国際原子力機関と世界保健機関との間の合意書


第1条  協力と協議

1 国際原子力機関と世界保健機関とは、国際連合憲章が立てた一般的枠組みの中で、それぞれの組織の憲章の条項が定義する目的を実現しやすくするために、緊密な連携のもとに行動し、共通利害に関わる問題については定期的に協議することとする。

2 特に、世界保健機関の憲章と、国際原子力機関の憲章とに従って、また同じく、国際原子力機関が国際連合との間に取り結んだ合意書や、その合意書に関して交され書簡とに従って、また双方の協力関係において双方が互いに果すべき責任に照らして、世界保健機関は、国際原子力機関が、平和利用のための原子力エネルギーの研究および開発と実用とを、全世界で鼓舞し、援助し、組織する根本機関であることを認めるが、世界保健機関が、研究を含むあらゆる形態を通じて、国際的な保健活動を鼓舞し、開発し、援助し、組織する権利は損なわれないものとする。

3 一方が、他方にとって多大な関心事である分野での、計画または活動を企てようとする度毎に、前者は後者に諮り、共通の合意において問題を処理するものとする。

第2条 代表の交換

1 世界保健機関の代表者たちは、国際原子力機関の総会に際して、世界保健機関の利害にかかわる議事日程に関しては、出席するよう招待され、総会およびその下部機関(各種の委員会等)の討議に参加するが、投票権はない。

2 国際原子力機関の代表者たちは、世界保健議会に際して、国際原子力機関の利害にかかわる議事日程に関しては、出席するよう招待され、議会およびその下部機関(各種の委員会等)の討議に参加するが、投票権はない。

3 世界保健機関の代表者たちは、国際原子力機関のガバナー会議の会合が開かれる時、世界保健機関の利害にかかわる議事日程に関しては、出席するよう招待され、会合および各種の委員会等に参加するが、投票権はない。

4 国際原子力機関の代表者たちは、世界保健機関の執行委員会の会合が開かれる時、国際原子力委員会の利害にかかわる議事日程に関しては、出席するよう招待され、会合および各種の委員会等に参加するが、投票権はない。

5 国際原子力機関と世界保健機関とが、双方のいずれかが主宰するこれ以外の会合において、他方の利害にかかわる問題を取り扱う時には、適宜協議を行なって、適切な態勢を取る。

第3条 情報および資料の交換

1 国際原子力機関と世界保健機関とは、提供を受けた情報の機密性を保つために、何らかの抑制的な手段を取るべき場合があることを認識する。本合意書の一方ないしは他方が、その所持する情報について、その公開が、その機関の何れかの加盟国、あるいは誰であれ前述の情報を提供した人の信頼を裏切ることになるか、またはその仕事の円滑な遂行を何らかの形で妨げる恐れのあると、判断した場合については、この合意書のいかなる文言も、情報の提供を義務付けているもののように解釈してはならないという点で、双方は合意している。

2 国際原子力機関の事務局と世界保健機関の事務局とは、ある種の資料の機密性が保たれるために必要な手段が取られるという条件付きで、双方にとっての関心事となりうる、あらゆる企画や計画にについて相互に承知しておくものとする。

3 世界保健機関の事務局長と、国際原子力機関の事務局長と、あるいはそれぞれの代理人は、双方のどちらか一方の求めに応じて、諮問会を開催し、どちらか一方のもつ情報がもう一方にとって関心事でありうる場合に、それを提供する場とする。

第4条 諸問題の議事日程への組み入れ

世界保健機関は、国際原子力機関から提起された問題について、必要に応じ前もって諮問にかけた後、議会または執行委員会の議事日程案に組み入れる。 同様に、国際原子力機関は、世界保健機関から提起された問題を、総会またはガバナー会議の議事日程案に組み入れる。一方から他方への討議を依頼する案件には、解説書を付帯するものとする。

第5条 事務局間の協働

国際原子力機関の事務局と世界保健機関の事務局とは、双方の組織の事務局長の間で適切な時期にとられる取り決めに従って、仕事上の緊密な協力関係を維持する。特に、双方に関係する問題を研究する際には、混合委員会を組織することができるものとする。

第6条 管理上、技術上の協働

1 国際原子力機関と世界保健機関とは、人員および資材をもっとも効果的に使用するために、また、施設や業務の創設や実働が、競合し、あるいは二重使用になるのを避けるために、適時協議を重ね、純正な方式を公けにする。

2 国際原子力機関と世界保健機関とは、国際連合のとっている一般的な態勢の枠組みの中で、人員配置の面で協力しあえるよう、以下の諸手段を取ることで合意する:

a) 人員の採用に際して競合を避けるための諸手段

b) 職務をより有効に役立てるために、双方の職員を、必要とあらば、一時的な場合と恒久的な場合とを含めて、より容易に交換できるようにするための諸手段。ただし、該当する職員のそれまでの在籍歴や職員住宅に関する権利、その他の権利が損なわれることのないように配慮するものとする。

第7条 統計業務

統計の分野でできる限り完全な協力を確かなものにするために、また情報の蒐集先である政府やその他の組織の負担を最小限にするために、この分野での協力のために国際連合がとっている一般的な態勢を考慮して、 国際原子力機関と世界保健機関とは、統計の蒐集と樹立と公表の過程で、不要な二重使用を避け、統計の分野での情報と原資料と技術職員とをもっとも効果的に使用する目的で、協議を行うこととし、また、双方の共通の関心事についてのあらゆる統計的作業についても同様とする。

第8条 特殊な任務の財源

一方の当事者による援助要求に応えることが、他方にとって多額の財政負担となり、またはその危険性があるとき、もっとも公正な形でその負担を処理できるよう、協議する。

第9条 地域事務局

世界保健機関と国際原子力機関とは、諸状況により必要とされる時には、双方のうちの一方が、もう一方が既に開設しているか、あるいはこれから開設しようとしている地域事務所あるいはその付属施設の、場所、人員および共用サービスを使用できるよう、協力態勢を整える目的で、協議することに合意する。

第10条 合意書の執行

国際原子力機関の事務局長と、世界保健機関の事務局長とは、この合意書を執行するために、両機関の経験の光に照らして望ましく思われる方向で、あらゆる態勢を取ることができる。

第11条 国際連合への通知。分類と目録への登録

1 国際原子力機関と世界保健機関とは、それぞれが国際連合との間に結んでいる合意に従って、この合意書の各条項を国際連合に対して直ちに通知する。

2 この合意書の発効に際しては、国際連合事務総長に対して、国際連合によって採択されている規則に従って通知し、分類と目録への登録を受ける。

第12条 改正と破棄

1 この合意書は、世界保健機関と国際原子力機関との、何れか一方の提議により、双方の合意によって改正されることがある。

2 この改正案が合意に至らなかった場合、どちらか一方の当事者はこの合意書を、任意の年の遅くとも6月30日までに予告することによって、その年の12月31日をもって解消できるるものとする。

第13条  発効

この合意書 は、国際原子力機関の総会と、世界保健議会との双方で批准を受けて、直ちに発効する。