国連とIAEAとWHO

ロザリー・バーテル

「チェルノブイリ:信じられない失敗」(2008年)より

核事故の後の、放射線に関する健康調査、報告、援助について、IAEAの権限とされているものは、本来、権限が属していたはずのWHOに委譲されるべきです。ここで委譲というのは、言うまでもなく、WHOが放射線に関する健康問題を取り扱う能力を強化することを意味し、またIAEAから原子力を推進する権限を剥奪することも意味しています。WHOには現在のところ、この権限を遂行するのに必要な科学的素養のある人員が欠けています。この技術と、IAEA/ICRPの放射線研究独占に結びついた、歴史的秘密の故です。

1957年に、IAEAと国連との間で、「理解の覚書」が交されています。その中に一項目、たいへん議論の余地のあるものがあるのです:

第2条にこうあります:

「….情報の公開が(IAEAの)の何れかの加盟国の、あるいは誰であれ、その情報の提供元の「内密事項の侵害」になりうる時には、その情報は内密事項として保護を受けうる」

一国の内部でさえ、原子力産業はデータを専有しようとします。チェルノブイリの惨事には、サンクトペテルスブルク近郊の原子炉での、規模は小さいけれどもよく似た事故に、予兆されていたようなのですが。IAEAは1999年に、業界内部での秘密の緩和について、懸念を表明しています:

「原子力発電所に経験を積んでいない国々の中にも、そうした施設の建設と運転の企てへの関心を表明している国々があります….これら5つの(安全)課題を全うしーー適切な運転体験のより多くの分ち会い、共通の標準への強化された信頼、安全性の風土への世界規模の勇気付け、「核の安全協約」の強化、多国籍的設計の見直しの確立ーー汎地球的な安全体制は大幅に改良することが可能である。こうしたことは革命的な変化ではない。双方の上に、これまでも私たちに役立ってきた国際的協働の努力と各国的な体系とを作っていくものである。しかしそれらは、核技術が全人類の利益のために利用され続けていくことを、確実にするのを助ける」

1959年5月28日に、IAEAはWHOとの間に作業手順の合意をしました。それには次のような条文が含まれています。

第1条

2. 特に、世界保健機関の憲章と、国際原子力機関の憲章とに従って、また同じく、国際原子力機関が国際連合との間に取り結んだ合意書や、その合意書に関して交され書簡とに従って、また双方の協力関係において双方が互いに果すべき責任に照らして、世界保健機関は、国際原子力機関が、平和利用のための原子力エネルギーの研究および開発と実用とを、全世界で鼓舞し、援助し、組織する根本機関であることを認めるが、世界保健機関が、研究を含むあらゆる形態を通じて、国際的な保健活動を鼓舞し、開発し、援助し、組織する権利は損なわれないものとする。

3. 一方が、他方にとって多大な関心事である分野での、計画または活動を企てようとする度毎に、前者は後者に諮り、共通の合意において問題を処理するものとする。

IAEAとWHOとは、紙の上では「対等」ですが、この2機関の現実の権力の差は大きいのです。IAEAは核兵器の拡散を扱っているのですから、国連安全保障理事会に直接、報告をします。WHOが国連経済社会理事会に報告をし、その理事会が今度は、総会に報告するわけです。この手続上の慣習によって、WHOの声は、鈍いものにされてしまいます。これを治すには、IAEAの権限を核の拡散問題に限定し、原子力発電の推進ですとか、その他の原子力平和利用といった権限を剥奪することです。健康環境上の安全を語るWHOというものをしっかり認めて、WHOから安全保障理事会に直に報告するようにするのも、良い方法かもしれません。欧州には、国際再生エネルギー機関IREAを創設しようという、勇気を与えてくれる運動も存在しています。


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