福島子どもプロジェクト2014春


川崎哲

ピースボートは本年も「福島子どもプロジェクト」として、南相馬の中学生たちに国際交流の機会を提供します。明日出発してシンガポールとスリランカを訪ねるプログラムの概要は以下の通りで、幅広く支援金も募っております。ご協力、ご支援をどうぞよろしくお願いします。

「福島子どもプロジェクト2014・春」~異文化を体験するアジア国際交流の旅~

ピースボートとピースボート災害ボランティアセンターでは、“保養”と“国際交流”の体験を通して、“夢”と“健康”を届けたいと2011年の震災後から「福島子どもプロジェクト」を立ち上げ、実施しています。今回参加する子どもたちは、南相馬市の中学生12名です。他民族国家として知られるシンガポールと、民族間の内戦の歴史を持つスリランカを訪れ、異なる民族や宗教、言語をもつ人々が共存することの難しさや大切さについて学びます。また、スリランカでは、2004年のスマトラ沖地震による津波の被害とそこからの復興について現地の人々とも交流する予定です。現在資金が足りていません。是非、暖かいご支援をよろしくお願いします。

◆期間:2014/3/21~31 (11日間)

◆子どもたちの様子はブログをチェック!
http://pbv.or.jp/blog_fukushima/

◆ご支援のお願い

◇クレジットカードでの募金はこちら↓↓↓
http://pbv.or.jp/donate/fukushima.html

◇その他、郵便振替、銀行振込で出来ます!
詳細→http://pbv.or.jp/donate/fukushima.html

福島県の汚染の状況と子供たち


吉野裕之

2012年12月15日、脱原発をめざす首長会議勉強会(郡山市労働福祉会館)より

私は福島市に住んでおります吉野と申します。家族は3月20日に避難しました妻と娘です。今、離れ離れになっています。という意味で、私の家族は自主的に避難した者であり私は福島市に在住している者であり、今、子ども福島ネットという団体で保養プログラムの世話人をしていますが、被災者でもあり支援者でもあるというやや複雑な立場にいます。

私のお話ししたいことは、この福島の保護者の状況、子どもたちの状況が、どのようなものであるかということです。見ていただきますと、私たちの団体で最新型のシンチレーション式の測定器で測りました。ちょっと細かいんですが、ここの公園は確かに除染はされていると思いますが、通学路、生活圏はまだまだ線量が高い状態です。これが地上1mで測ったものです。

通学路を見ていくと、0,9、0,78、色んな数字が残ってますが、子どもたちは線量が低いところだけ歩くわけにはいきません。ようやく、仮置き場は福島市内に2カ所決まりまして、これから通学路が除染されるっていうことですが、これからの話です。今現在、汚れている状況になっていることに変りはないです。

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そして、これは福島競馬場の裏なんですが、阿武隈川を挟んだ向う側にはゴミの焼却場があり、サイクリングロードが非常に汚れている状況です。このサイクリングロードを使ってマラソンをするという学校がやはりあります。これは自分たちの学校のフィールドの一つということで、体育の時間を行われるという状況があります。

モニタリングポストですがこれは渡利の学童保育の近くで0,322という値を示しています。シンチレーション式を持っていくと、だいたい似たような数字ですが、5m離れると0,575、10m離れると0,733、ということはモニタリングポストがここに見えているところで遊んでいる地面は0,733あるということですね。こういった状況が起っています。

福島市の北側にある非常に広い芝生の公園、ここは私、娘を連れてよく遊びに行ったところなんですが、芝生全面、入れ替えています。大変な作業だったと思います。線量が下っています。0,201ですか。5m離れると0,412、10mで0,539、カラー舗装の上に立つと0,727という状況です。

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ここのカラー舗装のところはあずまやに続いていて、ベンチに座ったりお茶を飲んだりするところが0,727。ただ、ここにあるポストを見ると0,201ですから、自分は0,201のところにいると感じるわけです。こういった状況が福島市の現状です。

二本松市では、子どもたちはガラスバッジをぶら下げて生活し、外部被曝の線量を測っています。残念なことながら二本松市の調査で分ったことは、子どもたちの45,3%は去年よりも線量が上ってしまっています。そういうデータが分りました。木村真三さんがアドヴァイザーで、「乳幼児や子どもたちには長期にわたって気を使う必要がある」ってコメントされています。

