フクシマアクションプロジェクト:2014年度の活動を終えて


フクシマアクションプロジェクト事務局

(1) とてつもなく大きく、つかみどころのない国際原子力機関IAEAを相手取り、立ちはだかろうと201211月、組織を立上げて実質2年。その実態も交渉の窓口さえもつかめていないのが実態である。もちろんそれはフクシマ・アクション・プロジェクト(FAP)が名もなく貧しく実績のない極小組織であるからという理由でもあるが、福島県に問いただしても分からないのである。県でさえも直接ものが言えない立場にあるのである。思えば2年前にFAP設立直後の20121215日、IAEAと国と福島県が共催して郡山市で開催された「原子力安全に関する福島閣僚会議」初日にIAEAを直接呼び出して200人程仲間が見守る中で要請書を手渡し回答をやり取りしたことは稀有なことであったとあらためて思いかえしている。あの時は猪突猛進的ながら外務省を通したことが功を奏したのである。以来プッツンではあるがあの時は少なくても福島県民の存在をわずかとはいえ知らしめたと思っている。3.11福島原発事故を起こした当事県民として計りしれない放射能被害からいかにして自分たちのいのちとくらしを守っていくか、とりわけ子どもたちの明るい未来を確保できるかを追究していくとその先の壁にIAEAの姿が見え隠れしているのが事実である。

最近は、IAEAWHO(国連世界保健機関)だけでなく、ICRP(国際放射線防護委員会)やUNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連科学委員会)なども大義名分を掲げながら、陰で結託して世界の原発推進のために役割分担して放射線への危機意識を高めないように世界中に目を光らせていることがわかった。これは私たちの第1回学習会でフランスからイヴ・ルノワールさんを招いて講演を聞いて学んだのである。八方ふさがりのような中でも、あきらめずに小さな足取りではあっても運動を続けることが課題解決にいつかつながっていくと言えるのではないだろうか。

(2) 私たちはFAPとして継続して福島県などと交渉を続けていく中で県が「環境創造センター」を20164月に開設することを知り、昨年はこのことを重点的に取り組んだ。復興予算200億円もつぎ込んでその施設の中にIAEAJAEAの居室もあり、交流棟には展示室を設けて県内の小学5年生は全員見学させる意図は何なのか、あらたな「安全神話」の醸成になるのではないかと疑念を抱いた。その窓口である「県環境創造センター整備推進室」と何度も交渉を重ね、私たちの懸念を無視させないように努めてきた。そのための分かりやすいパンフレット第2弾「知っていますか?『環境創造センター』のこと」を作り無料配布して情報拡散に努めている。また請願書にして昨年6月から定例県議会に提出し、今年の2月と合わせて2回とも継続審議になった。しかし、あきらめずにロビー活動をして今年6月の定例県議会に3度目提出したところ採択に持ち込むことが出来た。この効果をぜひ活かしたいものと思っている。

(3)対県交渉は今年度は4回、昨年度と合わせると10回ほど実施した。「環境創造センター」建設に関しては私たちが県民にもっと知らせるべきと主張したこともあってかパブリックコメントの募集をこの10月に3週間ほど募った。周知もほとんどなされなかったのでそれほどの反応はなかったようである。その結果を公表させたいと思っている。FAPとしても意見書を提出し、後日その内容について「環境創造センター整備推進室」と直接交渉し、意思疎通を図った。展示内容についてこちら側の一貫した要望が大分理解されてきたようで課長から前向きの発言が聞かれるようになった。

(4)事務局会は今年度は7回行い当面の課題を明確化し、その実践に努めた。これまでにチラシ10 000枚とパンフ10 000部程を配布した。「IAEAに正しく対処するための資料集」を作成し販売した。販売価格を@300円と低価格に設定し、利潤よりも情報の拡散に重点を置き、IAEAの認識を広め、あいまいな実態の明確化に努めた。黄色と黒を基調にした個性的なデザインとも相まって好評を得、結果、2 000冊余を販売することができた。「お陰でIAEAの実態が分かった。」「これをもとに学習会を開いた。」などという声を聞くことができ、IAEAの実態把握にいくらかは効果があったと自負している。マスコミからも記事の掲載(20141019日 東京新聞「こちら特報部」)などが少しづつ見られるようになってきたことは知名度がいくらか広がってきているものと捉えている。

