福島県の子どもたちの甲状腺がん:破綻した「過剰診断」論


満田夏花

8月31日の「福島県県民健康調査委員会」で公開された資料の内容および当日の審議内容をもとにまとめました。
深刻な状況なのに受診率も下がっています(1巡目検査の受診率は81.7%であったのに比して、2巡目の検査の受診率は激減し、44.7%)。
もはや「事故との因果関係」を否定することに固執するのはやめ、政治的な思惑抜きに、手術後の症例などもふまえてきちんと議論するべき局面です。
また、「リスコミ」という放射線安全神話のプロパガンダではなく、被ばく低減、健診の拡充にこそ予算を投じるべきでしょう。
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ファクトシート:福島県の子どもたちの甲状腺がん
「悪性または疑い」137人に
http://www.foejapan.org/energy/news/150904.html
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2巡目25人、うち前回「問題なし」23人

8月31日、福島県県民健康調査委員会で、福島県の子どもたちの甲状腺がんの最新の状況が明らかになりました。
それによれば、甲状腺がんの悪性または疑いと診断された子どもたちの数は、合計137人。2014年から始まった2巡目検査で甲状腺がんまたは疑いとされた子どもたちは25人。この中には、1巡目の検査で、問題なしとされた子どもたち23人が含まれています。
「疑い」とは、ここでは、細胞診において「甲状腺がん」と診断された人のことです。「確定」とは手術後に摘出した組織などを調べて診断した結果です。
国立がんセンターの統計データでは、甲状腺がんは10代後半で10万人に約0.9人とされています。現在、福島の子どもたちの甲状腺がんの率がそれをはるかに上回ることについては、「スクリーニング効果」、すなわち一斉に甲状腺エコー検査を行うことにより、通常よりも前倒しで発見されたことによるものと説明されてきました。しかし、すべてを「スクリーニング効果」とする根拠が不十分である上、2巡目の検査で前回問題なしとされた23人については、説明できません。
多いリンパ節転移や甲状腺外浸潤
破綻した「過剰診断」説

政府は、2巡目で甲状腺がんが見出されて以降も、「事故との因果関係は考えにくい」とし、一部の専門家たちが唱えている「過剰診断論」を盾にして新たな対策を取ろうとしません。

「過剰診断」とは、ここでは「生命予後を脅かしたり症状をもたらしたりしないようながんの診断」をさしています。すなわち、大したがんでもないのに、「甲状腺がん」と診断し、手術を行うことをさしています。
しかし、8月31日、手術を受けた子どもたち99人の症例について、福島県立医大(当時)の鈴木眞一教授によるペーパーが公開され、リンパ節転移が72例にのぼること、リンパ節転移、甲状腺外浸潤、遠隔転移などのいずれかに該当する症例が92%にのぼることが明らかになりました。県民健康調査委員会の清水一雄委員も「医大の手術は適切に選択されている」と述べています。すでにこの「過剰診断論」は破綻しているのです。

資料はこちらから>https://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/129308.pdf

鈴木眞一教授は、ずっと甲状腺がん検査の責任者でしたが、以前より、「過剰診断」という批判に対して、手術を受けた患者は「臨床的に明らかに声がかすれる人、リンパ節転移などがほとんど」として、「放置できるものではない」としていました。

1巡目と2巡目の比較
福島県立医大は、2011年10月から2014年4月まで行われた1巡目の検査を「先行検査」とし、事故前の状況の把握と位置づけています。また、2014年4月からはじまった2巡目検査を「本格検査」として事故後の状況の把握としています。この両者を比較してみましょう。

1巡目調査

2巡目調査

* 対象:平成23年3月11日時点で、概ね0歳から18歳までの福島県民。 367,685人。
* 受診者300,476 人(81.7%)
* 悪性ないし悪性疑い113人
* 男性:女性38人:75人
* 平均年齢17.3±2.7歳(8-22歳)、震災当時14.8±2.6歳(6-18歳)
* 平均腫瘍径14.2±7.8㎜(5.1-45.0 ㎜)

細胞診等で悪性ないし悪性疑いであった113人の年齢、性分布(検査時の年齢)