子どもたちは、年間、5mSv以上、増えているっていう子どもたちがいるんですが、一方、原子力発電所と、例えばレントゲン技師さんとかですね、放射線を扱っている仕事をしている人たちの年間平均どのくらいだったでしょうか。黄色いところは1mSv以下で仕事をしている方々です。98%は男性です。つまり放射線に一番強い体を持っている成人男性が労働者の98%で、ほとんどの人は1mSv以下でずっと仕事をしてきたんです。これが昨年度、どれくらいまで上ってしまったかは分りませんが、21年度のデータっていうのはキチンと報告が検索ですぐに出てきます。

子どもたちが受けている外部被曝の量と、お金を貰って仕事をしている労働者の被曝量と比べてみると、子どもの方が遥かに高いですね。そういった場合に、大人は子どもの5倍も8倍も放射線に強いって言われている中で、保護者の不安が増すのは当たり前なんじゃないかなっていうふうに思います。

なおかつ、これも11月に県が発表したものですが、切干し大根を作る上で、乾燥して最終的に質量が1/20になりますが、3000Bqを超えてしまったというデータがありました。これは結果的に軒下、地面近くの壁際が一番、放射線量が高くなる、と。干す場所によって変わりました、ということを認められたということなんですが、地面の近くを歩いているっていうのは誰か。背の小さい子どもです。この子どもたちが、ずっとここ、そういう環境にいると、切干し大根のように、もしかすると内部被曝を誘発してしまう。子どもの外部被曝は上っています。何故かと言うと屋外活動の制限を撤廃したからです。部活動、運動会、体育。通学の時にマスクをしない。色んなことが子どもたちの健康への不安を現わしている。これは隠し切れない事実となっています。

子どもたちは、体重が減っている子どもたちがいます。特に乳幼児、幼稚園児、保育園児。余りにも外で運動できないためん食欲が増しません。ご飯が食べられません。それで体重が減っている。去年の郡山の小児科の先生が調べてくださったものですが、体重の増加率が1/4になっている。全国平均に比べても半分以下。で、この小児科の先生は何をされたかっていうと、屋内遊び場の整備を提言され、郡山市は屋内遊び場を整備してくれました。これは非常に画期的なことです。で、子どもたちが自由に汗をかきながら、遊ぶことができる。福島市の東運動公園の方では、ちゃんとこういったジュニアの陸上教室をやって、体の動かし方を忘れないよう教えている。私たちは保養プログラムに子どもたちを連れていっていますが、転び方を忘れて、転んだ時に怪我が多きくなる?体育の時間も、体育館でやっているがために学校の時間の中で怪我をする率が増えているのは確かであります。

屋内遊び場の整備ということがされていますが、私たたいがやりたいのは、実は自然の中で遊ばせてあげたいっていうことです。自然の中で五感を養いながら、自分の感覚を使って遊ぶ、この経験が健全な精神に繋がり、発達を促す。ということになると思います。まるで宇宙船の中で育てているような感覚がするというような保護者の声があります。キチンとした通常の健全な心に、「うちの子、本当に育ってくれるかしら」といったような不安があります。

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これは山形県の河北町に遊びに行った時、これは川西町で泊めていただいた時。下は米沢まで保育園の子どもたちをバスで連れていきました。なかな私立の保育園で保護者に全部負担させてしまうのは難しいということで、私たちに集っている寄付金でバスを出しましたが、帰りのバスでもテンションが上がって仕様がなかったですという喜びの声を園長先生からいただきました。

ただ単に河原で遊ぶだけ、枝を拾ったり、草藪に入っていったりするんんですけど、それができない福島の状況です。こういった取り組みによって子どもたちの成長に少しでもプラスになる実感をプレゼントしてあげたいっていうのが私たちの活動です。

また、クラス単位での移動教室をぜひやって欲しいと思っています。なぜかと言いますと、夏休みなどには民間の保養プログラムが北海道から石垣島まで20àプラン以上、私たちの許に寄せていただいています。これを窓口として紹介し、保護者の方に参加していただいているんですが、なかなか数が稼げません。200プランで30人が定員だとすると、6000人分なんですが、蓋を開けてみると、インターネットに接続ができるお母さんたちが、やはり少しでも子どもたちを出したいっていう願いから、何回も応募されるんですね。そうすると夏休みの間に、北海道に1週間いて、帰ってきたら香港に2週間行って、帰ってきて、1日たったら今度は広島に行くという子どもが本当にいます。そうすると、6000人が実質上は半分になって、あるいは1/3だったりするんですね。

