田中俊一委員長と会って、会話もできました!


佐々木慶子

去る7月28日、飯野町で開催された「飯館村幼稚園・小中学校教員研修会」で原子力規制委員会の田中俊一委員長の講演を聞いてきました。終了後、少しでしたが(約10分?)ご本人と1対1で会話(それも想定外な内容!)できるという貴重な機会を得ることができました。大変遅くなってしまい、今さらの感もありますがそのご報告をいたします。
(長くなりそうですみません。)
 会場の体育館には聴講の先生方ざっと40人、傍聴席には約10人、職員など合わせて計60人ほどがいました。偶然に座った傍聴席の隣には菅野飯舘町長がおられました。彼にも言いたいことがありましたが「二兎を追うもの一兎をも得ず」に従い、挨拶だけにとどめ、あくまでも「田中委員長」に狙い(?)を定めました。
 この講演会は飯舘村が来春3月以降、全村(除く長泥地区)避難解除宣言をしていることからその事前準備として「放射能不安をいかに払拭するか」の一環として開催されたことは明らかです。そこに学校教育に携わる教員を対象に「原子力規制(推進?!)委員会委員長」という重責を担う人物の肩書力をもってきて説得させようとする意図も見え見えです。
 彼の口調はとても穏やかでゆったりとしており、そこに押しつけがましさや居丈高さは微塵もなく、淡々と約2時間……。しかし、終わってみれば「放射能恐るるに足らず。1F現場からの放射能もれも心配なし。」の結論になっており、私にはエートス以上のエートス効果(?)の講演の感がありました。

以下に私が特に聞捨てならぬと思った個所のいくつかをあげます。

<その1>ー外部・内部被ばく問題についてー除染効果により飯舘地区の空間線量はほぼ全域下がっている。国の基準年間1m㏜で0.23μ㏜/h目標は高すぎで帰還の大きな妨げになっている。当面は1~2μ㏜/h程度でコントロール出来る。
<その2>-除染廃棄物についてー国の当てにならない中間貯蔵施設建設を待つよりも、村独自の処分場建設を考えてはどうか。
<その3>ー子どもたちへの期待ー放射能・放射線を正しく学んでほしい。放射線を知ることによって放射線が見えてくる。医療、宇宙、温泉などから自然や科学に幅広い知識が得られ、放射線被ばくの低減にも結び付く。「飯舘村の子どもたちは世界で最も放射線の知識を持っている」ことを誇れるようにしてほしい。
<その4>ー1Fの状況についてー
①1F敷地内汚染水タンクは1100基もありほぼ満杯に近く、破綻するのは明らかである。排出濃度以下のトリチウム水は世界中で海洋や河川に放出されている。排水濃度以下にして排水するという循環型システムにしなければ廃止措置も進まない。
②5年経過し、原子力規制委員会としては敷地外に大きな影響を及ぼす可能性はほぼなくなり、計画的に廃止措置を進められる段階にあると判断している。みなさんが再び避難しなければならないような事態は起こらないと思っていただいてよい。
<その5>ージェンダー意識の欠如についてー(私の見解)女性差別の代表的用語である「父兄」(親を指すのに母・女を無視した『家父長制度』の代表的名残)はマスコミはもちろんジャーナリストや知識人、日常用語としても事実上、使用不適切、禁止用語となっているのは周知の事実。最近はほとんど目や耳に触れることはなくなっている。ところが彼の講演中にこの言葉が何度か出てきたのである。最初、我が耳を疑ったが何度か繰り返され、彼のレジメにも明記されていた。
 講演が終了し、「これから質問をお受けしますが傍聴席の方はお帰りください。」との指示アナウンスがあった。私は田中委員長の至近距離にいる今というチャンスを捉えるべくのろのろして彼の動向を見ていました。(虎が獲物を捕らえる時のごとく?!)すると、彼は喉を潤すために私たちの近くのドリンクコーナーにやってきたのです。何人かに取り囲まれ挨拶などしていました。一瞬、人が退けたその時、私は彼の前に行って声をかけました。1問1答を以下に再現してみます。