* 対象:先行検査における対象者に加え、事故後、2012年4月1日までに生まれた福島県民にまで拡大。 378,778 人、
* 受診者169,455人 (44.7%)
平成26年度実施対象市町村において
* 悪性ないし悪性疑い25人
* 男性:女性11人:14人
* 平均年齢17.0±3.2歳(10-22歳)、震災当時13.2±3.2歳(6-18歳)
* 平均腫瘍径9.4±3.4㎜(5.3-17.4㎜)
細胞診等で悪性ないし悪性疑いであった25人の年齢、性分布(検査時の年齢)
<第20回福島県県民健康調査委員会(2015年8月31日)資料をもとに作成>
受診率の低下~リスコミという名の不安対策の弊害

心配されるのは受診率の低下です。1巡目検査の受診率は81.7%であったのに比して、2巡目の検査の受診率は激減し、44.7%です。
ただでさえ、被ばくによる健康リスクについて考えたくない心理がある上に、政府の「被ばくは大したことはない」「不安に思うことのほうが健康に悪い」といった放射線安全キャンペーンが効を奏していると考えられます。
政府は、リスク・コミュニケーションといった不安対策に巨額の予算を投じるのではなく、個々の症例についての分析と、県外への健診の拡大、甲状腺がんのみならず、甲状腺の機能低下やその他の疾病も見据えた総合的な健診のあり方を真剣に検討すべきでしょう。

22,000人以上の子供たちに 見つかった 新たな嚢胞と結節


IPPNWドイツ支部:福島の小児甲状腺がん症例数が100件以上に – 22,000人以上の子供たちに 見つかった 新たな嚢胞と結節

和訳:グローガー理恵

2015年6月10日

5月18日、福島県の甲状腺検査の最新結果データが公表された。その間、急速に成長した腫瘍や、または転移が見られた甲状腺がん症例のある計103人の子供たちが手術を受けなければならなかった。

それに付け加えて23人に甲状腺がんの ’強い疑い’  があるとの診断が下されている。ここで懸念されることは、過去2年間の間に、解明が必要とされるような検査結果がさらに増えているということである:最初 のスクリーニング(先行検査)においては、まだ何の甲状腺異常も検出されなかった22,837人の子供たちに、今、2巡目のスクリーニング (本格検査)で嚢胞や結節が確認されたのである。

しかも、その内の235人に見つかった嚢胞/結節のサイズが非常に大きかったため、さらなる解明が緊急に必要とされたのだった。これまでの時点で、 5人に新しいがん腫瘍が見つかり、手術が行われた。- もう単なる「スクリーニング効果」だけで説明がつけられない、憂慮すべき現象である。

そして更に、日本全国で甲状腺がん症例数がもっと上昇することが予測されなければならない。2013年のUNSCEAR報告書には、フクシマ原子力事故により日本国民が受ける甲状腺の集団預託実効線量 (生涯甲状腺線量の集団積算線量) は 【112,000人・シーベルト】になるであろうと推計されている。この数値にしたがい、BEIR-VII報告*のリスク係数【0.009/人・グレイ】 を用いて算定すると、およそ1,000件の甲状腺がん症例数を予測しなければならなくなる。しかしながら、UNSCEAR(原子放射線の影響に関する国連 科学委員会)によって示された集団線量はシステマティックな過小評価に関わる数値であろうから、おそらく、もっとはるかに高い症例数を予測しなければなら ないだろう。

原文(ドイツ語)へのリンク:

http://www.fukushima-disaster.de/deutsche-information/super-gau/artikel/f8c64211e80db4835cad2d7c8d865abc/mehr-als-100-schilddruesenkrebsfaell.html

(注)

*BEIR 委員会:「電離放射線の生物学的影響」に関する委員会。米国科学アカデミー(NAS)/ 米国研究評議会(NRC)の下に置かれている放射線影響研究評議会(BRER)内の1 つの委員会である。もともとは、1954年のビキニ事件をきっかけに、アメリカ国内の放射線防護基準の策定に資するために設けられたBEAR(原子放射線 の生物学的影響)委員会が前身で、1970 年に名称変更されBEIR 委員会となっている。BEIR 報告は、アメリカ国内にとどまらず、国際的な放射線防護基準の基礎とされるICRP(国際放射線防護委員会)の勧告やUNSCEAR(国連・原子放射線の 影響に関する科学委員会)の報告にも大きな影響をこれまで与えてきた。(ソース:http://www.csij.org/01/archives/radiation_002.pdf )

