IAEAは核推進派の機関です


2013年12月15日に、郡山で国際会議を開催したIAEAに対して、フクシマアクションプロジェクトが提出した要請書に、2013年1月17日 付で、広報官ジル・チューダー氏名の回答が寄せられました。この中でチューダー氏は「現在IAEAは原発を推進するという立場をとっておりません。」と書 いています。

けれども、「原子力の貢献を加速し、増大させる」のが目的の国際機関が、「原発を推進するという立場をとっていない」というのは、どういうことなのでしょうか。この機関の憲章には、次のように明記されているのです。

第2条
目的
この機関は、全世界の平和と健康と繁栄への原子力の貢献を加速し、増大させるよう務める。(…)
第3条
機能
A.この機関は属性として
1.全世界において、平和的目的の原子力の開発と実際的使用を、またその分野の研究を、勧奨しかつ援助する。(…)

こ れらの文言は、1956年10月23日に、国際連合本部で開かれた国際原子力機関の会合で採択され;1957年7月29日以降、効力をもっているもので す。この憲章は、1963年1月31日、1973年6月1日、1989年12月28日に少しずつ改正されていますが、憲章の基本精神と言うべきこの第2条 (目的)と第3条(機能)には、微塵の改変もないまま、今日に至っているわけです。

チューダー氏の言っていることは憲章に反しているのではないでしょうか。

確かに、「原発を推進する」かどうかは、「原子力を推進するか」どうかと、厳密に言えばイコールではないでしょう。けれども、原発を除いて、いったい何を推進すると言うのでしょうか。

先程の文言の少し先でチューダー氏はこう書いています:
「IAEAとして、加盟国に対して原発を導入すべきである、原発の運転を継続すべきである、あるいは原発を停止させるべきであると言う立場にはありません。」と述べています。

こ れは、「原発を推進するという立場をとっておりません。」ということの具体的な言い直しに当るのでしょうか。ここで言っているのは、「べきである」と言っ ていない、つまり強制的な文言を用いることはしていなし、そんな権限もない、ということを言っているわけで、しかし、原発を推奨はするし、運転継続の要望 はする、ということが含まれているわけです。

現に、郡山の国際会議は、事故の直後に現場近くで開かれたのにもかかわらず、原発の危険についてはほとんど議論しないというものでした。天野氏はIAEAの憲章に忠実だったわけであり、チューダー氏の回答書の文言は残念ながら瞞しであるということにならざるをえません。

IAEAの福島閣僚会合とフクシマアクションプロジェクト


吉田明子

(2013年1月23日、「女たちの一票一揆」院内集会での報告)

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吉田明子です。私はFoEジャパンでスタッフをしていまして、311の後からは原発エネルギー担当として福島の問題、原発の問題そしてエネルギー政策の問題 に携わっています。今日はIAEAの閣僚会議、「原子力安全に関する福島閣僚会合」が昨年12月15日から17日に開かれました。で、これに対して福島の女たちを初めですね、フクシマアクションプロジェクトという活動体を作って、このIAEAに市民の声を届ける、福島の声を届けるという活動をしてきました。このことについて簡単にご紹介したいと思います。

私は東京からこのプロジェクトに参加さぜていただいたんですけれども、一週間くらいその間ですね、福島と郡山に行ってきました。

IAEA, これは原発推進派の組織として、皆さん、当然、ご存知だと思うんですけど、これはIAEAのホームページで、about usというページを見ますと、このようにatoms for peaceというのが高々と掲げられていると、こういうことになっています。まあ、IAEAの成り立ちとして第二次世界大戦の後に原子力の平和利用という ことで1953年にアメリカのアイゼンハワー大統領がatoms for peaceという演説をしたというところから、それがまあ今にも引き継がれているというか、今だにこういう組織であるというものです。

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こ れは外務省の今回の閣僚会議に関するページなんですけれども、ここに今回の会議のプログラムですとか、様々な決定文書、それから後でご紹介しますけれども 福島県などとの協定文書がすべてこちらにアップされています。外務省のWEBサイトで、今ちょっと分りにくいところにあるんですけれども。