(5) 組織確立としては年間目標の会員数250人には少し及ばなかったが口数目標500口以上、600口を超えることはできた。フクシマ・アクション・プロジェクトの存在をさらに認識されるように運動の継続が必要である。県としてIAEAに対する主体性のさらなる意識の喚起と教育への悪影響を食い止めていかなければならない。

放射能のまとめ:土壌の中のセシウム137


竹内雅文

 

土壌の中に入ったセシウム137がどういう状態になっているかを考えるには、まず、土壌というものがどういうものであるかを、見ておく必要があるでしょう。

土壌の主成分は、粘土鉱物と呼ばれる細かい粒子と、岩石の細片、そして有機物と水分です。土の中の無機的な部分を見ていく時には、粒子の大きさに応じて、粗砂、細砂、シルト、粘土というような区分が行なわれるらしいのですが、私たちが「土」と感じているものは、粘土質を中心としたもので、粒子が大きくなると、「砂地」という感じになっていきます。粘土と呼ばれるのは、直径2μm以下の細かい粒子ですが、「粘土鉱物」というのはその粘土の組成をさらに細かく見ていく時に出てくる概念です。

地球の長い歴史の中で、地表近くに岩石として生成されたものが、風化、侵食などを経て、粉々になってできあがったものが、土壌の中の無機質細粒であると考えておくことにします。その主成分としての粘土鉱物は、珪素、アルミニウム、酸素などからできているのですが、その中心となる酸素と珪素との結合の仕方をモデル的に示すと、珪素を中にした四面体構造になっているというように、どんな解説にも必ず書かれていますので、ここでもそういう模式図を載せておくことにします。

ele10この「珪素四面体」と呼ばれるものには、たいへんに強固な結合力があって、土壌の温度として通常、考えられる温度のもとでは、絶対に壊れません。そして、四面体の頂点にある酸素を共有しあうことによって、四面体どうしが無限に結合して、ほぼ平面に近い形状の結晶的な強固な構造物になります。その結合の模式図を載せておきます。

この四面体が多数集まって、珪酸塩鉱物というものの骨格を作っています。その時、四面体と四面体とは、酸素を共有することによって、平面的に幾らでも繋がっていきます。こうした珪酸塩の薄い層と、アルミニウム化合物の薄い層が、粘土では交互になって重なっているものらしいですが、山などにある粘土が層のように剥がれることがあるのも、そうした構造のためです。

さて、この結合の模式図を見ていただくと、酸素が六角形に結合している様子が分るかと思います。ここには3個だけしか描いてありませんが、実際には、幾らでも上下左右に繋がっています。蜜蜂の巣のような形になっているわけではありませんが、それでも、この六角形の中は穴になっていて、つまり、ここに元素が1つ入り込める部屋があるのです。

ele11カリウム、アンモニウムなどの陽イオンがやってくると、ここが空いていれば入り込むのですが、いったん入ったものはなかなか抜け出ることがありません。鉱物側はマイナスに帯電しているので、電気的にガッシリ結合してしまうらしく、単に、穴が空いているから入っているということではないようです。これを粘土鉱物によるイオン固定と言っているようです。セシウムもここに入り込みます。いったん入り込んで固定されたセシウム137は、なかなかこの「珪酸塩鉱物」の外には出ていかないのです。

粘土に入り込むこうした陽イオンをカチオンと呼ぶことになっているようですが、カチオンには順位のようなものがあります。H>Ca>Mg>KNH 4>Na というような順位ですが、セシウムはカリウムと性質の似た元素で、粒子の大きさとしてもほぼ同等ですので、Kと書いてある位置にセシウムを嵌めて考えて差し支えないようです。そこで、Mgイオンなどが作用すれば、僅かながら、固定されたセシウムが溶かし出されることもある、ということになります。