<田中委員長との会話>

K(慶子):失礼します。私、(名乗って)福島県公立中学校の教師でした。本日は実のあるご講演、ありがとうございました。
Т(田中委員長):(きょとんとしていたが疲れていたせいか無抵抗の雰囲気)
K:今日、委員長さんは「父兄」という言葉をお使いになられましたが、現在は禁止用語扱いになっているのはご存知でしょうか。今はマスコミでも有識者のほとんどの方は使っていません。テレビなどで使われると「不適切用語を使って申し訳ありませんでした。」と謝るのが普通ですよ。
Т:(きょとんとして)どうしてですか?(すんなり聞いてきたのでこちらがびっくり)
K:(さりげなく私のうんちくを少々。最後に)この言葉を使うと「女性を敵に回しかねませんよ。」(と、とどめを刺しました。)
Т:(私の顔をあの眼鏡の奥からじっと見て聞いていた様子でしたが突然)ありがとうございました。
K:(素直に礼を言われてこちらがびっくり、一段落は成功!でも、ここで引き下がるわけにはいきません。畳みかけるように)分かっていただいてありがとうございます。委員長、再稼働はないでしょう。(と言ったとたん敏感に反応して)
Т:その問題は今日は別!(といって向きを変えて私から逃げはじめました。)
K:(逃げようとする委員長に向かって)避難計画もオフサイト建設もなしで「世界一厳しい基準」ではないですよね。委員長はさすが使ってませんが安倍総理は今も言ってますね。毎日出てくる廃棄物や汚染水も解決しないで
再稼働はありえません!地震も毎日のようにおきてます!
以上、長々と失礼しました。

如何に福島医大が彼ら自身の調査をサボタージュしているか


IPPNWドイツ支部 アレックス・ローゼン(Alex Rosen) 小児科医による批判:如何に福島医大が彼ら自身の調査をサボタージュしているか

ご紹介させていただきますアレックス・ローゼン医師の論評は、2016615日に福島民友オンラインに掲載された甲状腺検査の在り方は 受けない意思も尊重』」と題された記事に基づいたものです。福島民友の記事は、甲状腺検査を巡るコミュニケーションを担当する福島医大の緑川早苗准教授が、昨年から学校を訪れ、子ども向けの出前授業を始め、そこで緑川氏が「がんが見つかったら嫌だと思う人は、甲状腺検査を受けない意思も尊重されます」と、子どもたちに話しているという事について触れています。その他の詳しい内容については下記のリンクをご覧になって下さい:

http://www.minyu-net.com/news/sinsai/michishirube/FM20160615-084642.php

アレックス先生は、如何に福島医大が彼ら自身の甲状腺調査をサボタージュしているか、様々な点を挙げながら、明確に批判しています。そして最後に、残された唯一の希望は、子どもたちや、その親御さんたちが福島県立医学大学の方略を見抜いて、これからも集団スクリーニング検査に参加することを続けていってくれる事であると結論しています。

下記が原文(ドイツ語)へのリンクです:

このアレックス先生の論評の中で下記の動画へのリンクが紹介されてありますので、ぜひご覧になってみて下さい:

原発事故当時15歳だった女性の勇気ある証言

福島における「理不尽ながん診断」

如何に福島県立医学大学が彼ら自身の調査をサボタージュしているか

著者:アレックス・ローゼン (Alex Rosen)医学博士 (小児科医/IPPNWドイツ支部副議長)

(和訳:グローガー理恵)

201684

福島で大規模な子どもたちの甲状腺がん検査/集団スクリーニングが実施されるようになってから、今や5年経った。複数の原子炉メルトダウンを伴ったフクシマ超大規模原子力事故による影響が原子力に好意的な日本政府によって故意に過小評価されているが、少なくとも、科学者、医師、保護者会は、この集団スクリーニングの実施を押し進めることができた。 福島県立医学大学によって行われている集団スクリーニングは、福島県のみに制限されていることや透明性の低さ、原子力ロビーによる福島医大への影響力など尤もな批判があるのだが、スクリーニングすることによって甲状腺がんの早期診断や早期治療ができるという可能性を提供してくれている。