この「原子力安全に関する福島閣僚会合」なんですけれども、開催目的としては国際的な原子力安全強化に貢献することを主な目的としているという風に掲げられ ています。これはその閣僚会議の公式のサイトに載っているものなんですけれども、テーマが3つぐらいありまして、一つは「東京電力福島第一原発事故から得 られた更なる知見および教訓を国際社会と共有」すること。そして「原子力安全の強化に関する国際社会の様々な取組の進捗状況を議論」すること。そして3点目、「放射線からの人及び環境の防護について議論・共有」すること。

で、これと並んでですね、「福島の復興に向けた確かな歩みを国際社会に発する」と。こういったことが目的に掲げられて開催されました。で、これは会場の本会議場の前の一番目立つところに掲げられていたものなんですけど、 making nuclear power safer、まあ、もっと安全にというということが正面に掲げられていました。

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福島県郡山市で開催されまして、こちらの会議はですね、113ヶ国から約700名が参加したということで、この期間中ですね、郡山市はこの関係者、そしてスタッフの方で溢れていたんですね。で、スタッフの方はピンク色のジャンパーを着て、郡山の駅前だとか、各ホテル、まあ一つのホテルでは宿泊できないので何カ所かの、まあ7つか8つくらいのホテルに分れて宿泊していたんですけれども、それぞれのホテルのところにこのIAEA専用の受付があって、そこにまあ、 ピンクのジャンパーの人が常駐している、というような、まあ、ある意味で、賑いで開催されていました。

スケジュールはこんな感じだったんで すけれども、この前に14日に県内の視察ツアーというものが行なわれまして、浜通り・中通り・会津の3るのコースがあったと。そしてその夜に福島県産の農作物の安全に関する説明会のようなものも行われたという、まあ、積極的に復興をアピールするような、まあ;全体的には内容だったですね。

一日目、二日目と、全体会合というか本会合が開かれたいまして、その中では各国からの、117ヶ国の代表がそれぞれの国で原子力の安全についてどう考えているか、というような6分間のスピーチを開催していました。そして、二日目、三日目は専門会合ということで先程のテーマ、福島原発事故からの教訓、そして原子力安全の強化、放射線からの人および環境の防護ということで、それぞれテーマについて専門会合が開催されていました。

これは会場にパネル展示が幾つかあったんでしけれども、子供たちへの放射線教育、まあ、そういった授業をやっているというパネルですとか、それから「県民健康管理調査」についてもこういったパネルが整然を並んでいたんですね。

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これが全体会合の様子でこういう広い会場で開催さていました。

この12月15日、会議の初日なんですけども福島県とIAEAとの間で協定が結ばれました。覚書が結ばれたんですけれども、これは福島県とIAEAの覚書な んですけれども、3種類の覚書が締結されました。一つ目は「福島県とIAEAとの間の実施取決め」、これは福島県とIAEAとの間で今後、放射線モニタリ ングや除染について協力していく、これは三春町、そして南相馬市にIAEAと福島県による共同の研究センターが設置されて、そこでこういった除染の実験な どが行われていく、そして福島県立医科大学とIAEAとの間では県民健康管理調査、そして研究、啓発。この啓発というのは、放射線とはどういうものなのか、そのリスクだとかそういったものについて県民、人々にどう伝えていくか、ということについて協力していくということだそうです。

そして3つめが「務省とIAEAとの間の実施取決め」というもので、緊急時の対応、まあ、事故が起った時の対応について、協力していく。この3つの種類の協定が この会議で結ばれました。とは言っても原発推進のIAEAが福島県にやって来てこの健康問題、そして除染問題その他について協力するということは、 IAEAがチェルノブイリ事故の後にやってきたことを見れば、その影響を過少評価する、矮小化するとぴうことに他ならないだろう、ということで立ち上がっ たのがこのフクシマアクションプロジェクトなんですね。