セシウム137が入り込んだ土壌に、雨が繰り返し降れば、土壌の中のセシウムはどんどん下の方に移動していきそうに思えますが、実際にはそうなりません。特に、粘土質の土壌では移行が遅く、チェルノブイリ事故後の観察でも、そうした場所では年に1mm程度しか下っていかないことがあるようです。そういう現象は、粘土の水捌けの悪さなどから説明されるものではなく、こうした「固定」によるところが大きいわけです。

放射能のまとめ:β線の挙動


竹内雅文

ele07

セシウム137が崩壊すると、核から電子が飛び出してきます。セシウム137という不安定な人工元素は、ウラン236が壊れてできたもので、陽子の数に比較して余分な中性子を原子核内に抱えています。この中性子を陽子に変身させることによって、安定に向かうのですが、こうして陽子が1つ増える時、同時に電子が1つ、核内で生成されます。プラスが1つ増えると、マイナスも1つ増える必要があるのです。

この電子は、通常原子核の周囲にあって原子を構成している電子と違って、強い運動エネルギーを持っていますセシウム137の不安定な原子核が抱えていた余分なエネルギーを、電子の運動エネルギーとして吐き出すのだと考えれば良いようです。この時の、吐き出し方に2種類あり、電子が全面的に抱えて飛び出していく時と、かなりのエネルギーをなお核内に残したままにしておく場合とがあります。

全面的に電子が抱えて出ていく時には、運動エネルギーは最大で1 117 keV ほどになります。約112eVということです。« eV »は電子ボルトという単位ですが、1電子ボルトは「自由空間内で電子1つが 1V の電圧で加速されるときのエネルギー」と定義されています。カロリーに換算すると、10のマイナス22乗分の3,83カロリー、というような小さな値になります。

こうして、エネルギーを全面的に抱えて出ていくのは、20回に1回くらいで、それ以外の場合は、最大で514 keV、約51eVです。原子核に残ったエネルギーは、後刻、光子として放出されることになります。この、最初に飛び出していく電子をβ線、後から飛び出していく光子をγ線と呼ぶことになっています。

この飛び出した電子は、空間に存在する様々な原子と次々に反応していきます。原子の中にこの強い運動エネルギーの電子が飛び込んで来ると、原子核の外側に幾層かに分かれて存在する電子のうち、どれか1つが弾き飛ばされます。この時、β線側の電子は、その運動エネルギーを3eV程度、消耗すると言われています。そうして、エネルギーを減衰させながら、次から次へと、原子にぶつかっては、その外殻の電子を弾いていくわけです。

ele08β線が通過する原子の中には、陽子と電子があって、それぞれがプラスとマイナスになっています。プラス側、つまり陽子には、通過する電子を引き寄せる力があり、マイナス側、つまり電子には、遠避ける力があります。そこで、β線はクネクネと曲がりながら、原子の中を通過します。曲がる時にはx線が出ます。その際にも、運動エネルギーは減衰します。

運動エネルギーを失なえば、そこで電子は止まります。運動エネルギーの数値として挙げた1 117 keVとか514 keVとかは最大値で、不定です。原子を損傷する毎に3eV減衰し、それ以外にも減衰の機会はあるわけですが、止まるまでに10数万個の原子を間違いなく損傷するということです。

地面からβ線が出ているとして、空気中を飛んでくる電子は、大気中の分子を次々と通り抜けるわけで、だいたい12mで止まってしまうようです。

もっと稠密な物質の中ではもっと短い距離でエネルギーを失うわけです。金属の塊の中ですと、1 mm強でだいたい止まるようです。ですから、かなり薄い鉄板とか、アルミ板とかで、だいたい、遮蔽できることになります。ゴム板のようなものでも、そこそこの厚みがあれば良い、ということのようです。

