フクシマ作業員の健康調査における難題


アレックス・ローゼン

IPPNWドイツ支部のアレックス・ローゼン医師による福島を巡る論考は、発表される度ごと、ドイツ在住のグローガー理恵さんが翻訳されたうえで、ご連絡いただいています。本サイトでは継続して掲載させていただいていますが、また新しい原稿をお送りいただきました。

2015年4月10日

和訳: グローガー理恵

フクシマ原子力災害の後、福島第一原発の敷地の中で働いてきた作業員たちは、途方もなく最も高い放射線被曝量を浴びたと言ってよいであろう。 しか し、現場の作業員たちの圧倒的多数は東電の従業員ではなく、もっと著しく酷い労働条件のもとで働く、下請け業者に雇われた臨時雇用労働者たちである。 労 働者の多くは、まともに登録もされておらず、彼らが受けた放射線被曝量も適切に記録されていないし、彼らの健康状態の実態や変化もモニターされていないの である。 多くの場合、現場で働く作業員は、短期間の臨時仕事に動員された不熟練の日雇い労働者たちであり、その後に、彼らを追跡できるような手がかりは ない。

日本のメディア報道によれば、日本のマフィア・やくざは、フクシマ原発現場のクリーンアップ作業、放射能汚染された冷却水の処理作業、または、事故 現場周辺における巨大な建設-構築計画などを請け負っている、東電の下請け業者との有利な労働契約のお蔭で利益を得ているという。

また、自ら進んで、または、善意からではあるが無鉄砲なボランティア活動の一環として、放射能汚染された地域において除染作業に関わっている数多く のボランティアもいるのだが、その中にも、高いレベルの放射線被曝量を浴びている人達がいるのである。 ボランティアの多くは、当局による除染作業努力に 成果が見られないために絶望しており、そのために彼らは、自分たちの手で、自分たちの故郷を再び住居可能にするための手助けをしたいのである。 しかし、 そうすることによって、彼らは自らを長期的健康被害に晒すリスクを冒していることになる。さらに、彼らの被曝がコントロールされるようなことはなく、被曝 線量も測定されることはないのである。

現在、広島・長崎原爆犠牲者の調査を長年にわたって行ってきた日米共同研究機関 「放射線影響研究所 (RERF-Radiation Effects Research Foundation)」が、 少なくとも、福島原子力災害の事故処理作業に従事したことが確認されている作業員達に及ぶ長期的な健康影響の調査をしようと試みている。 放射線影響研究 所 (RERF)は、2011年の3月から同年の12月までフクシマ原発現場での作業に従事していた計2万人以上の作業員を対象にして健康調査をしたいと述べ ている。 しかし実際に、不熟練の臨時雇用労働者や下請け業者の従業員として何年もの間、損壊した原子炉が並ぶ福島第一原発の敷地の中で危険な作業をして きた人々を、この大規模な調査に含めることができるのかどうか、疑わしい。

一例を挙げるなら、これまでに健康診断の参加を求められた凡そ2,000人の原発事故処理作業員達の中で、その内の35%だけが健康診断に参加する ことを明らかにしているのみである。 放射線影響研究所(RERF)の方は、作業員たちとの連絡がとれなかったり、または、作業員たちの現住所を突き止め ることができない、と主張している。 このことは、健康調査に、過度のレベルの放射線被曝量に晒された作業員たちのほとんどを引き入れることができないと いう懸念を確かなものにしているようである。  したがって、放射線被曝がもたらす長期的な健康影響に関する疫学上の評価をすることは不可能になるということである。

IPPNWドイツ支部は既に長い間、フクシマ作業員たちのための包括的な健康上のアフターケアを要求してきている。 そして、我々が繰り返し力説し てきたことは、「そのような健康調査には、安全規制・規準の対象に全くなっていない多数のボランティア作業者たちや、下請業者に雇われ、東電の従業員に適 用される安全-健康管理の基準に適わないような労働条件のもとで働く労働者たちも含めた、ありとあらゆる全ての作業員を引き入れなければならない」という ことである。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2955:150413〕

原文(独語)へのリンクです: http://www.fukushima-disaster.de/deutsche-information/super-gau/artikel/8c2ad6cfb8f78853ae03dd40ca40d3af/fukushima-arbeiter-verweigern-gesund.html

住宅支援継続打ち切りをめぐって


佐々木慶子
(インタビューに答える。2012年10月15日)

keiko_utikiri

避難者への借り上げ住宅の提供が打ち切りになるという問題で、去年の今ごろも多分、同じような問題が出てきたと思うんですけれど?