このフクシマアクションプロジェクトは、今日はいらしていないんですけれども福島の佐々木慶子さんなどが中心になってスタートをしたんですけれども、11月24日に福島でキックオフ会合を開いて、出発しました。その時にはこういった覚書の内容だとか、どういったものになるか、まだ分っていなかったんです。けれども、とにかくこういった決定をする場に福島県民の、市民の声が届かないというのはいかがなものか。そんな県民不在で決めることは許されない、ということで、市民の声をこの場にいかに伝えるか、ということをまず主眼としてスタートしました。

この会議の情報とかも、外務省のホームページにアップされて、なかなか直前だったんですけれども、最初は一般市民の公開は予定され ていなかったんですね。で、それであれば現地の福島の状況については、福島県だとか、県立医大だとかが、代表して伝えるということにはなっていたんですけ れども、それではせっかく福島県で開催するのに市民の声を聞かないで、何の意味のある会議なのか、と。その点について訴えまして、で、辛うじてなんですけ れども、50人程度、事前に傍聴の登録をした人に限っては市民の傍聴も認められるですとか、それから直前になってですね、市民の声を、、福島県民に対する 説明会、どういうことを話して、まあ、郡山市で実際に開催するわけですので、交通規制含め様々な、まあ大規模な催しなので、市民に対してどういう意義があ るのか、どうやっていくのか、その方針などを説明する説明会を開催して欲しいということを要求しまして、これは12月9日の日曜日、この会議開催の僅か1 週間前だったんですけれども、そういった市民説明会が、郡山市で開催されることになりました。

で、その場でもですね、この本会議の場で、被 災者、福島県民の方から直接、意見を述べる場を持って欲しい、直接、会議の出席者に福島県の声を伝える場を設けて欲しいということを外務省に交渉しまし て、で、まあ、検討すると言ってくれたんですけれど、まあ1週間前だったということもあって、その会議のプログラムの中に組込むということは叶わなかっ た、しかし、そいういった声をですね、メールやファックスなどで外務省に贈ればそれを会場に掲示するということはこのフクシマアクションプロジェクトから の訴え掛けによって、実現しました。

これがそのメッセージボードですね。本当に普通のホワイトボードにプリントアウトした物が貼ってあるという簡素なものだったんですけれども、まったくこれが無ければ、政府と福島県が用意した美しいパネルが並ぶだけの会議だったかもしれないっていうところ に、生の声、こうした声が届きまして、資料にもあるフクシマアクションプロジェクトの要請書も、こちらに二日目には貼り出されました。

こういった形で、私たち、外務省と何とかお話しをしたんですけれども、少しずつでも市民の声に耳を固むけようという姿勢を引き出したという点でまあ、こうしたアクションを実際に起したことに意義があったかな、と考えています。

最初は目立たない場所に置かれていましたが、最後の日には、本会議場の目の前のよく目立つ場所に貼ってありまして、参加者の方も、「結構ですね、生の声」ということで、興味深くこの掲示板に立ち停って読んでいたり、写真を撮っている方もたくさんいたそうです。

これは12月15日なんですけれども、その要請書ですね、これをIAEAの担当の方に直接手渡ししたいという、この要求も佐々木慶子さんを中心に粘り強く外務省に交渉していまして、ついに実現することになりました。15日11時半からですね、何と30分以上にわたって、この寒空の下ですね、IAEAのスポークスマン、広報官の方が出てきて、この要請書の読み上げ、そして現地からの直接の声を聞いてくれました。

で、フクシマアクションプロジェクトとしてはそちらに要求事項を書いてあるんですけれども、1月の末までに文書で回答して欲しいということを伝えまして、その広報官の方からは、その点は強調して本部に伝えるという回答をいただいています。

