福島県への公開質問書


2013年11月11日
福島県生活環境部環境センター整備推進室長 片寄久巳様

福島県は
IAEAが今、県内で進めている事業内容をいかに把握し、
当事県としてそれに対していかなる見解を持ち、
IAEAに何を求めるのかを問う   公開質問書

フクシマ・アクション・プロジェクト
共同代表  小渕 真理
______武藤 類子

< 要旨 >
最近、「国際原子力機関(以下 IAEA)の国内外での言動が目立っています。IAEAの天野之弥事務局長は、茂木敏光環境相(10月中旬)、田中俊一原子力委員長(10.10)、米国ケリー長官(10.31 於ワシントン)などと次々に面談し、汚染水問題や調査団派遣による海洋モニタリング実施などについての意向を伝えています。

また、IAEAが福島県内に研究拠点として建設予定の「県環境創造センター」の施設概要も少しずつ明らかになって来ています。三春町の施設は2階建てで本館・研究棟・交流棟の3棟から成り、「日本原子力開発機構」(以下 JAEA )や国立環境研究所から200人規模の研究者も呼び込み、国内外の知見を結集し、2015年度の運用開始を目指しているとのことです。

主要目的は
(1)放射線量の測定と放射性物質の分析の調査研究
(2)除染技術や放射線、県土の環境回復情報発信
(3)子どもや県民のための環境教育と交流
などが挙げられています。

交流棟には世界で2基目の360度の球体シアターを設置し、「放射線の正しい知識や本県の美しい自然美の映像を上映」し、県内の小学5,6年生全員が一度は来館できるようにするとの方針が打ち出されました。これは「放射能の安全教育」につながる洗脳教育にならないかが危惧されます。

また、10月17日~21にかけてIAEA調査団が福島県に入り実地調査を行いました。期間を同じくして、来日中のIAEA専門家チームのフアン・カルロス・レンティッホ団長は21日、都内で記者会見を行い、日本政府が除染の長期目標に掲げている年間追加被曝線量1mSvについて「1mSvに必ずしもこだわる必要はない。」との見解を環境相に提言しました。この発言は原発立地町村に混乱をもたらしたばかりでなく、福島県としても看過できない重要な視点です。11月下旬には政府とIAEAが共同で海洋モニタリングを実施し、その報告書も出される予定です。

今、福島県は東京電力福島第一原発敷地内の汚染水問題が緊迫しています。汚染水貯蔵タンクからの汚染水漏れの連続発覚に加えて、台風26号後の8月19日に汚染水貯蔵タンク周辺の高い放射線量の水たまりの確認、それらの堰からの汚染水の漏えいと海洋流出問題、それらに対しての東電による「止まらぬ人為ミス」(9月27日~10月9日間に5件発生)も発覚しています。

さらに11月8日からは第一原発4号機の使用済核燃料プールから燃料1533体の取り出しが始まるとされています。一度でも失敗すれば「第2、第3のフクシマ」になりかねない「汚染水以上に心配。」(田中原子力規制委員会委員長談話)とまで言われています。余震も頻繁に起きています。まさに福島県は“非常事態下”にあります。2020年の招致予定のオリンピック・パラリンピックどころか2年後の2015年いわきで開催するとされている「第6回島サミット」(日本・太平洋諸島フォーラム首脳会議)を安全な状態で開催できる保証はどこにもありません。この深刻事態をどのように捉え、どのように対応していくのかが喫緊の課題です。

私たちはこれまでのチェルノブイリ原発事故などに対するIAEAのあり方からIAEAは世界的な原子力の推進機関であり、その平和利用を強調し、危険性を矮小化してきた機関と捉えています。IAEAが私たち原発被災者のためになる実績を私たちに示してこの疑念を払拭してくれるように福島県として全力を尽くすことを求めます。

以上を踏まえて、福島県としてIAEAの最近の一連の言動をどのように受け止め、IAEAの県内の動きをどのように捉え、IAEAに当面、最重点に何を求めていくのかについて、以下についての回答を求めます。恐れ入りますが11月19日までに文書での回答をお願いいたします。