ですから、汚染された地面の上を歩く時には、しっかりとした靴底のある靴を履くのが大切だということになります。それで真下から来るβ線はほとんど遮蔽できますが、斜めからも当然、電子は飛んできますので、半ズボンとか、ミニスカートとかは避けるべきでしょう。布では完全に遮蔽できないと思いますが、しっかりしたズボンならば、電子のエネルギーをそれなりに減衰させると思われます。

ele09吸引や飲食によって体内にセシウム137が入ってしまった場合には、体内の組織内で、電子が次々と原子を破壊していくことになります。筋肉内では、電子を10数万個弾き飛ばすのまでに、だいたい10mm程度移動して、そこで止まるようです。この途中で弾き飛ばされた電子は、また別の電子に当たって連鎖反応的に原子を壊していきます。こうして弾き飛ばされていく電子にも破壊力があるわけなので、これをδ線として扱う説明も見受けますが、核から出てくる放射線と同列に扱うのは、やや没論理的な感じがします。ただ、ここでは図解の中に入れておきました。有害であることに間違いはありません。

人体の60%以上が水分ですが、体内に入ったセシウム137から出るβ線によって水の分子を結合させている電子が弾き飛ばされると、-OHというような遊離した基(=フリーラジカル)が大量に出現することになります。こうした生成物による害については、また別項で扱うことにしましょう。

UN原子力機関はフクシマについての真相を否定


IPPNWプレスリリース (2014年12月1日付)

ドイツ連邦国会・科学研究調査局がIPPNWの論評批判を取り上げる

2014年12月1日

(和訳:グローガー理恵

ドイツ連邦国会の科学研究調査局 (der Wissenschaftliche Dienst des Deutschen Bundestages)は、国連放射線影響科学委員会(UNSCEAR)のフクシマ報告書を評価する上で、IPPNW医師団による論評批判を取り上げて いる。

科学研究調査局発行の情報文書には、IPPNWによる幾つかの重要な批判点が引用されている。引用されているのは、例えば、①UNSCEAR委員会 の委員構成に、いかに原子力国家(複数)が強い影響力を及ぼしているのか、②透明性に欠けるデータベース、③経営会社-東電による不正問題、④破損された 原子炉(複数)から絶え間なく放出される放射性物質などについてである。また、情報文書は、現在すでに、被災地域の子供たちの間で、予期されなかったほど に多数の甲状腺異常が発見されたことにも言及している。

科学研究調査局は、フクシマに関しての存在するデータに基づき最終的リスク評価を出すことは不可能であり、長期的研究調査が必要であるとの結論に達している。

10月末には既に、9ヶ国から40以上のNGO(非政府組織)が、IPPNWによる論評に基づき、国連総会の担当委員会にUNSCEAR報告書の改訂を要求した*。更に、彼らは、UNSCEARを原子力産業の影響/勢力から脱させてUNSCEARの本来の役割を果たすことができるようにすべきである として、UNSCEARの改革を要求している: UNSCEARの本来の役割とは、すなわち、電離放射線によってもたらされる健康影響について中立的な科学研究調査を行うことである。

「我々は、UNSCEAR委員会の委員たちがフクシマ原子力災害による広範で複雑なデータを評価する上で、かなりの努力を費やしたことを知ってい る。しかし、現在においても今後将来においても”識別可能な健康影響なし”という彼らの結論は、常識では受け入れられないものであり、UNSCEARの信頼性を蝕み破壊するものである」と、UN宛の公開書簡には述べられてある。

その間、明らかになったことは、UNSCEARが今年、日本の外務省から7100万円(約48万3千ユーロ)の金を受け取り、福島の住民に産業や政 府にとって都合のよい情報を提供し「放射線によってもたらされる影響に関しての余計な心配を取り除くようにすること」を頼まれていたことである。

「そのような虚偽の約束で福島の人々は救われません。彼らが待ち望んでいることは、公正な現実に即した情報であり、医療支援であり、何よりも、健康 への、そして健康な環境で生活することへの侵すべからざる人権が認められることです。このことが、フクシマにおける健康影響を評価する上での指針となるべ きでです。;経済や政治の権益ではなく…」

と、IPPNWドイツ支部理事会メンバー、そしてIPPNWによるUNSCEAR報告書の論評の共著者であるアレックス・ローゼン医師は述べる。

原文(独語)へのリンク:

http://www.ippnw.de/startseite/artikel/e8ee7f0f2dc41258e481d137e15cf7d8/un-atomorganisation-leugnet-wahrheit.html

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2835:141209〕