もう一つ注目していただきたいのはこの被っているお面なんですね、これは人見やよいさんがデザインをしてくださったんですけれども、IAEA、福島でこれか ら活動していくんですけれども、決っして過少評価を許さない、それをしっかりと見ているという意志を込めたこの「眼」を着けてこのアクションをしました。

そ して12月16日、会議二日目なんですけれども、こちら市民会議を開催しました。で、フクシマアクションプロジェクトの関係者、そして海外からですね、 IAEAの本部があるウィーンからFoEオーストリアのラインハルトさん、そしてWHOの本部のあるジュネーブやパリのフランス厚労省の前で活動している クリストフ・エランさん、このIAEAやWHOに対して市民活動を続けているこのお二人を招いて、今後フクシマアクションプロジェクトはどういった姿勢で このIAEAを監視していくべきかということについて、会議を開催しました。

で、ここに元外務省の天木直人さんもいらしていただきまして、 ワワワの会のイベントのチラシが入っていますけれど、天木さんからは元外務官僚といった立場としてたいへん興味深いお話しをいただきました。まあ、外務省 の役人という、まあ、中にいるとですね、本当に大きな権力が動かす大規模なプロジェクトを淡々と進めなければいけない、そうすると市民の声とかを聞いてい ると、それを進めることができない、だから外務省の官僚は不勉強だし、情報もなかなか取り入れようとはしないというようなことを言っていました。本当にそれ、私たちのこのフクシマアクションプロジェクトを通じて外務省の方と話している中で感じたことなんですね。

で、その12月9日の説明会で も説明にきた外務省の方はですね、IAEAとWHOの協定についても、チェルノブイリの影響についても、知らなかったという風におっしゃっていました。で すので、まあ、粘り強くですね、コミュニケーションをして情報を伝えていくということが今後も引き続き必要だと実感しました。フクシマアクションプロジェクトは今週末、会議を開いて、継続していきますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

山下俊一氏との遭遇


地脇美和

(2013年1月23日「女たちの一票一揆」院内集会での発言)

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福島から来ました地脇美和です。私の方からはIAEAの福島での会議ですとか、一連の行動をやってみてどうだったかということの報告ということで、 お話をさせていただこうと思います。今、吉田さんの方から詳しくお話をしていただきましたが、で、私が感じたことなんですけれども、IAEAのこの世界閣 僚会議の前に、急拠、外務省による地元説明会がありました。で、それにも参加したんですけれども、その説明会に、私たちも初めてお会いする警戒区域からの 避難の方で、仮設住宅に入られている方が来られていました。

その方は本当におこっているんだということを、ずっとお話しをされたんですね。 どういうことでおこっているのか、自分たちが一所懸命訴えていることをまったくこの間、県も国も聞いてくれなかった、自分は何回も何回も話をしてきた、マ スコミにみ言ったけれど取り上げて貰えずに、どっちかと言うと頑張っている美談の話にすり替えられて報道されてきたっていうことで、とても怒ってお話をされてました。

で、一応、外務省の官僚の人たちも、頷いて聞いてはいたんですけれども、最後に外務省の人が言ったのは、「来てよかったでしょう?スッキリしたでしょう?」って言ったんですね。私はこれが外務省が地元説明会と称して急拠、やった目的と言うか、そういうことだったのかというふうに思って、それ自体は、地元説明会を開かせたこと自体は、粘り強く交渉していただいて、やらなければ絶対できなかったことなので、とても良かったことなんで すけれども、やっぱり彼らは考えていることが一枚も二枚も上手なんだな、っていうことを改めて思って、で、私はその時すかさずマイクを奪って、「聞くだけ じゃ駄目ですからね」っていうことを言いましたけれど、本当に、言い続けていくしかない、生の声を聞いたのも、福島県民の苦しみの生の声を聞いたのも、彼らは初めてだったんじゃなかったのかな、ということは感じました。

