Cラボ(名古屋)3周年報告会


大沼淳一

私たちの市民放射能測定センター「Cラボ」も発足以来3年が経ちました。
市民放射能測定所は全国に100か所ほど設立されましたが、福島原発事故の衝撃の風化とともに、依頼測定件数が減少し、運営(経営)が困難になってきているところも出ています。しかし、食品の放射能汚染は続いています。
たしかに、基準(100Bq/kg)を超過するような食品は漸減していますが、まだまだ数値化できる放射性セシウムを含んだサンプルはたくさんあります。これまで漸減してきたのは半減期2年のセシウム134がどんどん減衰したからであって、今後は、半減期30年のセシウム137が主役となるために、なかなか減らなくなるのです。
一方、とんでもない数値の魚が福島近海では依然として捕獲されています。

また、ストロンチウム90を高濃度で含有する汚染水が流失を続けていて、その影響も心配です。この核種は半減期が29年で、しかも、骨に沈着すると生理的半減期はほぼ永遠という始末の悪い核種です。測定が難しいなどとうそをついてまで、国が意図的に測定をサボタージュしている現状は許しがたいことです。この核種の測定は、核実験以来全国の都道府県衛生研究所などで継続的に行われてきたのです。それが、福島事故の前後に測定されなくなっているのです。
この事態を打破するために、市民測定所でストロンチウム90の測定が出来る「ベータラボ」の設立が模索されてきたのですが、このたび福島県いわき市にある「たらちね」市民放射能測定所にベータラボが設置されました。
化学実験室の整備や測定機の購入、専任スタッフ3名の雇用などで、約3000万円の寄付金が集まって、発足式を迎えたのです。同時にトリチウム(三重水素)の測定もできます。ストロンチウムの本格測定は来年4月からだそうです。

私たちのCラボも、元気に3周年を迎えました。この間、約3000検体の測定をしてきました。
岩手県の土壌放射能汚染調査(316地点)も行って、県南地域2市2町の深刻な汚染を明らかにしました。
(この調査結果を根拠にして、岩手県知事に健康調査の実施を要求していますが、まだ良い結果を得られていません。)
Cラボで作製した基準玄米キットが全国の市民放射能測定所の測定精度の管理に大活躍しています。基準玄米キットの使用によって、測定器メーカーの解析ソフトウェアの欠陥を発見して、メーカーにソフトの全面改造をさせたり、測定がうまくいかない測定所の応援に出向いて、問題を解決したりもしています。
Cラボも参加して、「みんなのデータサイト」という食品汚染状況検索サイトも立ちあがって、21の測定所の約1万データがアップされていますので、是非のぞいて見て下さい。

http://www.minnanods.net/

というわけで、12月7日(日)に下記の要領でCラボ3周年報告会を開催します。是非お出かけください。参加費は無料です!
記念講演は、崎山比早子さんに来ていただきます。原子力市民委員会の会合でお目にかかった時に、「最近「老化」の研究論文を集めているが、低線量被曝による健康被害のメカニズムと老化のメカニズムには相似性ある」と話されていたのを聞いて、3周年記念講演をお願いしました。

Cラボ3周年報告会・12月7日(日)
 崎山比早子氏記念講演
「え!がんだけじゃなかったの?老化と放射能って関係あるの?」

と き/12月7日(日)
ところ/東別院会館2F 会議室「蓮」
*名古屋市地下鉄・名城線東別院駅下車4番出口徒歩3分
参加費/無料
*今後の活動のため、ご協力いただける方はお気持ちでカンパを頂ければ幸いです。

記念講演/崎山比早子さん
「え!がんだけじゃなかったの?老化と放射能って関係あるの?」
~無視され続けてきた放射線被曝による非がん性疾患・老化の促進との関係~

■略歴:千葉大学医学部大学院卒、元マサチューセッツ工科大学研究員、元放射線医学総合研究所主任研究官、元国会事故調調査員、高木学校・原子力教育を考える会のメンバー
■専門: がんの細胞生物学

<プログラム>
13:00 開場
13:15 開会挨拶
13:20 Cラボの活動報告
○3年間の測定結果・試料種別・依頼種別などのまとめ
○測定ボランティア養成講座・交流会・学習会などのまとめ
○調査報告 市場調査・Sr-90監視調査・岩手県土壌汚染調査・みんなのデータサイト測定キャンペーンなど
14:00 崎山比早子さんの講演と質疑
16:00 閉会挨拶

*閉会後、崎山さんをお迎えして懇親会(食事会)を予定しています。ご都合の
つく方はお気軽にご参加ください。(懇親会は参加費が必要です)

主催:未来につなげる・東海ネット
市民放射能監視センター(略称:C-ラボ)

川内村の原産会議プロジェクト


大沼淳一

「緑亭通信」より転載

原子力産業会議といえば、原子力ムラの本丸です。

原産会議が福島県川内村で行っている「きずなスクエア構想」の紹介動画を下記のサイトで見ることが出来ます。
http://www.jaif.or.jp/ja/jaiftv/archive53.html
(8分間ですから、簡単にのぞくことが出来ます。)

内容は見ればわかりますが長崎大学医学部の若い女性保健師が村に常駐し、村人の相談にのっているという紹介が入り、この娘さんがナレーターで動画は進みます。長崎大学は、この村に「長崎大学復興推進拠点」を設置し、彼女はその駐在員ということのようです。村内7か所には食品放射能測定器が備えられて、持ち込まれた農産物の測定を行っています。

30分測定で1核種あたり6Bq/kgが検出限界のようでした。村の祭りや各種イベントのサポートもしているようです。これが、まさに原子力ムラ側の「福島で心豊かに暮らす(?)」モデルなのでしょう。

彼女は、「放射能は恐れすぎてもいけないし、無関心でもいけない」などと教訓をたれています。

こういうやりかたは、ベラルーシで進められたエートス運動に似ています。国際原子力ロビーを構成するIAEAやICRP などが主導し、汚染地域で放射能におびえずに、「正しく(?)」放射能を測定し、被曝線量を測定し、自己管理しながら明るく生きるやり方を住民に指導したのです。

川内村で進められているのは、まさにそのコピーかと思われます。むしろ、IAEAもICRPも、福島に入ってきていますから、コピーではなく、エートスプロジェクトがすでに始まっていると考えた方が良いのかもしれません。

原発事故で放射能汚染した地域でまず大切なことは、避難の権利が認められ、避難先での新しい人生設計を十分にサポートされることです。その上で、どうしても故郷を離れられない人のために、汚染と被曝線量を常にチェックして、極力被曝を避けながら生活する方法が示唆されるべきでしょう。

ところが福島県では、やみくもに帰還政策が強行されています。避難先で、賠償や行政からのサポートが打ち切られて、帰還せざるを得ない状態に追い込まれるような事態も進行しています。安心して避難できない、放射能を恐れる発言さえ封じられ、マスクをしただけで白い目で見られるような状況が続いています。

それにしても、こんな若い娘さんを現地駐在させて進められるプロジェクトを、長崎大学医学部と原産会議がコラボしているという構図は、実に怪しからん、実に恐ろしいことです。