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye3021:150625〕

何千、何万という「がん疾病」の過剰発生を危惧


IPPNW プレスリリース

何千、何万という「がん疾病」の過剰発生を危惧

IPPNW記者会見 – フクシマ原発災害4周年にあたって

2015年3月3日

(和訳: グローガー理恵

フクシマ原子力災害から4年、日本の人々への健康影響が現れ始めている。原子放射線の影響に関する国連科学委員会 (UNSCEAR)によるデータは、日本では放射能汚染のために16,000件までのがん症例の過剰発生と9,000件までのがん死の過剰発生が予測されるということを示している。  医師団体IPPNWは、実際の数値は、それよりも、もっとはるかに高くなるかもしれないと見なしている。 なぜなら、UNSCEAR報告書に記載された放射能放出量(ソースターム)の数値は、日本原子力研究開発機構(Japan Atomic Energy Agency)からの情報だけをベースにしており、独立した研究所/機関によって出された明らかにもっと高い数値を考慮していないからである。

さらに、UNSCEARによる内部被曝線量の算定やフクシマ原発の作業員の線量 計算に関しても深刻な懸念がある。

甲状腺がん症例は、予測される 「がん罹患」のほんの一部を示しているにすぎない。 最初の一巡目の甲状腺集団スクリーニング(先行検査)の枠内での細胞診において、計109人の子供た ちに甲状腺がん診断が確定された。 その間、この内の87人が、手術を受けた。 これまで、県民健康調査検討委員会は、これらの予期されなかった高い症例 数は 「スクリーニング効果」のためである、としてきた。 スクリーニング効果とは、もっと後になった時点になってから初めて臨床症状が出たであろうという症例 が、集団スクリーニングで発見されることの知見である。

しかし、2014年の12月から再検査 (本格検査 )の最初のデータが出ている。 再検査を受けた子供たちの57.8%に結節や嚢胞が見つかったのである。 最初のスクリーニング(先行検査 )においては、これらの(結節もしくは嚢胞が見つかった)割合が、まだ48.5%であった。 この事は、最初のスクリーニング (先行検査 )において、まだ何の異常も見つからなかった12,000人以上の子供たちに、現在、再検査(本格検査 )で、嚢胞と結節が確認されたということを意味する。 すでに、これらの子供たちの内11人に穿刺吸引細胞診がなされ、今、その内の8人にがん疾患の ‘強い 疑い’があるとの診断が下された。 過去2年間の間に発生したに違いない、これらの ”がん症例” を、もはや、「スクリーニング効果」で説明することはできない。

甲状腺スクリーニング(検査)は、福島県のみに限定されている。 日本の他の地域においてや非常に放射能汚染された福島に隣接した県(複数)におい てでさえも、同じ類の集団スクリーニングは実施されていないのである。 究極的には、他の県においても多数の甲状腺がん疾患が発生するかもしれない可能性 があるにもかかわらずである。

「二巡目のスクリーニング(本格検査)結果は憂慮すべきことです。 確かに、これまでのところは、まだ再検査結果の部分的なデータのみが提示されて いるだけですし 、原子力災害による長期的な健康影響を評価できるには、まだ時期が早過ぎます。  しかし、チェルノブイリからの経験に基づきますと、甲状腺がんの疾患数が、長年に亘り、さらに増加していくことが予測されます」と、IPPNW副会長、ア レックス・ローゼン医師は説明する。

甲状腺がんは、放射能汚染が人々に及ぼす健康影響のほんの僅かな一部を提示しているに過ぎない。IPPNWは、過去の原子力事故の体験に基づき、① 白血病、②リンパ腫、③固形がん、④心臓血管系疾患、⑤ホルモン障害、⑥神経障害、⑦精神障害などの罹患率の上昇を予測する。 さらに、精神的外傷や当局に失望させられ、放置されたという感情が及ぼす、甚大な心理社会的影響が付け加えられる。