だから本当に事ある毎に言っていかなければ、どんどんどんどん風化させられていくんだと、改めて感じました。で、その時、私とか、色んな人から出たのは、福島県は既に脱原発を来めた県なのに、なんでここでIAEA:原子力を推進する機関の会議をするのか、ということを言いました。本当に危険性を語るための会議であれば百歩譲って納得するけれども、安全性に関する会議って、どの面下げて言ってくるんだって話で、本当に、皆、怒り心頭で話というか、質問をしましたが、やっぱり彼らはキチっと勉強をしたくないのか、するとやっぱり先程もあったように、自分たちの政策を進めていくのに辛いものが人間としてあるのか、分りませんが、「知らない」っていうようなことをずっと言っていまし た。

私は国際会議の傍聴も申請をして中に入ったんですけども、抗議活動で先程(吉田明子さんの話に)あったような申し入れの時は外に出たりとか、また中に入ったりっていうことで、まあ、出たり入ったりしててすべて聴くことはできなかったんですが、その中でロビーで山下俊一さんに会いまし た。

で、すかさず捕まえて話をしたんですけれども、私から質問したのは、チェルノブイリの子供たちの健康被害とか、色んな病気の人数は、本当にあなたの発表したあの数字、あの人数だと思っているんですかと聞きました。そしたら、山下さんは「自分は放射能との因果関係があるのがあの数字だと発 表しただけで、分らないものは分らない、関係がどうなっているか分らないものについてははっきりそう言っている」と言いました。でもそれによって健康被害を受けている子供がたくさんいるのは確かですよね、とお聞きしました。あなたが出したあの数字によって、子供たちを切り棄ててしまった、医療とか保障とかを受けられなくなってしまった子供たちがたくさん出た、そのことについてあなたはどう思いますか、と聞いたところ、「次元の違う話だ」と言いました。

私の方から「100ミリまで大丈夫、ニコニコしてたら大丈夫」とか、ICRPとかIAEAの規準でこれからも本当に行くつもりなんですか、それでいいと思っているんですか、っていいうふうに聞いたら、「私は医療をやっています」っていうことを言ってました。で、あと、やよいさんの方から「県民健康管理調査票があまりにも集まらないのは、山下さんへの不信感とか県立医大への不信感だというふうには思わないんですか?」と質問したところ、それについても「次元の 違う話だ」ということを言っていました。

お付きの人がいたので次、県との覚書の協定書のことがあったので、そそくさと連れられて行ってしまったんですけれども、私はその後ろ姿に向かって「福島県民はあなたに対して言いたいことがたくさんあります。福島県民と話合う場を持ってください」という言葉を投げましたが、それについては振り返りもせずスタスタと歩いていきましたが、そういう形で、本当に、何と言いますか、この間、県民健康管理調査の説明会にも出席して質問なり意見なりを言ってきましたけれども、本当にそういう場に出るたびに何と言いますか、こう、無力感というか、怒りというか、本当に、この人たちに私たちの命をなぜ委ねなければならないのか、ということを…毎回、本当に腹が立ちますし、どうしたらいいんだろうか、この人たちに対して。人間の言葉が通じる人たちなんだろうかということを、毎回毎回、本当に思いながら喋っています。

で、会議の中身なんですけれども、福島の事故についての原因がどうかとか、何が問題だったのかということよりも、まあ、玄葉大臣もそうですし、天野さん:IAEA事務局長も言っていたんですが、福島の知見を活かしてより安全な原発を推進するために、この会議を成功させたい、みたいなことがズーっと延々繰り返されるんですね。「本当に、何なんだ、この会議は!」と思いました。

まずは、まずは世界に向って謝るべきだろうって。こんだけの事故を起こして、世界に対して放射能被害を与えたということについて、まずは頭を下げるべきではないかと思ったのですが、そういうことはありませんでした。で、それに輪を掛けて、今後、経済発展に伴い、原発の導入を進める新興国に対して、最高水準の安全性を確立するために各国がそういう国に対してインフラや人材面で支援するのが大切だ、ということで、「どんどん推進していきましょう、そのためには、人もインフラも金もすべて支援しますからっていうことで、本当にこの、札束って言うか、どんどんまた拡大をしていこうっていうことを狙っている、その爲の会議なんだなっていうことを改めて感じました。恐しくなりました。この後に及んでまだこれなのか、と。まあ、最初から分ってはいたことなんですけれども、本当に、彼ら、117ヶ国も集めて、金も権力もあって、そういう人たちが堂々と福島の被爆地で会議をするという、この図々しさと言うか、「フー!(溜息)」という思いで観ていました。