昨年、新規申し込みを今年の3月で打ち切るっていう話が出たんですね。それを聞いて、去年の12月頃だったかな、県庁の避難支援課に行って、その時のリー ダーが塩見さんっていう方だったんですけれど、彼と交渉しました。私たちは毎月、6の日に「沈黙のアピール」っていうのをやっておりまして、この11月で 84回になるんですけれども、これは2010年からズーっとやっているものですけれども、そこと関連して、ついでにっていくか、これは緊急課題だっていう ことでやりましたが、塩見さんっていうリーダーの方はたいへん真面目に話を受け取っていただけて、「こういうことは他のグループなどからも声が上がってる し、皆さん、」つまり私たちです。その時は5〜6人で行ったんですが、「良く分りました」と。で、「何とかしてみます」っておっしゃったんです。

で 最初は県の方針によってしか動けない、みたいなことをおっしゃっていたんですが、でも、あなたのところが一番の主体的な責任を持って要求を出すところで しょって、県がどうのこうのよりも、あなた自身の方針として県に出してくださいって、お願いしたんですよ。そしたら、「分りました。そのように、じゃあ、 皆さんの声を受けて、出してみます」っていうことで、ちゃんと約束してくれて、結果、それ(打ち切り)が撤回されたっていいう非常に、私たちとしてはやっ て良かったという実感のある交渉でした。

その後、塩見さんのところに行って、私たちの声を受け入れてくれてありがとうございましたってい う、お礼も言ってきて、でも残念ながらその方が今、替わっちゃったんですよ、担当者が。それで次の人がいるので、来月の12月5日に「沈黙のアピール」を やる時に、その新しいリーダーの方と、秘書課の課長と、関連の方を喚んでいただいて、そこで打ち切りをやめてくれるように、と、それを強く申し入れしま す。

今年は去年とは違うという感じが?

全体的に、私も危機意識を持っているんですが、福島県の復興状況が県を中心に大々的に「安全、安全」っていう、復興対策がうまくいっているとか、避難区域が一部解除されたり、色んなイベントがやられた り、つい最近も東日本女子マラソンですか、去年も反対したにもかかわらず今年もちゃんとやってるし、3年後は国主催の植樹祭をやるとか。福島で。そういう ふうに安全キャンペーンっていうか「もう大丈夫だよ」みたいなキャンペーンが行なわれていて、それだけでなくて私たち県民自身も表面は何でもないかのよう な生活をしてます。

マスクもしている人は少ないし、洗濯物も表に乾してるし、私の家自体もそうなんですが、一年半ぐらいは窓をいっさい開け なかったんです。特に南側は。最近はやっぱ、空間線量が下ったっていうことで、私たち自身も窓を開けているような状況だし、一見、事故前と変らないよう な、そういう生活に見えるところが怖い。だから福島県はもう普通の生活しているから、何でもないんだ、もう原発の問題は割と癒やされてるのかなって、福島 県外の人に見られるのが非常に怖いのです。

それをいいことに、色んな支援対策が打ち切られつつあるんじゃないかと。だから、そういう風潮が 拍車をかけて、そういう支援対策が縮小の傾向になるのは非常に危険です。一見、何でもないようでも、問題を抱えている人は、一皮剥けばっていう人はたくさ んいます。諦めて声を出さない人とか、もう望みを失なって、生き甲斐を失なっている人とか、本当にそういう人が結構、多いっていう現実をもっと深く見てい ただきたいっていうのが私の危機意識だったり、全国の皆さんに対するお願いでもあります。

表面だけで、もう大丈夫だって、風化させないで欲 しい。福島県の現状は何ら変わってません。ある程度、表面的には慣れみたいなのがあって、匂いも何もしない放射能との闘いなので、一見、大丈夫なのかなっ ていう、そういう油断もあるのは事実ですが、でもいっさい解決されていない、いつ何時、もっと大きな地震が来たら、福島原発1号機から4号機なんて今にも 崩れそうになってますから、またあれと同等、あるいはそれ以上の放射能汚染が拡がる怖れもあるんです。そういうことを考えたら私たちは精神的に安全・安心 は得られておりませんので、そこのところをしっかり、もっと深く見て、福島の原発災害、原発震災を忘れないでいていただきたいっていうのが、私たちの願い です。

これからもまだ、避難して欲しい人たちがいるっていうことに?

今、健康調査を子供 を中心に行なわれてますけれども、それに対する疑問や不信感もたくさん出ているし、本当に新に、C判定の人が出たっていうことです。で、一人はB判定が出 て、癌の怖れがあるっていう人が一人出たんですが、もう一人出たっていう最近の情報もありますし、比率から言ったら本当に高い割合で出てるんですね、これ までになく。

だから、この結果が、本当に3年後、4年後が本当に怖いと思います。その時が恐しいので、私たちは決して安心しているわけでは ありませんので、特に小さなお子さんを抱えていらっしゃる親御さんたちは本当に心配してますので、福島の今後を、見捨てないでいただきたいと思います。

今後も県への要請を?

はい。頑張ってこれからも県との交渉は続けていきますので、色々お願いすることもあると思いますので、今後ともよろしくお願いしたいと思います。