以上

*(注)何千、何万という「がん疾病」の過剰発生: フクシマ核災害がなかったら、がんを発病をしなかったであろうという人々がフクシマ核災害が誘因となってがんを発病する。そういった人々の数が何千、何万になるであろうということを意味する。

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2921:150305〕

甲状腺がんは氷山の一角にすぎない


Deutsche Welleがアレックス・ローゼン医師(IPPNW)にインタビュー: ローゼン医師 「フクシマにおける子供たちの甲状腺がんは氷山の一角にすぎない」

このインタビューは、ちきゅう座で1月10日にご紹介させて頂きました、IPPNWドイツ支部公表の論評「甲状腺がん症例がさらに増加」に関連したものです。

インタビューの最後にアレックス・ローゼン先生は、こう述べています:

『我々は、「人々が放射能汚染された環境に残るのか、そこを去って移住するのかについて、自分たちで決定することができないということ」 を批判します』と。

このローゼン先生の言葉は、岐阜環境医学研究所所長、松井英介医師、そして国連特別報告者、アナンド・グローバ氏の訴えでもある「被災者は健康な環境に住める権利があり、移住したいと願うのなら移住できる権利がある」ということに、共鳴するものです。

フクシマ大惨事から4年、状況が日々悪化していく中で、今、緊急にフクシマの被災者の方々に援助の手を差し伸べることこそが、政府に課された最大の義務であり、何よりも最も優先しなければならない課題ではないでしょうか。

原文(独語)へのリンク:http://www.dw.de/rosen-schilddr%C3%BCsenkrebs-bei-kindern-in-fukushima-ist-nur-die-spitze-des-eisbergs/a-18176688

ドイチェ・ヴェレ (Deutsche Welle)

ローゼン医師: 「フクシマにおける子供たちの甲状腺がんは氷山の一角にすぎない

2015年1月9日

(和訳: グローガー理恵)

フクシマ原発大災害の後、子供たちの甲状腺がん症例数が増加している。 大人は全く甲状腺検査を受けていない。 核戦争反対医師団 (IPPNW)のアレックス・ローゼン医師は日本の当局を批判する。

–  Deutsche Welle (以下DWと省略): 甲状腺スクリーニングは、どのような検診が土台となって行われたのでしょうか?

Alex Rosen (以下ARと省略): 日本の甲状腺集団スクリーニングは、福島県全域における年齢18歳以下の子供たち36万人以上を対象にした大規模なスクリーニングに関わるものです。 今までに、このような検査が行われたことはなかったのです。 先ず、住民からの大きな圧力があって、検査が実施されるようになりました。 

スクリーニングの土台となった検診は、甲状腺の触診、そして、甲状腺の結節、嚢胞またはがんの疑いある異常に関する超音波検査です。 当局 は、それぞれの検査結果を公表することを躊躇しています。 多くの親達は、検診が大急ぎでなされたことや検査結果を通知してもらえなかったことの不満を訴 えています。 また、指令によって、他の医師たちはセコンドオピニオンを与えることを禁止されているのです。

–  DW: 60,505人の子供たちが再検査 (本格検査 )されて、その内の57.8%に結節や嚢胞が見つか りました。 これらの数値は、どのように評価されるのでしょうか?

AR: これは、正確には言えないことです。 なぜなら、これと比較できるような全世界に及ぶ国際的なスタディーが存在しないからです。 ですから、ある健康な年齢18歳以下の人口集団において、実際に、嚢胞や結節の数が、いくつなら正常であるのかということが分からないわけです。 しかし、スクリーニングが始まったころ、日本の担当当局者らはこう述べました:  「検査で何も出てくるようなことはないだろう」と。 そうですから、検査によって、このような非常に多数の子供たちに異常が見つかり、100人以上の子供たちにがんの疑いありと分かったとき、彼らはびっくり仰天したわけです。 

これまでのところ、当局はずっとスクリーニング効果を引き合いに出しています。 我々は、集団スクリーニングにおいて確定される検出結果を、そのように(スクリーニング効果と)呼んでいるのです。

多数の健康な人が検査される集団スクリーニングでは、何年か後になってから初めて気づいたであろうというような疾患の検出結果がはっきりと 出ます。 すなわち、何の病気の症状もない患者たちを検査することで、それが時には、ある疾患の初期段階を発見することになることになるわけです。 集団 スクリーニングによって、症状のある人が医者にかかるまで待ってから明らかになる疾患の数よりも、もっと多数の疾患数を見つけることができます。

新しい(本格検査の)データをベースにしますと、この2年間の間に、結節や嚢胞、そして、がん疾患が新たに生じた子供たちの数が多いことが分かります。 このことを、スクリーニング効果」で片づけることはできません。

–  DW:チェルノブイリでの経験に従って判断すると、フクシマ地域の住民には、がん疾患する高いリスクがあるということを予測しなければならないのでしょうか?

