023-1d4b.html

熱心な研修会でのプレゼンと質疑応答
市議会議員ほぼ全員がそろう中で私からは「福島原発事故による放射能汚染-健康リスクをどう考えるか」と題したプレゼンを行いました。

※プレゼン資料はこちら(容量の関係で4つに分割します)

プレゼン資料1 甲状腺検査結果をどうとらえるか」

プレゼン資料2 チェルノブイリ事故の健康影響」

プレゼン資料3 ガラスバッジによる被ばくの自己管理は妥当なのか」

プレゼン資料4 尿検査・大気中塵埃調査・将来起こるかもしれない健康被害を防ぐために
私のプレゼンは焦点のガラスバッジによる被ばく量の管理の問題だけでな く、福島県での甲状腺がんの発生状況やチェルノブイリでの健康影響、チュエルノブイリと比較した伊達市の汚染状況などについて分かり易く説明することに心 がけたつもりです。議員の方々は皆さん熱心に私の報告を聴いてくださり、全体として理解していただけたのではないかと思います。

ガラスバッジは福島のような全方向照射では0.6-0.7倍になると説明-千代田テクノル
私の講演と質疑応答の後、(株)千代田テクノル線量計測事業本部副本部長で執行役員の佐藤典仁氏から「ガラスバッジの測定結果について」というプレゼンが行 われました。報告の結論としてガラスバッジは「全方向から放射線が入射する場合は周辺線量当量(空間線量のこと)の0.6~0.7になると説明があり、私 たちが指摘していたことについて認めました。ただ説明は専門技術的なもので市議会議員の方々にはやや難しいのではなかったかと思います。
高橋一由議員が「ガラスバッジは放射線の入射する方向により身体の遮蔽により低 く出るという報告があるが実際のところどうなのか」と重ねて質問したのに対して「ガラスバッジは放射線管理区域で使うもので福島のような全方向照射では 30%低くでることをきちんと考えず配布した」として謝罪の言葉*があり、「事故直後の混乱時期に、安全を売り物にする企業として福島の方々に少しでも役 立てばと思ってガラスバッジを使ったが配慮が足りなかった」との発言がありました。

*たとえば病院でのX線撮影の場合、ガラスバッジを身に付け撮影をする放射線従事者は決まった一点から放射線を受ける可能性があるだけです。フクシマの事故では、環境中に飛び散った放射性物質により、私たちは上下左右、360度からの被ばくを毎日強いられています。目に見えないだけで、地面や屋根、そして大気中浮遊塵や放射性物質が付着した衣類・髪などから外部被ばくをしています。今回の0.6-07倍という値も水平方向で全方向としての計算で、上下方向からの入射を考慮したものではありません上下方向からの入射を考慮すれば「実効線量と同等だった」(**参照)という千代田テクノルの説明もまだ過小の可能性があります。ガラスバッジで測るやり方が毎日被ばくをしながら暮らさざるを得ない住民の現実感覚からすれば極めて不十分なものです。このような情報を今まで積極的に発信してこなかった千代田テクノルの責任も大きいと考えます。

また菅野善明議員から「30%程度低く出ても検証の結果、実効線量と同等だった という説明**があったが子どもの条件で確認したのか」という質問に対して、「やっていません」「というか実は子どものファントム(検証用の人体模型)を どのようなものとすべきか決まっていない」と率直に認めました。

**実効線量とは個人の臓器毎の被ばく線量を計算しそれに係数をかけ足し合わせたものであり、体格や年齢、性別など個人毎に異なるため実際には個人ごとの実効線量を測定することはできません。そのため実際の測定は実用量として空間線量率を測るサーベイメーターや個人線量を測るガラスバッジ等の個人線量計の値が使われます。個人ごとの実効線量のバラつきを考慮して、実効線量<実用量と いう関係が常に成り立たなければならないということになっています。今回の千代田テクノルの説明では検証の結果、低めに出てしまう全方向照射での測定結果 は実効線量とほぼ同等だった、という説明でした。しかしこの検証は大人の条件でしかやっていなかったことが菅野議員の質問で明らかになったわけです。

問題は個人線量計で被ばくを自己管理させようとする政府・環境省の方針
子どもを含め住民がこれから長期にわたる被ばく量を管理するための測定として、環境中に放射能が散らばって全方向から放射線が入射するにもかかわらず、前方 からの入射を前提とする放射線業務従事者用のガラスバッジを使うことそのものが大変無謀なことであることが今回の説明から明らかになりました。

さらに子どもの被ばく量を検証するためのファントムによるテストは、ファントム そのものがどのようなものにすべきか明確にさだまっておらず、検証テストをやっていないというのは、健康や生命にかかわることですので大きな問題です。ま してガラスバッジの測定結果をもとに住民の被ばく量を推定しそれをもとに除染基準を決めるというのは言語道断です。

これらについて遅きに失したとはいえ、率直に問題点を明らかにした千代田テクノ ルの今回の対応は評価したいと思います。むしろ問題はこうした測定器の誤った使い方だけでなく、個人でバラつきのある測定結果を強引に平均化してその結果 で除染基準を緩めようとしたり、電離放射線障害防止規則にある「場の線量」と「個の線量」の2段構えでの被ばく防護の考え方に反して、「個人線量重視」で 個人線量計配布による被ばくの自己管理の方針をとる政府、環境省、伊達市などにあります。