さらにチェルノブイリの場合とは違い、この調査を通して、原子力災害が被曝した住民へ及ぼす影響について重要な知見を得ることができる。

一方、5年後になって終了した1巡目と2巡目にわたる甲状腺検査の結果は、検査を受けた住民における甲状腺がんの症例数が、はじめに予測されていたよりも、はるかに高い数値であることを明示している。しかし、この事に対する日本政府の反応の仕方は独特である: 彼らは家族に、誰もが自由意志でこの検査をやめることができるということを提案しているのである。

福島医学大学の 内分泌学者/コミュニケーション担当者である緑川早苗准教授は、去年から、福島県内の学校をまわって、子ども向けの”出前授業”をやっている。”出前授業”で緑川准教授は、「理不尽な がん診断」を望まない人は、集団検査を受けることを拒否する権利があることを説明する。このような表現 (「理不尽ながん診断」)が何を意味しているのか。それは、福島医学大学の出版物を読めば、はっきりとしてくる: 彼らは、これまでに福島県の172人の子どもたちに見つかった甲状腺がん症例はいわゆる「スクリーニング効果」に関連性がある、との見解を示しているのである。福島医大は、「甲状腺がん症例がフクシマ原子力災害に起因しているとの可能性は低く、これらの甲状腺がん症例は、集団スクリーニングが実施されなかったのなら、まったく見つからなかったか、もしくは、後になった時点ではじめて見つかったであろう」との見解を唱えている。なぜ、一目瞭然である原子力災害との因果関係が最初から否定されるのか、福島医大は解説しない。また、早期転移を伴った悪性度の高い進行性がん、そして、腫瘍の浸潤性増殖および腫瘍の急速な成長が高率に発生していることについても、何の説明もなされていない。一方で、131人の子どもたちに腫瘍および転移の摘出手術が適応された。摘出手術を受けた患者は、これから一生ずっと甲状腺ホルモン剤を服用していかねばならないし、がん再発の早期発見と早期治療ができるようにするためにアフターケア検診にも臨んでいかねばならない。さらに福島医大は、なぜこのような数値 (予想外に高かった甲状腺がんの罹患率)を単に ”スクリーニング効果” と関連づけて考えるのか、はっきりとした解説をしていない。

福島医大の代表者 (緑川早苗)は学校の出前授業で、「がんが見つかったら嫌だと、がん診断を望まない子どもたちがいるのなら、その意思も、また尊重されなければならないと提唱する。また、コミュニケーション担当者でもある彼女は、子どもたちやその家族が持つべき権利について一言も触れようとしない。子どもたちやその家族が持つべき権利とは、放射線汚染の危険性原子力事故後に発生する甲状腺がんに関する知識悪性腫瘍の発見が遅すぎる場合のリスク について、偏りのない公平な情報を得ることである。その代わりに、彼女はこう述べたのである: 「原発事故の後に子どもたちは検査を受けるべきだと(汚染地域の)住民 が考えたのは当然のこと。また、検査結果を放射線と結び付けて不安に思ったの も当然のこと。でも今思えば、その全て が理不尽な体験だった」と。