AR: その通りです。 我々は、1986年にウクライナで起こった原発事故を通して、放射性放射線の、そして何よりも放射性ヨウ素の放出が、特に甲状腺がん発病のような極めて深刻な健康被害をもたらすことを学びました。 日本では2011年3月に、多量の放射能が放出されました。 人々は、水、空気、食べ物を通して放射性ヨウ素を吸入しました。 放射性ヨウ素は、とりわけ、子供たちや青少年の甲状腺に付着して、そこで 甲状腺がんを誘発するのです。 これはよく知られていることです。 それだから、我々は、今後数年間、何十年間の間に、日本において甲状腺がん発病率が増加することを予測しているのです。 悲しいことですが。

–  DW:想定可能超大規模原子力事故の後、なぜ甲状腺という器官は健康被害に冒されるのでしょうか?

AR: 原子炉大災害により、放射性物質は環境中へと広まっていきますが、その放射性物質の中にヨウ素131があるので す。 身体は、普通のヨウ素と放射性のヨウ素との区別をすることができず、呼吸する空気、食べ物、水を通して放射性ヨウ素を吸入してしまいます。 ヨウ素 は甲状腺ホルモン生産に必要な元素です。 ヨウ素131は周辺の組織を被曝させ、甲状腺の異常や発がんを誘発していく可能性があります。 

原子炉事故の後、通常は、予防ヨウ素剤が全住民に配布されるべきなのです。 予防ヨウ素剤を摂取すれば甲状腺がヨウ素で詰まって、放射性ヨ ウ素を吸入できなくなります。 日本では、こういった知識があるにもかかわらず、ヨウ素剤の摂取がなされませんでした。 この事も、また日本の災害管理に 関して批難すべき点です。

–  DW: 多数の子供たちに転移が見られました。 そして、甲状腺の部分的摘出手術が実施されなければなりませんでした。 これは、子供たちの人生にとって、どのようなことを意味しているのでしょうか?

AR: 「がん」の診断結果が出た子供たちの数は112人です。 その内の84人 に転移があり、がんが拡がってしまっていたり、または、がんが非常に大きかったため、子供達の命にかかわるような問題となっていました。 それで、彼らは 手術を受けなければならなかったのです。 甲状腺の部分が摘出された場合、子供たちは一生、甲状腺ホルモンを摂取していかなければなりません。 しかし、 過酷なファクターは、彼らが生涯ずっと、超音波検査や血液検査などのアフターケア検診を受けていかなければならないことです。 なぜなら、いつでも再発す る可能性があるからです。 甲状腺がんのために死に至るケースは、甲状腺がん症例のおよそ7%ぐらいです。

–  DW: 大人はフクシマ原子力事故の後、検診を受けていないのでしょうか?

AR: 受けていません。 日本の大人は、一般に、この疾患に関する検診を受けていません。 また、そのような計画もありません。 大人が甲状腺がんを発病するリスクというのは、そんなに高くないのです。 これはチェルノブイリの経験から分かっていることです。

甲状腺がんは最も早い時期に現れる病気であり、氷山の一角にすぎません。 我々は、他の疾病の発生を予測しているのです: 放射線によって、白血病、乳がん、腸がん、心血管疾患が誘発されます。 日本では一般に、これら全ての疾患に関する検診が行われていません。

–  DW: 原子力災害から4年近く経って、もうすでに長期的な健康への影響を評価することができるのでしょうか?