-  記  -

1、 福島県はIAEAが現在福島県で行っている活動をどのように把握していますか。
(1) 調査活動の内容とそのデータ取得について
(2) 「県環境創造センター」研究棟での研究内容について
(3) 福島県立医大との「健康管理調査」の実態
(4) 汚染水の問題解決策と一の4号機からの燃料棒取り出しについて安全対策についての協力内容
(5) その他
2、 福島県として、最近のIAEAの言動に対する見解を述べてください。
(1) IAEA団長による10.21除染目標発言「年間1ミリシーベルトにはこだわらない。」に対しての見解
(2) 三春町に建設予定の「県環境創造センター」交流館への小学5,6年生全員の来訪計画の目的は何か。「放射能の安全教育」と繋がる恐れはもっていないか。
3、 福島県は県内原発全基廃炉と再生可能エネルギーへのシフト転換を正式に決定しています。そのことをIAEAにしっかり伝えていますか。また、その方向での協力依頼をしていますか。

以上

福島県の汚染の状況と子供たち


吉野裕之

2012年12月15日、脱原発をめざす首長会議勉強会(郡山市労働福祉会館)より

私は福島市に住んでおります吉野と申します。家族は3月20日に避難しました妻と娘です。今、離れ離れになっています。という意味で、私の家族は自主的に避難した者であり私は福島市に在住している者であり、今、子ども福島ネットという団体で保養プログラムの世話人をしていますが、被災者でもあり支援者でもあるというやや複雑な立場にいます。

私のお話ししたいことは、この福島の保護者の状況、子どもたちの状況が、どのようなものであるかということです。見ていただきますと、私たちの団体で最新型のシンチレーション式の測定器で測りました。ちょっと細かいんですが、ここの公園は確かに除染はされていると思いますが、通学路、生活圏はまだまだ線量が高い状態です。これが地上1mで測ったものです。

通学路を見ていくと、0,9、0,78、色んな数字が残ってますが、子どもたちは線量が低いところだけ歩くわけにはいきません。ようやく、仮置き場は福島市内に2カ所決まりまして、これから通学路が除染されるっていうことですが、これからの話です。今現在、汚れている状況になっていることに変りはないです。

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そして、これは福島競馬場の裏なんですが、阿武隈川を挟んだ向う側にはゴミの焼却場があり、サイクリングロードが非常に汚れている状況です。このサイクリングロードを使ってマラソンをするという学校がやはりあります。これは自分たちの学校のフィールドの一つということで、体育の時間を行われるという状況があります。

モニタリングポストですがこれは渡利の学童保育の近くで0,322という値を示しています。シンチレーション式を持っていくと、だいたい似たような数字ですが、5m離れると0,575、10m離れると0,733、ということはモニタリングポストがここに見えているところで遊んでいる地面は0,733あるということですね。こういった状況が起っています。

福島市の北側にある非常に広い芝生の公園、ここは私、娘を連れてよく遊びに行ったところなんですが、芝生全面、入れ替えています。大変な作業だったと思います。線量が下っています。0,201ですか。5m離れると0,412、10mで0,539、カラー舗装の上に立つと0,727という状況です。

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ここのカラー舗装のところはあずまやに続いていて、ベンチに座ったりお茶を飲んだりするところが0,727。ただ、ここにあるポストを見ると0,201ですから、自分は0,201のところにいると感じるわけです。こういった状況が福島市の現状です。

二本松市では、子どもたちはガラスバッジをぶら下げて生活し、外部被曝の線量を測っています。残念なことながら二本松市の調査で分ったことは、子どもたちの45,3%は去年よりも線量が上ってしまっています。そういうデータが分りました。木村真三さんがアドヴァイザーで、「乳幼児や子どもたちには長期にわたって気を使う必要がある」ってコメントされています。

子どもたちは、年間、5mSv以上、増えているっていう子どもたちがいるんですが、一方、原子力発電所と、例えばレントゲン技師さんとかですね、放射線を扱っている仕事をしている人たちの年間平均どのくらいだったでしょうか。黄色いところは1mSv以下で仕事をしている方々です。98%は男性です。つまり放射線に一番強い体を持っている成人男性が労働者の98%で、ほとんどの人は1mSv以下でずっと仕事をしてきたんです。これが昨年度、どれくらいまで上ってしまったかは分りませんが、21年度のデータっていうのはキチンと報告が検索ですぐに出てきます。