ということは夏休み200プランあっても外に出られている子どもたちは2000人ぐらいかもしれない。これは私たちの窓口を通った子どもたちだけですが。機会の均等という意味でも、インターネット環境にある、情報にアクセスしやすいお母さん方の子どもたちだけしか参加できないていうのが問題です。

ですから、通常のクラス単位でいつも遊んでいる学びあっている級友どうしで行く安心感で、移動教室をぜひ行なって欲しい。これが伊達市が新潟県の見附市と提携を組みまして去年やっていますが、教育的効果も非常に高いそうです。子どもたちどうし、自分たちでお皿も洗うし、布団も敷くし、掃除もするし、そうすると普段お母さんにやってもらっている生活ではない生活、皆でルールを作って皆でそれを守りながら一緒に共同生活する中で親離れもできる、実は子離れもできるということなんですね。社会性を育てる上でも非常によい機会になているということです。規則正しい生活、そして安全な食事によって免疫力を上げていく。これはメダル市でも年間24日間あって、26年たつ今でも保養プログラムはされているということですが、今通っている子どもたちは2世です。

つまり何らかの健康的な障害があって、保養プログラムに参加し、まったく汚染のないところで、まったく汚染のない食べ物を食べているという生活をしている子どもは未だにいます。そうさせないためにも、福島でまだまだ内部被曝っていうのはベラルーシに比べて少ないかもしれない、そう願いたいんですが、外部被曝の危険もあって外で遊べていない子どもたちに思う存分、体を動かしてもらう、集団生活の楽しさを知って、社会のルールも学んでもらう。これえが何がいいかというと、受け入れ側の自治体にとっても、非常にいい影響を産んでいるんですね。子どもどうしが交流をする、困った時には助けあうもんなんだなっていうことが分る。

移動教室に行って帰ってきた子どもたちは「ぼくも人に役に立つ人になりたい」っていうふうにはっきり言っている子どももいます。自分たちが困っている時には助けてもらうことができるんだ、そうやって受け入れてもらう安心感の中でぼくたち生きていていいんだということを確認していただけるんでしょう。

また学校の先生たちも、カリキュラム同じものであっても教え方に差がありますから、切磋琢磨し、先生方にとっても非常にいい学びの機会になっているということが伊達市の例から分りました。

これからの展開としましては、明日、選挙ですが、新しく政権を取ってくださる方々と一緒に子ども被災者支援法、原発事故を受けてある一定レベルの汚染があるところからの避難、それから住み続ける、在住、避難先からの帰還、この3つどれを選択するとしても、市民の権利ですと、いうことを国が認めました。

これは国会議員さんの議員提案によってできた法律ですので、まだ中身がはっきり決まっておりません。理念法として通ているだけなんですが、その法制化を目指すために私たちは日弁連さんですとか、東日本大震災全国ネットワークJCNさんと一緒に、ネットワークを組みまして、支援法市民会議として法制化と予算の裏付けを行って欲しいということを11月に復興大臣に直接手渡しをしてきました。避難指定や検診や医療について調査ではなく、健康被害の未然防止の観点から考えて欲しいということ。在住している私たちのような市民にとって大事なこと、避難をしている方々の支援について考えていきたいということです。

年間1mSvというこれまでの法律をキチンと守って欲しいということ。基本方針や個別施策の実施い当事者の声を入れしい欲しいっていうこと、そして早期の予算化。既にもうズレ込んでいます。昨日、実は内閣府にうかがってお話をうかがってきましたが、今のままいくと、5月に予算が決まって執行は6月からだろうということでした。それでは学校のカリキュラムを組む11月、12月、調整を行なう1月のスタートに間に合わないですね。

それでは来年度の移動教室が難しくなってしまうので、そこをどういうふうに動いていくことができるか、これは校長先生、教育委員会、行政の方々の熱い思いで、子どもたちのためにぜひ、これはやりたいということを、国のほうに言っていただければ、私たち民間としても、npoが支援できる部分が結構あります。放課後の支援、終末の支援なんかは保養プログラムをやってくださっている団体と一緒に動くことができますので、官民共同の作戦で子どもたちを守っていきたいというふうに思っています。