AR: いいえ、できません。 我々は、潜伏期間が長い、すなわち、これから40年後になってから現れるような可能性の ある幾つかの疾病を予測しています。 これは、原子力災害時に生まれた子供たちは、放射線による影響が原因となって病気になる、高いリスクを生涯抱えてい くであろうということを意味しています。 この事が、健康影響の科学的な研究調査作業をする上で難題となります: がんという病気は、その出所の表示を掲げていないのですから。 我々が、発がんの原因がフクシマの放射性放射線によるものなのか、それを確実に証明できるようなことは決してないでしょう。

-DW: 核テクノロジーのない世界を促進する、国際的に組織化された医師団であるIPPNWは、どのような援助を提供していますか?

AR:  IPPNWは、日本の医師たち、科学者たち、被災者の方々、そして市民社会との繋がりを持っており、スクリーニング(検診)のデータに関する我々の解釈や 我々の「ノウハウ」を、彼らに提供しています。 これは、我々がチェルノブイリ災害後にウクライナやベラルーシで集積してきたものです。 我々は論説を書 き、それが日本語に翻訳されます。 日本から専門家をドイツやベラルーシに招き、そこで彼らが専門家たちと意見交換できるようにしています。

我々の仕事は、何よりも先ず、科学的、医学的分野において進められます。 日本は経済的に豊かな国です。かつてのチェルノブイリ事故後の状況とは違い、我々が日本に医療援助を提供する必要はありません。 チェルノブイリ事故があった、あの頃は、ドイツからの献身的な医師が超音波機器をウクライナへ持っていったり、病院を建てたり、被災者を検診したりしまし た。

日本の人々が必要としているのは、そして、彼らが国内のメディアから得られないものとは:  信用できる、真実性が確認された情報であり、自分たちの持つ 「健康への権利」が真摯に受け止められているのだということを、彼らが感知することです。

日本で、そのような事は起こっていません。 人々は放射能汚染された環境で生活することを強いられています。  ほんのわずかな人たちだけが、このような環境から離れられる可能性を持っています。 でも、そうすると、彼らはもう医療支援を得られなくなってしまうのです。

我々は、「人々が放射能汚染された環境に残るのか、そこを去って移住するのかについて、自分たちで決定することができないということ」 を批判します。

以上

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2910:150224〕

甲状腺がん症例数がさらに増加


IPPNWドイツ支部

(和訳: グローガー理恵 )

2015年 1月 6日

福島で甲状腺集団スクリーニングの最新データが公表された。 データは初めて、日本の子供たちにおける甲状腺がんの新規症例数の増加を示している。 最初の一巡目のスクリーニング(先行検査 )の枠内で既に、84人の子供たちに甲状腺がん診断が確定され、その中の一部には既に転移が見られた。 その結果として、これらの子供たちにおいて甲状腺の部分的摘出手術が実施されなければならなかった。 さらに、24人の子供たちに、「がんの疑いあり」との細胞診の結果が出ている。 これまでのところ、日本の当局は、これら全ての症例は所謂「スクリーニング効果 (独語:Screeningeffekt )」に起因するものであるとしている。 「スクリーニング効果」とは、まだ臨床症状がなく、もっと後になった時点になってから初めて臨床症状が出たであろうという症例が、集団スクリーニングで発 見されることの知見を説明する用語である。

しかし今、最初のスクリーニング(先行検査)で既に把握されていた子供たちにおける再検査 (本格検査 )の最初のデータがある。 これまで、60,505人の子供たちに再検査が実施され、その内の57.8%に結節もしくは嚢胞が見つかった。 最初のスクリーニング(先行検査 )において、これらの(結節もしくは嚢胞が見つかった)割合は、まだ48.5%であった。 これを具体的な数値で表すと:  最初のスクリーニング (先行検査 )においては、まだ何の異常も見つからなかった12,967人の子供たちに、現在、再検査(本格検査 )で、嚢胞と結節が確認されたということである。 しかも、その内の127人に見つかった嚢胞/結節のサイズが非常に大きいため、さらなる解明が緊急に必要とされている。

