放射能のまとめ : 空間放射線の測定

竹内雅文

放射能のある空間で暮さざるを得ない人にとっては、空間に常時どの程度の線量があるかを日常的に知っておくことは大切なことだと思います。簡単な測定器を用いて自分で測る場合のことを、まとめておきたいと思います。ここでは、福島事故以後の状況の中で、普通の人が普通の場所で生活するのに必要なことに限定します。

使用するメータは、例えば写真あるようなものです。生活空間の線量を一般の人が測る場合に、大型のNaIのヘッドを備えた蛍光分析式の高価な計測器(シンチレータ)などは、無用の長物です。日常的に測るのが大切なので、扱いやすいものを選んでください。

dosi5メータの裏のあたりに、小型のガイガーミュラー管が仕込んであります。安価なメータにはこの代りに半導体の使ってあるものもあります。簡単に仕組みを説明しますと、飛んできたエネルギーの強い電子や光子が管に封入してあるガスの分子に当たって電離させます。この時に一瞬起こる電圧の変化を読み取って、12回と数えていき、一定の時間の中で何回、飛んできたかを記憶しておいて、何回か繰り返してから平均値を出します。それをシーベルトに換算して表示するようになっています。

ガンマ線を測定します。裏蓋を開いた状態で用いると、ベータ線も測れるようになっている機種もあります。日常的な空間線量を知るという目的にとってはベータ線の測定はほとんど意味がありません。裏蓋を開けた状態は計器を損傷する可能性も高いので、ガンマ線に限定することをお奨めします。

屋外で地面から来るガンマ線を測定する時は、ガイガーミュラー管のある位置を手で塞がないように注意しながら、計器を水平に持ちます。計測スイッチを押してから、数値が安定するまでの間は、動かないことが必要です。動き回りながら測定すると、正確な値にならないことがあります。値が出るまで、計器の種類やその場所の状況によっては、23分かかることもあります。

同じ場所で、地面スレスレ、1cm程度の距離の場所と、体の腰のあたり、100cm程度のところと、両方測ってください。1cmは、地面から出ているままの状態を知るという意味で、100cmというのは、人体の真ん中という意味です。この時、1cmの測定位置から、動かないように、垂直に100cmまで上げて計測し、値がどの程度違うかを見ます。

距離が遠くなると、放射能は弱くなる

dosi1放射線源が点で、測定器も点であると仮定しますと、計器が受けとる放射能の強さは、距離の2乗に反比例して弱くなります。図の例で、距離aの場合と距離2aの場合とでは、距離の長い方の状態では、2×24ですので、強さは1/4になるわけです。

dosi2しかし、実際の放射線源は、地面の場合には広い平面で、測定器の検出部も点のわけではありません。地面スレスレの測定器はその直下から真っ直ぐに来るガンマ線を拾います。

dosi3しかし、ガンマ線は真上に飛ぶわけではありません。ありとあらゆる方向に飛びますので、計器を持ち上げていきますと、脇の方から斜めに飛んでくるガンマ線も拾うようになります。100cm程度の高さに構えている時には、かなり離れた地面から来るガンマ線も拾いますので、それを勘案しますと、だいたい、地面スレスレの場合の23割程度減衰した値になるはずです。

しかし、実際には、そういう値にならないことがあります。その時には、そうならない理由がありますので、なぜそうなのかを、測定した場所の状態にそって考えてみることが大切だと思います。

★ 100cmの数値が、1cmの半分以下になるなど、異様に減衰する場合

この場合は、その測定した場所が周囲に比べて極端に放射能が溜っている場所、いわゆるホットスポットである可能性が高いです。距離が離れると、線量の低い周囲から来るガンマ線が弱いぶん、急激に線量が下っていくことになります。

このような場合、ここだけの数値でそのあたり一帯の線量水準を判断しない方が良いと思いますので、数メートル移動して測り直してみてください。

★100mの数値が1cmに比べてほとんど減衰しない、あるいは、逆に高くなった、などの場合

まず、地面以外のところから、強いガンマ線が来ていないかどうかを考えます。周囲の木立、壁面、あるいは、錆びた鉄册なども放射線源ですので、そうした所により近づいた場所や、あるいは逆にそうした所から離れた場所で測り直して比較してみて下さい。

道路上などで測定した場合、路面は除染作業で削られて線量が低くなっていて、周辺は高いままである、あるいは、駅前広場の舗石の上は削られているが、花壇は高線量、とか、色々な場合があります。いずれにしても、測定器を上に持ち上げた場合の数値が高いのは、周辺部のどこかに、その場所の地面より線量が高い場所がある、ということだと考えて、その場所を突き止めてください。

屋内の数値は低くない

dosi4一般家屋の場合、室内の数値がかなり高い場合があります。特に2階の数値が高いようです。これは、壁面や、屋根にくっついているセシウムが犯人と思います。屋根や壁の材質にもよりますが、高圧水をかけて擦った程度のことでセシウムはなくなりません。

こと細かな測定による生活空間対処を

福島原発事故後、「この町の線量はだいたい●●くらい」といった発表があったり、それに基いた地図が配られたり、「ここに住むと年間●●くらいの被曝になる」といった計算式が発表されたりしてきました。

しかし、事故後3年半が経ち、計測器もかなり行き渡った現在では、こうしたもので満足せず、生活空間の放射能像を、細かに、また立体的に知ることが可能です。

実際に家の内部や周囲を丹念に測定したことのある方なら、「この家のあたりは●●シーベルトです」などということが簡単に言えないことをお分かりかと思います。「家の前の路面は0,25ですが、裏の土手は0,79です」なんていうのは、少しも珍しくないことです。

また、室内にいる間の被曝量を、屋外にいる間の1/2に見積った計算式が出回っていますが、屋外よりも部屋の中の方が線量が高いような場合も、珍しくありません。こういう計算式には何の価値もありません。


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