こういうことを赦してはおけない


宇野朗子

2011年9月17日「原発から撤退集会」(佐賀市)より

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・・・・住民の人たちが避難の権利を与えられていないっていうことです。

今、除染がいるんだっていうのは、住民を外に出さないっていうための・・・・除染でもあるって、私たちは感じています。そして福島市の職員の方々がはっきりと言ったのは、避難というのは地域経済の縮小に繋がる、それはますい、だから除染なんだっていうふうにおっしゃったそうです。そして除染の具体的な見通しはほとんど無きに等しい、そして除染のためのマンパワーも足りないので、住民の方にも担っていただくことになるっていうふうにおっしゃったそうです。

私たちは、こういうことを赦してはおけないというふうに思います。こういうふうに除染、見通しの立たない除染。除染しなければならない、というのは皆思うわけですけれども、でも、その前にやはり、汚染がない地域で最低限度の文化的生活を営む権利というのは私たちは基本的人権としてもっています。そういう人権を福島県民も、別の地域の人たちにも、ぜひ保障していただきたいっていうふうに思います。

そして、こういうふうに大人がやっている蔭で、6ヵ月間、子どもたちが日々、被曝を強いられています。私たち大人が見る、後からどんどん出されてくる汚染地図ですけれども、子どもたちの年齢に置き替えて見てみれば、その汚染地図はもっともっと深刻になっているっていうふうに、私たちは見んあければならないと思います。

40年以上、この国策であった原発を推進するために40年以上、福島県民は原発の安全神話の中で、原発について語ることも許されず、過してきました。そして3.11。実際に私たちが心の底では一番怖れていた原発の苛酷事故が起きてしまってから、今度は原発安全神話ではなくて、被曝しても大丈夫だと、「放射能は安全です」ていうような大宣伝が行なわれてしまいました。

そうすることによって、福島の大人たちがXX元気を失くしています。その中でたくさんの不安を抱えて、そして自分たちの間でXXX思っていて、自由にものが言えない中で不安を抱えながら、過ごしているという状況があります。

この混乱の中で子どもたちが取り返しのつかない被曝XXを重ねないように、本当にまわりの皆さんの助けを本当に必要としています。どうぞよろしくお願いします。

一つ、お手紙を紹介させていただきます。中学2年生、三春町に住まわれていますXXカヨさんという方のメールを、許可を得て、読ませていただきます。

お元気ですか? 私は東京での友達も増え、楽しくやっています。でも三春を100点としたら、東京は80ぐらいでしょう。私は今、政府と東電に、もの凄く腹を立てています。どうして東電が嘘をつき、安全だと言い張るのか、どうしてこんな事故が起きても、政府は原発再開を目指すのか、そして何よりも大人が勝手に作った原発で、何故、福島の子どもが被曝しなくてはいけないのか、この怒りはどこにぶつけたらいいのか、ぶつけたとしても、聞いてくれるような政府なのか、何も分らない日々を、ただ送っています。

カヨさんの怒リというのは政府に向けられていますけれども、でもその先にやはり、私たち、この社会を作った私たち大人一人ひとりにも向けられている、というふうに思います。今、汚染地域に暮さざるをえないでいる子どもたちを私たちがどういうふうに守るのか。これから、こういう福島の原発震災で起きたこの悲劇を二度と繰り返さないというふうに私たちが決意をできるのか、ということが問われているというふうに思います。

66年前、敗戦によって私たちは過ちから学んで、軍国主義から脱して、戦争を放棄して、平和国家としてもう一回歩み始めるっていうふうに誓ったと思います。今、また私たちは痛恨の過ちを犯してしまいました。この思いを、原発主義から脱して、核の幻想と訣別するっていう決意を主権者である私たち一人ひとりが示していく、今、そういう時だと思います。

子どもの諸器官へのCs137の慢性蓄積


ユーリ・バンダジェフスキー

スイス医学週報(SMW)(2003年)

要約

チェルノブイリ大惨事による降下物で激しい汚染を受けたベラルーシのホメリ地方で、私たちは1990年以来、田園地域の人々、特に子どもたちの諸器官内のCs137の蓄積の進展を研究してきた。子どもたちは、同じ地域に住む成人に比べて高いCs137の平均値を示している。

私たちは解剖時に諸器官のCs137の水準を測定した。Cs137の特に高い蓄積が見られたのは、内分泌腺で、特に甲状腺、副腎と膵臓である。心臓、胸腺、脾臓にも高い値が見られた。