子どもたちが受けている外部被曝の量と、お金を貰って仕事をしている労働者の被曝量と比べてみると、子どもの方が遥かに高いですね。そういった場合に、大人は子どもの5倍も8倍も放射線に強いって言われている中で、保護者の不安が増すのは当たり前なんじゃないかなっていうふうに思います。

なおかつ、これも11月に県が発表したものですが、切干し大根を作る上で、乾燥して最終的に質量が1/20になりますが、3000Bqを超えてしまったというデータがありました。これは結果的に軒下、地面近くの壁際が一番、放射線量が高くなる、と。干す場所によって変わりました、ということを認められたということなんですが、地面の近くを歩いているっていうのは誰か。背の小さい子どもです。この子どもたちが、ずっとここ、そういう環境にいると、切干し大根のように、もしかすると内部被曝を誘発してしまう。子どもの外部被曝は上っています。何故かと言うと屋外活動の制限を撤廃したからです。部活動、運動会、体育。通学の時にマスクをしない。色んなことが子どもたちの健康への不安を現わしている。これは隠し切れない事実となっています。

子どもたちは、体重が減っている子どもたちがいます。特に乳幼児、幼稚園児、保育園児。余りにも外で運動できないためん食欲が増しません。ご飯が食べられません。それで体重が減っている。去年の郡山の小児科の先生が調べてくださったものですが、体重の増加率が1/4になっている。全国平均に比べても半分以下。で、この小児科の先生は何をされたかっていうと、屋内遊び場の整備を提言され、郡山市は屋内遊び場を整備してくれました。これは非常に画期的なことです。で、子どもたちが自由に汗をかきながら、遊ぶことができる。福島市の東運動公園の方では、ちゃんとこういったジュニアの陸上教室をやって、体の動かし方を忘れないよう教えている。私たちは保養プログラムに子どもたちを連れていっていますが、転び方を忘れて、転んだ時に怪我が多きくなる?体育の時間も、体育館でやっているがために学校の時間の中で怪我をする率が増えているのは確かであります。

屋内遊び場の整備ということがされていますが、私たたいがやりたいのは、実は自然の中で遊ばせてあげたいっていうことです。自然の中で五感を養いながら、自分の感覚を使って遊ぶ、この経験が健全な精神に繋がり、発達を促す。ということになると思います。まるで宇宙船の中で育てているような感覚がするというような保護者の声があります。キチンとした通常の健全な心に、「うちの子、本当に育ってくれるかしら」といったような不安があります。

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これは山形県の河北町に遊びに行った時、これは川西町で泊めていただいた時。下は米沢まで保育園の子どもたちをバスで連れていきました。なかな私立の保育園で保護者に全部負担させてしまうのは難しいということで、私たちに集っている寄付金でバスを出しましたが、帰りのバスでもテンションが上がって仕様がなかったですという喜びの声を園長先生からいただきました。

ただ単に河原で遊ぶだけ、枝を拾ったり、草藪に入っていったりするんんですけど、それができない福島の状況です。こういった取り組みによって子どもたちの成長に少しでもプラスになる実感をプレゼントしてあげたいっていうのが私たちの活動です。

また、クラス単位での移動教室をぜひやって欲しいと思っています。なぜかと言いますと、夏休みなどには民間の保養プログラムが北海道から石垣島まで20àプラン以上、私たちの許に寄せていただいています。これを窓口として紹介し、保護者の方に参加していただいているんですが、なかなか数が稼げません。200プランで30人が定員だとすると、6000人分なんですが、蓋を開けてみると、インターネットに接続ができるお母さんたちが、やはり少しでも子どもたちを出したいっていう願いから、何回も応募されるんですね。そうすると夏休みの間に、北海道に1週間いて、帰ってきたら香港に2週間行って、帰ってきて、1日たったら今度は広島に行くという子どもが本当にいます。そうすると、6000人が実質上は半分になって、あるいは1/3だったりするんですね。