また、最初のスクリーニング(先行検査)で小さな嚢胞もしくは結節が見つかった206人の子供たちの再検査において、非常に急速な(嚢胞/結節の) 増大が確認されたため、さらなる診断検査が始まった。 目下のところ、これらの子供たちの内11人に穿刺吸引細胞診がなされ、今、その中の4人にがん疾患の ‘強い 疑い’がある。 これら(4人)のケースにおいて、がん疾患の診断が確定されるのであれば、もはや、この事を「スクリーニング効果」で理由づけることはできなくなる。なぜ なら、これは、過去2年間の間に発生した新規症例に関わる問題となってくるからである。

「確かに、原子力災害による長期的な健康影響を評価できるには、まだ時期が早過ぎますが、これらの最初の検査結果は確かに憂慮すべきことです」と、IPPNW副会長、アレックス・ローゼン (Alex Rosen) 医師は説明する。

「これまでのところは、まだ再検査結果の部分的なデータのみが提供されているだけです。 チェルノブイリからの経験に基づきますと、甲状腺がんの疾患数が、さらに長年に亘り増加していくことになるでしょう。」

UN (UNSCEAR)によって出されたデータに従えば、フクシマ原子力災害がもたらす健康影響として1,000件以上の甲状腺がん症例数が予測されている。 一方、UNは彼らの算定を疑わしい仮定に基づかせているため、実際に予期される症例数は、多分、その何倍も高い数値となる。

同時に、甲状腺がんは、放射能汚染が人々に及ぼす健康影響のほんの僅かな一部を提示しているに過ぎない: 過去の原子力事故の体験に基づけば、①白血病、②リンパ腫、③固形がん、④心臓血管系疾患、⑤ホルモン障害、⑥神経障害、⑦精神障害などの罹患率の上昇 が予測される。 さらに、精神的外傷や当局に失望させられ、放置されたという感情が及ぼす心理社会的な影響を無視することはできないということが、付け加えられる。
福島や日本におけるその他の放射能汚染地域の人々が緊急に必要としているのは:

①包括的な医療支援/アドバイス

② それぞれの人々の必要に適合した透明な健康診断の提供

③ その提供された健康診断によって、疾病を早期発見し早期治療できるようにすること

④ 患者が自分たちの健康診断の結果にアクセスできるようにすること

現在、日本では、これら全ての事柄が存在していない。

IPPNWドイツ支部は当局責任者に訴える:

「被災者になおこれ以上の健康被害が発生することを防ぐために、必要な措置を講ぜよ」と。

 

以上

県民健康調査「甲状腺検査(先行検査)」結果概要PDFへのリンク: http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96850.pdf

県民健康調査「甲状腺検査(本格検査)」実施状況 PDFへのリンク: http://www.pref.fukushima.lg.jp/uploaded/attachment/96851.pdf

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/
〔eye2866:150110〕

【報告】健康管理のあり方めぐり、厚労省・環境省と交渉


満田夏花

「放射線被ばくと健康管理のあり方を考える市民・専門家委員会」(事務局:FoE Japan)は、9月11日、参議院議員会館にて、環境省・厚労省交渉を行いました。下記のサイトに図と報告を掲載しました。
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/140911_report.html

交渉は、市民側は、吉田由布子さん、崎山比早子さん、山田真さん、阪上武さん、瀬川嘉之さん、温品淳一さん、木本さゆりさん、中井ゆみこさん、伊藤恵美子さん、きくちゆみさん、福島から、高橋誠子さん、橋本さん、田口さん、人見やよいさん、森園かずえさんなどが参加しました。満田が司会進行を務めました。
福島みずほ議員が同席してくれました。
名前上げきれなかったので、漏れていましたらすみません。

交渉の背景については、以下のURLにまとめています。
http://hinan-kenri.cocolog-nifty.com/blog/2014/09/911-1030-4438.html

OurPlanet-TVで当日の模様をみることができます。
http://www.ourplanet-tv.org/?q=node/1831
冒頭の吉田さんのプレゼン、13分くらいからの厚労省とのやりとりは、ぜひご視聴ください(後半の環境省とのやりとりは、ダメダメな感じですが)。

まず、主催の市民・専門家委員会の委員で、チェルノブイリ被害調査・救援 女性ネットワークの吉田由布子さんが、短いプレゼンを行いました。
(たいへんすばらしいプレゼンで、パワポ資料も貴重なものなので、ここだけでもぜひご覧ください。本メールの末尾にプレゼンのポイントを記しました。)