序文

チェルノブイリ原子力発電所の爆発(1986年4月26日)以来、ベラルーシの放射能に汚染された諸地区で生活する子どもたちは、ベラルーシでもCs(セシウム)137に汚染されていない地域の子どもたちには滅多に見られない慢性の疾患に苦しんでいる。放射性沃素ショックなるものの病原的役割については沢山のことが書かれてきた。それは数十種ばかりの短寿命の放射性核種に、基本的には沃素131に因る。沃素ショックはまた、幾つかの状態の進行に糸口をつけ、それがそのまま、体内に取り入れられたCs137による慢性的な低線量被曝の下で、引き継がれていく、ということもありうる。チェルノブイリ周辺に生活する人々の身体組織内に、ここ17年、作用し続けている人工放射能は、長寿命の放射性核種に因るもので、主にはストロンチウム(Sr90)、セシウム(Cs134そして特にCs137)だが、さらにプルトニウムを含む各種のウラン派生元素がある。

Cs137の子どもの体内での効果を研究する場合、1987年3月以降の出生で、たとえ子宮内であろうとも、沃素ショックに傷めつけられていない子どもたちを選択するのが肝要である。正常な妊娠であれば、胎児を保護するために胎盤は母体の血液中を循環しているCs137を吸収する。Cs137の胎盤への集積が100Bq/kgを超えると、胎児は傷めつけられる。

新生児は母乳からCs137を摂取する。地域の村で生産された牛乳や野菜を飲食している子どもたちは体内に少しずつCs137を蓄め込んでいく。特に高いCs137の集中が見られるのは野生の漿果や茸、狩猟鳥獣で、貧困家庭はこうした食品に頼っている。

研究法

ホメリ病理研究所でとられていた研究法

セシウムはガンマとベータ、双方の線源である。ベータ線はゲノムと細胞の構造に対して、ガンマ線よりも放射線としての毒性が強いが、セシウムの人体内での単位体重あたり放射能を測定する時に使用されているのはガンマ線である。全身を測定するのと、諸器官に蓄積しているCs137の水準を測定するのとでは、私たちは異なった装置を用いている。

ベルラド研究所は放射線防護の独立機関だが、その移動チームによる測定は、装置の状態を年に一度、欠かさず精査することによって、精確さを保っている。さらに、ドイツとベラルーシの共同プロジェクトの一環として、異った装置(ベルラド研究所所有のウクライナ製«スクリーナ3M»型全身測定器7台、ユエリヒ研究センター所有のドイツ製«カンベラ・ファストスキャン»型移動測定用全身測定器2台)各々の癖を、相互校正でチェックすることができた。初めは11%ほどもあった誤差範囲が、後には7%以下に抑えられるようになった。体重1kgあたり5Bqを下回ると、測定の精確さは保障されなくなる。

解剖中の器官の検査など、実験室内での試料の体重あたり線量の測定には、ベルラド研究所から自動式の«Rug-92M»型ガンマ放射線測定器が、ホメリ国立医学院に提供されていた。測定時間は、100Bq/kg以上の試料の場合で1分、50-100Bq/kgの試料では10分である。49Bq/kg以下になると、精度は減少する。また、各試料の再測定をフランスで行ない、発見に間違いのないことを確かめた。

測定結果と議論

解剖=病理学的アプローチ

病理研究所では異なった器官それぞれについて、Cs137の集積状態を必ず計測するシステムになっていた。妊娠期間中ずっと、母体の血液中を循環しているCs137は胎盤が吸収、蓄積し、胎児は比較的うまく防護されているように見受けられる。多重畸形による流産の場合には、胎児に高い線量のCs137が見られる。

6ヵ月を過ぎた赤児からは高い線量が測定される。«表1»には、赤児の13器官について、Cs137の数値を示した。

«表1»
赤児6人の13器官で測定したCs137

 123456
死因敗血症早発性畸形敗血性出血脳畸形心臓病敗血症
器官




心臓5333 4250
62541661071
1491
肝臓250 277525 851 882 1000
肺臓1125
2666
400
1195
1500
2610
腎臓1500
1687
259
2250
812
583
3000
1363
305
90
1693
714
甲状腺4333
6250
250
1900
未検1583
胸腺3000
3833
1142
3833
714
833
小腸2500
1375
571
3529
2200
590
大腸3250
3125
261
3040
4000
2125
3750
1250
1500
未検未検未検
脾臓3500
1500
428
1036
2000
2125
副腎1750
2500
未検2500
4750
2619
膵臓11 000 12 500 1312 未検未検2941