会議の最中に震度4の地震が二回あったんですね、この日は。一回めはランチタイムで。午前中は満席だったんです、会場が。で、そのランチタイムが終って、地震のせいか分らないですけれど、ガクっと後半、人が減ってました。この地震にビビって帰ってくれたら嬉しいな、こういう国に原発を作ったらまたどういうことになるのかっていうことを、身に滲みて分ってくれたらいいなと思いました。

で、午後は会場ガラすきだったので、二回目の地震があった時は私もまわりの人に対して、「危いですよ!危いですよ!」って言ったんですよ。さんざん、後ろで勝手なことを言っていたんですが、ちょっと外国の方だったんで、伝わったかどうか分りませんが、「この地震は とても危険ですから」っていうことを日本語でワアワア言ってました。本当に、危機感を持って欲しいなっていうことを思いました。

私の感想は そんな感じです。本当に、IAEAの福島は植民地になっていくんじゃないか、と。これから。凄くその恐怖感というか、それを思いました。福島県議会とか県知事とかが、(将来、)市民の立場に立つものができたとしても、このIAEAとの協定がある限り、色んなことが縛られて、色んなことが妨害されて、子供たちの健康調査であるとか、色んなことが隠蔽されたりとか、被害が隠蔽されたりとか、そういうことになっていくのではということをとても心配です。そういう怖れを抱いていますので、何とかしたいと思っています。

 

要請書への回答


2013年1月17日
フクシマ・アクション・プロジェクト
共同代表
小渕真理 樣
武藤類子 樣
関  久雄 樣

国際原子力機関
広報官  ジル・チューダー

昨年12月15日に貴団体より受領しました要請書(IAEAに「福島原発事故を過少評価せず、被災者の声に真に応えることを求める」要請書)に対し、以下のとおり回答を致します。

東日本大震災とそれに伴う福島第一原発事故により被災された方々に対して改めてお見舞い申し上げます。国際原子力機関(IAEA)としては、被災者の皆様が一日でも早く元の生活に戻れるよう、引き続きできるだけのお手伝いをしたいと考えております。

去 る12月15日に福島県知事との間で署名された覚書に基づき、IAEAは今後、放射線モニタリング・除染、人の健康などの分野で、福島県と協力していくこ とにしています。これらのプロジェクトは、福島県からの要望に基づき福島県の方々と一緒に実施していくものであり、IAEAが有する国際的な知見・経験を 福島の人たちと共有し、少しでも復興のお役に立ちたちと考えています。

現在IAEAは原発を推進するという立場をとっておりません。自国の エネルギー政策をどうするのか、また、その中で原子力発電をどう位置づけるのか、あるいは既に原子力発電所を稼動させている国については将来原発をどうし ていくのか、などはそれぞれの加盟国が自ら決定する問題であります。IAEAとして、加盟国に対して原発を導入すべきである、原発の運転を継続すべきであ る、あるいは原発を停止させるべきであると言う立場にはありません。しかし、加盟国が原子力発電を導入する、あるいは継続するという決定をした場合には、 それらの原発が国際的な安全基準を十分満たし、周辺国の懸念にも十分対応する形で、安全かつ持続的に運転されるよう支援をするということがIAEAの役割 です。加盟国が自国の原発の稼動を停止し将来原発から撤退するという決定をした場合であっても、原発が停止するまでは安全基準に沿った運転が必要ですし、 IAEAとしてはそのための支援を行います。