そして現在、多くの科学者や医師、両親たちが、検査の受診者数が減ることで甲状腺調査の価値が失われてしまうことになるだろうと、尤もな懸念を懐いているのである。できるだけ多くの年少者に検査を受けるのをやめるようにと、それとなく提案している福島医大の打算は瞭然としている。患者の自律性というものは、今まで尊重されてこなかった – したがって、子どもに甲状腺の異常が見つかった場合、家族はそのことをなかなか知らせてもらえなかったり、検査結果に関する情報も十分に与えてもらえなかったり、他の医師によるセコンド・オピニオンは概して否定されたり、診察結果や超音波画像が両親に渡されなかったりしたのである。そうして、今や、甲状腺検査の結果は甲状腺がんと原子力災害の相関関係を更にいっそう明白に示しているため、彼らは、この 患者の自律性という美名の下に、歪曲させた、計画的かつ意図的な事実の曲解を生み出そうと狙っているのであり、この事は最終的にすべての甲状腺検査を取り消し無効にしてしまうのである。既に、福島県民健康管理調査検討委員会の前検討委座長である山下俊一医師をはじめとした日本の責任担当者たちは、集団スクリーニングを止めることを告知している。これに対して抗議をすることや、独立した公正な公衆情報を要請することこそが、当を得ており適切なのであろうが、残念ながら、そのような行動を起こすことは、日本の現在の政治情勢・経済状況を考慮すると、おそらく現実的だとは言えない。

しかし、まだ希望は残っている:それは、両親や子どもたちが福島県立医学大学の方略を見抜いて、これからも集団スクリーニング検査に参加することを続けていってくれる、という希望である。

以上

3・11 甲状腺がん子ども基金 設立記念シンポジウム


満田夏花

甲状腺がんの子どもたちの支援および健康被害状況の調
査・把握を目的とした「甲状腺がん子ども基金」が設立されます。
以下の設立シンポジウムにぜひご参加ください!
———————————————-
3・11 甲状腺がん子ども基金 設立記念シンポジウム(9/17)
9月17日(土)14:00~16:30 @北とぴあ つつじホール
講演:松本市長 菅谷昭さん
http://www.foejapan.org/energy/fukushima/evt_160917.html
福島原発事故後、福島県では172人が甲状腺がんまたは疑いと診断され。131人が手術を受けました。リンパ節転移や遠隔転移、再発など、深刻な症例も報告されています。福島県外でも、自治体や民間の自主的な検診により、子どもたちの甲状腺がんが報告されています。 甲状腺がんと診断された子どもと家族は一生治療と向き合わなければなりません。その上地域社会では孤立を強いられ、たび重なる診察や通院費用などで経済的にも困窮している家庭もあります。  こうした中、民間からの寄付により、甲状腺がんの子ども等への支援および原発事故による健康被害状況の調査・把握を行うことを目的とし、「3・11甲状腺がん子ども基金」が設立されました。  チェルノブイリ原発事故後、甲状腺がんの子どもたちの治療にあたってきた、菅谷昭・松本市長(3・11甲状腺がん子ども基金 特別顧問)をお迎えし、設立記念シンポジウムを行います。ぜひご参加ください。
◆日 時:2016年9月17日(土)14:00~16:30 (開場13:30)
◆会 場:北とぴあ つつじホール (東京都北区王子1丁目11?1)
最寄駅:JR王子駅北口より徒歩2分、地下鉄南北線・王子駅5番出口直結、都電荒川線 王子駅前 徒歩 5分
◆内 容
基調講演
「チェルノブイリと福島…子どもたちの未来のために」 菅谷 昭さん(松本市長)
「甲状腺がん子ども基金」設立について
パネルディスカッション「いま、求められていること」
パネリスト:崎山比早子さん/武藤類子さん/河合弘之さん(予定)
◆参加費:500円
◆主 催:3・11甲状腺がん子ども基金
◆申込み:不要
◆問合せ:090-6142-1807  E-mail:311kodomokikin@gmail.com
※3・11甲状腺がん子ども基金」 フェイスブックページはこちら ← 「いいね!」をよろしく!
https://www.facebook.com/311kodomokikin/
※設立シンポのイベントページ
https://www.facebook.com/events/1485839351442088/

満田夏花(みつた・かんな)/携帯:090-6142-1807
国際環境NGO FoE Japan(認定NPO法人)
〒173-0037 東京都板橋区小茂根1-21-9
Tel:03-6909-5983 Fax:03-6909-5986
http://www.foejapan.org/