ということは夏休み200プランあっても外に出られている子どもたちは2000人ぐらいかもしれない。これは私たちの窓口を通った子どもたちだけですが。機会の均等という意味でも、インターネット環境にある、情報にアクセスしやすいお母さん方の子どもたちだけしか参加できないていうのが問題です。

ですから、通常のクラス単位でいつも遊んでいる学びあっている級友どうしで行く安心感で、移動教室をぜひ行なって欲しい。これが伊達市が新潟県の見附市と提携を組みまして去年やっていますが、教育的効果も非常に高いそうです。子どもたちどうし、自分たちでお皿も洗うし、布団も敷くし、掃除もするし、そうすると普段お母さんにやってもらっている生活ではない生活、皆でルールを作って皆でそれを守りながら一緒に共同生活する中で親離れもできる、実は子離れもできるということなんですね。社会性を育てる上でも非常によい機会になているということです。規則正しい生活、そして安全な食事によって免疫力を上げていく。これはメダル市でも年間24日間あって、26年たつ今でも保養プログラムはされているということですが、今通っている子どもたちは2世です。

つまり何らかの健康的な障害があって、保養プログラムに参加し、まったく汚染のないところで、まったく汚染のない食べ物を食べているという生活をしている子どもは未だにいます。そうさせないためにも、福島でまだまだ内部被曝っていうのはベラルーシに比べて少ないかもしれない、そう願いたいんですが、外部被曝の危険もあって外で遊べていない子どもたちに思う存分、体を動かしてもらう、集団生活の楽しさを知って、社会のルールも学んでもらう。これえが何がいいかというと、受け入れ側の自治体にとっても、非常にいい影響を産んでいるんですね。子どもどうしが交流をする、困った時には助けあうもんなんだなっていうことが分る。

移動教室に行って帰ってきた子どもたちは「ぼくも人に役に立つ人になりたい」っていうふうにはっきり言っている子どももいます。自分たちが困っている時には助けてもらうことができるんだ、そうやって受け入れてもらう安心感の中でぼくたち生きていていいんだということを確認していただけるんでしょう。

また学校の先生たちも、カリキュラム同じものであっても教え方に差がありますから、切磋琢磨し、先生方にとっても非常にいい学びの機会になっているということが伊達市の例から分りました。

これからの展開としましては、明日、選挙ですが、新しく政権を取ってくださる方々と一緒に子ども被災者支援法、原発事故を受けてある一定レベルの汚染があるところからの避難、それから住み続ける、在住、避難先からの帰還、この3つどれを選択するとしても、市民の権利ですと、いうことを国が認めました。

これは国会議員さんの議員提案によってできた法律ですので、まだ中身がはっきり決まっておりません。理念法として通ているだけなんですが、その法制化を目指すために私たちは日弁連さんですとか、東日本大震災全国ネットワークJCNさんと一緒に、ネットワークを組みまして、支援法市民会議として法制化と予算の裏付けを行って欲しいということを11月に復興大臣に直接手渡しをしてきました。避難指定や検診や医療について調査ではなく、健康被害の未然防止の観点から考えて欲しいということ。在住している私たちのような市民にとって大事なこと、避難をしている方々の支援について考えていきたいということです。

年間1mSvというこれまでの法律をキチンと守って欲しいということ。基本方針や個別施策の実施い当事者の声を入れしい欲しいっていうこと、そして早期の予算化。既にもうズレ込んでいます。昨日、実は内閣府にうかがってお話をうかがってきましたが、今のままいくと、5月に予算が決まって執行は6月からだろうということでした。それでは学校のカリキュラムを組む11月、12月、調整を行なう1月のスタートに間に合わないですね。

それでは来年度の移動教室が難しくなってしまうので、そこをどういうふうに動いていくことができるか、これは校長先生、教育委員会、行政の方々の熱い思いで、子どもたちのためにぜひ、これはやりたいということを、国のほうに言っていただければ、私たち民間としても、npoが支援できる部分が結構あります。放課後の支援、終末の支援なんかは保養プログラムをやってくださっている団体と一緒に動くことができますので、官民共同の作戦で子どもたちを守っていきたいというふうに思っています。