いずれの国においても原子力発電の推進は高い透明性と信頼性をもって行われなければならないのは当然であり、IAEAは国際的評価ミッションの派遣や得られた情報の共有などを通じて、国際的な透明性・信頼性の向上に貢献しています。

福島医大とIAEAとの2013年12月協定書


竹内雅文

2013年12月に福島県は国際原子力機関(IAEA)との間に幾つかの協定書を取り交 しました。その中に、「福島県立医科大学とIAEAとの間の実施取決め」という題目の協定書があり、医大学長の菊地臣一氏と、IAEA事務次長(原子力科 学・応用担当)のモハマド・ダウド氏が署名をしています。(原文英語版:http://www.mofa.go.jp/policy/energy /fukushima_2012/pdfs/fukushima_iaea_en_06.pdf 日本語版:http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/atom/fukushima_2012/pdfs /fukushima_iaea_jp_06.pdf )

この文書には見過しにできない文言が色々と含まれています。

「1目的」という条項には、「事故後の福島県における放射線が人の健康に与える影響及び放射線リスク管理の分野において、協働活動を発展させ実施することを目的とする。」とあります。
この「放射線が人の健康に与える影響」という言葉は、次の条項にも現われます。
「2協力の範囲」という条項を読むと、「●啓発の強化:IAEAは、放射線が人の健康に与える影響に関する啓発を強化し、福島県民の放射線に対する不安及 び心的外傷後ストレス障害に取り組むことを目的として、大学と協力して、会議、セミナー及びワークショップを開催するよう努める。」となっています。
「放射線が人の健康に与える影響」という言葉には、例えばどのようなものを指しているのか、何ら具体的な説明はありません。そして、これとほとんど同じ比重で「県民の放射線に対する不安及び心的外傷後ストレス障害」なるものが並置されています。

私たちはこうした文言を、この覚書締結当時まだ県立医大の副学長であった山下俊一氏の発言として繰返し伝えられている「100mSvでもニコニコしていれば大丈夫」という文言と、相通ずるものとして理解しないわけにはいきません。
かねてよりIAEAは、放射線被曝による疾病であることが疑われる個々の症例で、その真の原因を被曝によるものと特定し連関を確実に立証することが困難で あることを論拠に、放射線の人の健康への影響をほとんど丸ごと否認してきました。そして、それに変る病因として、ストレス障害なるものを繰返し持ち出して います。
けれども、チェルノブイリ周辺で事故後に発現した大量の死者や病者、障害者、死産等に関して、個々の症例の立証が困難であるからと言って、まとめて否認す るのは、一かけらの科学性もない暴挙であり、さらに、彼らの言うストレス障害なるものに、どのような学説的論拠があるのか、一度として説得的に示されたこ とはありません。

一方の「放射線リスク管理」という言い方は、「××癌による死亡可能性は0.0×パーセントの上昇です」といった枠内に問題を押し込めるもので、こういったリスク論なるものは、実際に発病してしまった人の命の問題を確立統計の中に疎外するものです。

この医大とIAEAとの協定は、放射能による健康障害の問題を、ストレス論、リスク論という2つの軸によって成り立つ軸の中に押し込めようというもので、このような設定を行なった福島県知事の佐藤雄平氏と医大の菊地臣一氏との責任は重大であると言わなければなりません。

以上の点が、この協定の最大の問題点と思いますが、それ以外にも、幾つか留意しておくべき条項があります。

「9 知的財産」には「IAEA憲章上の任務を尊重しつつ、適当な場合かつ必要に応じ、知的財産及び知的財産権に関連する事項について相互に協議する。」とあり ます。総じてこの協定には、福島県側のみがIAEAの立場に留意するべきことが規定されています。そうした力関係に立った協定であることに注意しておく必 要があります。

「10特権及び免除」には「日本国政府が1963年4月18日にIAEAの特権及び免除に関する協定を受諾したことに留意する。」と書かれています。この協定については、別に項目を立てて解説していますので、そちらを参照してください。(準備中)