歪曲される情報


サシャ・ケイガン

ボルドー政治科学院での、核ロビーをめぐる学術研究集会での発表(2003年)より

政治的な決定をする人たちにとって、情報の欠如は、自身の選択の中にあるあらゆる変動因子を、実は把握できていないという、大問題になってくるわけで….

実際まさに、コリン・ルパージュによれば、大臣たちというのは、«厳しい監視下»にあるそうで、情報や、あるいは問題になる一件そのものが、下部のスタッフが報告する価値なしと判断すれば、官房や政策責任者には上ってこないわけです。
……………

国際的な場面ではどうでしょうか。

IAEA(国連安全保障理事会の支配下にある)とユラトム(欧州原子力共同体)とが、放射線防護の規準を定める機関なのですが、ところが、この2つの機関の基本的な仕事は世界中で核を開発していくことのわけです。

CEPN(核の分野での防護査定研究中枢:フランスの推進派npo)はベラルーシで、一般の人たちを援助するというエートス、エートス2、COREといった欧州のプラグラムの枠内にあって、チェルノブイリによる汚染の放射線学的な見積もりを、一手に任されている組織です。この組織が入り込んでいく過程で、ベラルーシで中心的な役割を果していた科学者たち(ネステレンコ教授など)は、自分たちで立ち上げた放射線測定センターや医学研究所などの管理権を奪われました。

ベラルーシの研究者たちの論文はフランスの専門家たちの手で蔭に追いやられました。中でも、、バンダジェフスキー教授の9年にわたる研究は、ベラルーシ南部の子どもたちの汚染の結果生じている病の状態にるいて、警告を発するものでした。IRSN(放射線防護原子力安全研究所:フランス)の研究とはまるであい入れませんが、バンダジェフスキーはセシウム137への被曝と、心臓疾患との間に、直線的な依存関係(グラフが直線になる比例関係)があるのを発見しました。放射性核種はCEA(フランスの原子力委員会)の理論モデルによって予測されるようには振る舞わないのです。そこでCEAはバンダジェフスキーの研究結果の受け入れを拒否しました。実際、フランスの公式の専門家たちは放射性核種の研究を1種類の核種だけに絞りました。半減期のたいへんに短い、沃素(そして甲状腺癌)だけにしたのです。こうしてご都合主義的に近視眼になることによって、ベラルーシ政府は広い地域に人々を再居住させることができました。フランスの保健当局は健康の問題に深入りしないで済んだわけです。«低線量の放射線は無害であるというドグマ»(バーゼル大学医学部のフェルネ名誉教授による)を疑問に付さなくてもよくなったのです。

事実を切り棄てるという、こうした嘘の手法は、WHOの反煙草キャンペーンを回避するために、煙草のロビーが長年にわたって取ってきたやり口を思いださせます。

CEAの主導する«チェルノブイリの交差点»プロジェクト : 目的=汚染した地域に再居住させる。 方法=どうやって放射線を避けるかを説明した教育キットを配布する。 問題=子どもたちの健康にとってはあまりにも汚染の強い地域(15〜40Sv/km2)にも同じものが配布されています。「これほど苛酷な環境に子どもたちを留めておくのは、まさに犯罪的です」と、問題を指摘したフェルネ教授は言っています。

ロビーの人たちの物言いをそのまま受け取るのはますます難しくなっています。ベラルーシでは1986年には1000人の子どもにつき150件の入院がありました。これが2000年には…1200件になっているのですから。核ロビーとは別のところからエートス・プログラムに加わった人たちの間からは、不協和音も出始めています。エートスで農業問題を担当しているパリ第7大学のアンリ・オラニョンは「仕事は進んでいるが、子どもたちはますます病気になっている」と語っています。