住民の被ばく低減のために政府自治体はあらゆる取り組みをすべき
ガ ラスバッジによる測定の問題点の説明はどうしても専門的技術的なものとなり素人には必ずしも分かり易いものではありませんでした。ただ、大枠では私たちが これまで指摘してきたガラスバッジの測定結果を元に除染基準の見直しをするようなことはおかしいということが、多くの議員の方々には理解されたのではない でしょうか。
これまで私たちが主張してきたことは
(1) 政府の除染対策地域の指定基準および除染目標として、少なくとも空間線量率0.23μSv/h基準を堅持すること。

(2) 除染により0.23μSv/hが容易に達成できないのであれば、住民の健康リスクを極力低減させるために自主避難者への支援、移住の支援、保養推進、保養計画への援助、検診の充実などあらゆる取り組みを充実すること。

(3) 「場の線量」と「個の線量」の二重の防護の考え方の堅持。ガラスバッジ配布による個人線量重視の被ばく防護の考え方は取らないこと。

の3点です。これにもとづいて伊達市でも他の自治体と同じようにCエリアでも除 染を行うべきだと考えます。さらに除染だけでなく住民の被ばくを下げ健康リスクを下げるためのさまざまな取り組みを取るべきと考えます。このことは伊達市 にとどまらず放射能汚染が拡散した東日本全域に言えることです。今回の結果が各地での被ばくリスク低減の動きにつながることを期待しています。

甲状腺がん症例数がさらに増加


IPPNWドイツ支部

(和訳: グローガー理恵 )

2015年 1月 6日

福島で甲状腺集団スクリーニングの最新データが公表された。 データは初めて、日本の子供たちにおける甲状腺がんの新規症例数の増加を示している。 最初の一巡目のスクリーニング(先行検査 )の枠内で既に、84人の子供たちに甲状腺がん診断が確定され、その中の一部には既に転移が見られた。 その結果として、これらの子供たちにおいて甲状腺の部分的摘出手術が実施されなければならなかった。 さらに、24人の子供たちに、「がんの疑いあり」との細胞診の結果が出ている。 これまでのところ、日本の当局は、これら全ての症例は所謂「スクリーニング効果 (独語:Screeningeffekt )」に起因するものであるとしている。 「スクリーニング効果」とは、まだ臨床症状がなく、もっと後になった時点になってから初めて臨床症状が出たであろうという症例が、集団スクリーニングで発 見されることの知見を説明する用語である。

しかし今、最初のスクリーニング(先行検査)で既に把握されていた子供たちにおける再検査 (本格検査 )の最初のデータがある。 これまで、60,505人の子供たちに再検査が実施され、その内の57.8%に結節もしくは嚢胞が見つかった。 最初のスクリーニング(先行検査 )において、これらの(結節もしくは嚢胞が見つかった)割合は、まだ48.5%であった。 これを具体的な数値で表すと:  最初のスクリーニング (先行検査 )においては、まだ何の異常も見つからなかった12,967人の子供たちに、現在、再検査(本格検査 )で、嚢胞と結節が確認されたということである。 しかも、その内の127人に見つかった嚢胞/結節のサイズが非常に大きいため、さらなる解明が緊急に必要とされている。

また、最初のスクリーニング(先行検査)で小さな嚢胞もしくは結節が見つかった206人の子供たちの再検査において、非常に急速な(嚢胞/結節の) 増大が確認されたため、さらなる診断検査が始まった。 目下のところ、これらの子供たちの内11人に穿刺吸引細胞診がなされ、今、その中の4人にがん疾患の ‘強い 疑い’がある。 これら(4人)のケースにおいて、がん疾患の診断が確定されるのであれば、もはや、この事を「スクリーニング効果」で理由づけることはできなくなる。なぜ なら、これは、過去2年間の間に発生した新規症例に関わる問題となってくるからである。

「確かに、原子力災害による長期的な健康影響を評価できるには、まだ時期が早過ぎますが、これらの最初の検査結果は確かに憂慮すべきことです」と、IPPNW副会長、アレックス・ローゼン (Alex Rosen) 医師は説明する。

「これまでのところは、まだ再検査結果の部分的なデータのみが提供されているだけです。 チェルノブイリからの経験に基づきますと、甲状腺がんの疾患数が、さらに長年に亘り増加していくことになるでしょう。」

UN (UNSCEAR)によって出されたデータに従えば、フクシマ原子力災害がもたらす健康影響として1,000件以上の甲状腺がん症例数が予測されている。 一方、UNは彼らの算定を疑わしい仮定に基づかせているため、実際に予期される症例数は、多分、その何倍も高い数値となる。

同時に、甲状腺がんは、放射能汚染が人々に及ぼす健康影響のほんの僅かな一部を提示しているに過ぎない: 過去の原子力事故の体験に基づけば、①白血病、②リンパ腫、③固形がん、④心臓血管系疾患、⑤ホルモン障害、⑥神経障害、⑦精神障害などの罹患率の上昇 が予測される。 さらに、精神的外傷や当局に失望させられ、放置されたという感情が及ぼす心理社会的な影響を無視することはできないということが、付け加えられる。
福島や日本におけるその他の放射能汚染地域の人々が緊急に必要としているのは:

①包括的な医療支援/アドバイス

② それぞれの人々の必要に適合した透明な健康診断の提供

③ その提供された健康診断によって、疾病を早期発見し早期治療できるようにすること

④ 患者が自分たちの健康診断の結果にアクセスできるようにすること

現在、日本では、これら全ての事柄が存在していない。

IPPNWドイツ支部は当局責任者に訴える:

「被災者になおこれ以上の健康被害が発生することを防ぐために、必要な措置を講ぜよ」と。

 

以上

県民健康調査「甲状腺検査(先行検査)」結果概要PDFへのリンク: http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96850.pdf

県民健康調査「甲状腺検査(本格検査)」実施状況 PDFへのリンク: http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96851.pdf

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2866:150110〕