Cs137の体重あたり放射能がもっとも高い数値は膵臓、副腎、心臓に見られるが、胸腺、胃、腸壁も高い。症例1と2では、集積しているCs137の値は、膵臓では肝臓のそれぞれ44倍、45倍にもなっている。

成人と子どもの各器官でのCs137の蓄積

ホメリ地方の田園地帯に居住する成人と子どもの解剖の際に、8つの異った器官に含まれていたCs137を調べた。子どもの平均的な;Cs137測定値は、同じ環境に生活する成人の2倍から3倍の高さである。(図1)

調べたすべての器官で、放射性セシウムの測定平均値は、子どもの方が成人より高かった。ホメリ州の田園地帯の町村での、学童の全身測定値も、やはり成人の値を上回った。

«図1»
1997年に死亡した成人と子どもの;諸器官内での放射性同位体の蓄積

banda_f11:心筋
2:脳
3:肝臓
4:甲状腺
5:腎臓
6:脾臓
7:骨格筋
8:小腸

1997年調査の、10歳以下の子どもたち

1986年の4月26日から6月までの間、チェルノブイリからの放射性降下物は濃密であった。放射能の2/3は短寿命の放射性各種によるもので、もっとも重要なのは沃素131であった。1987年以降に出生した子どもたちは、«子宮内»も含めて、«沃素ショック»によっては傷つけられていない。

病理研究所では、様々な原因で死亡した、ホメリ州の田園地帯の町村の子どもたち51人を調べた。このグループは沃素ショックを受けていない。慢性的な内部被曝がこの子どもたちの病気の源であったとしても、放射性セシウムなど長寿命の放射性核種、に帰因できるであろう。調べた13の器官について平均数値の高い順に、標準偏差付きで示したものが«表2»である。

ホメリの国立医学院では、器官への放射性セシウムの蓄積に因る細胞の損傷を研究した。諸器官にこの放射性核種が蓄積したことに因る機能障害、ないしは疾病については、臨床的、疫学的、ラットとハムスターによる解剖=病理学的ないし動物実験的な論文が計20編ある(1〜4の文献を参照)

«表2»
1997年、ホメリ地方の10歳以下の子ども52人の13の器官でのCs137の体重あたり平均測定値

器官Bq of Cs-137/kg
1:甲状腺2054 ± 288
2:副腎1576 ± 290
3:膵臓1359 ± 350
4:胸腺930 ± 278
5:骨格筋902 ± 234
6:小腸880 ± 140
7:大腸758 ± 182
8:腎臓645 ± 135
9:脾臓608 ± 109
10:心臓478 ± 106
11:肺429 ± 83
12:脳385 ± 72
13:肝臓347 ± 61

Cs137のもっとも高い平均値が見られるのは膵臓を含む内分泌腺である。甲状腺のCs137の蓄積量は肝臓より6倍も高い。内分泌腺の次に高いのは胸腺で、平均930Bq/kgにもなる。

結論

子どもたちが体内に抱えてしまっているCs137については、さらに調査を進めるべきであるし、様々な疾病の発症に関しては集中的な研究が必要である。放射能に汚染された耕地が次第に耕作されるようになってきているし、放射能汚染された食品が全国的に流通している現在、ことは急務である。

汚染地域の学童たちは放射能汚染のない食品を学校食堂で無料で提供されていたし、また毎年、綺麗な環境のサナトリウムで一カ月を過した。しかし経済的な理由から滞在期間は短縮され、汚染地域内の町村の中に、「きれい」に分類し直されるところが出てきた。そして、国家によるきれいな食品の提供も終りにされてしまうのである。

文献

1 Zhuravlev F. Toxicology of radioactive substances, Second Ed. pp 336, Energoatomizdal, 1990.
2 Bandazhevsky Yu I. Pathology of incorporated radioactive emission. Gomel State Medical Institute 2001; pp. 91.
3 Bandazhevsky Yu I. Radiocaesium and congenital malformations. Internat J Radiation Medicine 2001:3:10–11.
4 Bandazehvsky Yu I & Lelevich V V. Clinical and experimental aspects of the effects of incorporated radionuclides upon the organism. Gomel 1995; pp 128.