その後、厚労省・環境省と質疑を行いました。

【厚生労働省】
質問:
福島県では福島原発事故当時18歳未満であった人々に約、30万人の検査で、甲状腺がんないし疑いが103名出ている。福島県立医大は原発事故との関連はないとしている。一方、一部医療者の間で「過剰診療」と言った言説も出ている。
福島県立医大で手術された54例のうち、8割の45名は腫瘍の大きさが10ミリ超かリンパ節転移や肺転移(2名)があり、残り9名は腫瘍が10ミリ以下で転移はないものの、うち7名は「腫瘍が気管に近接など」のリスク例、2名は経過観察でもよいと判断されたが、本人や家族の意向で手術したとされている。手術した54
名の約9割が半摘ということである(2014年8月29日、日本癌治療学会にて福島
県立医大の鈴木真一氏発表)。
福島県で発見されている甲状腺がんについて、保健・公衆衛生、がん検診の見地から、厚生労働省のお考えを伺いたい。

回答:厚労省としては、がん検診については、科学的見地を踏まえて行うべきという立場。
甲状腺癌については、一部検診が実施されているが、成人において死亡率減少のエビデンスが得られていない。過剰診断による不利益の指摘もある。
子どもについてはいまのところ十分な科学的なデータの集積がない。今回の状況については、注意深く推移を見守っていきたい。

吉田由布子さんから「おとなの死亡率が高くないといっても子どもはわからないのではないか」「チェルノブイリの状況をみても、子どものうちに甲状腺癌になった子どもたちがその後さまざまな健康影響が生じたりもしている」「いつまでデータを集積されるのでしょうか」といった指摘がありました。
山田真先生が、「福島の子どもたちのことが心配ではないのですか?」という問いかけが印象的でした。

厚労省の藤下課長補佐は、この問いかけに対して、かなり真剣になって、答えてくれたと思います。今後の厚労省の対応をフォローしていきたいと思います。

質問:福島県民健康調査検討委員会や環境省の「東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康診断のあり方に関する専門家会議」では、がん検診のあり方にまで言及されていまる。しかし、現在の事態は既に環境省の対応する範囲を超え、日本の保健・公衆衛生、がん検診を担当する厚生労働省が、早急に研究班の設立などを行い、対応を示さなければならない問題であると考えるがいかがか。

回答:あらたながん検診をはじめるには、死亡率が低下するというエビデンスや、不利益がすくないという根拠がなければならない。

質問:福島原発事故後の住民の健康管理体制の構築に当たっては、省庁横断的に取り組むべきであると考えられるがいかがか。環境省との連携はどのようにされているか。

回答:省庁横断的に取り組むべきという点については、その通り。厚労省は、福島県民健康調査委員会、環境省専門家会合にもオブザーバーしている。

【環境省】 環境省とのやりとりは、かなり空虚な部分が多かったため、記録する価値のある部分だけについてポイントをまとめます。

質問:
福島原発事故後の住民の健康管理に関する所掌が、厚生労働省ではなく、環境省に置かれたのは、なぜか。法的根拠などが存在するのか。その場合、その箇所を示されたい。

回答:もともと、環境基本法、環境省設置法で、環境省は公害の予防を所掌することになっているが、その中に、「放射性物質を除く」という文言があった。このたび、平成24年の原子力規制委員会設置法により、その「放射性物質を除く」が削除されたため、放射性物質による健康被害の未然防止も環境省が所掌することになった。

注)しかし、これは厚労省が所掌しないということに対する説明ではないように思います。さらに、福島における甲状腺癌の増加は、「放射性物質の影響ではない」というのがいまのところの政府見解であり、環境省の専門家会合も結論こそだしていませんが、そのような方向性でまとめようとしています。矛盾しています。もう少し我々側での法的検討が必要かもしれません。

質問:
復興庁、内閣官房、外務省、環境省は、2014年8月17日、「放射線についての正しい知識を。」と題する全面広告の政府広報を出した。
これは中川恵一氏の談話の形式をとり、「100mSv以下の被曝ではがんの増加は確認されていない」「原爆被ばくの遺伝的影響はなかった」などの内容であるが、誤りもしくは根拠不明な記述が散在しており、問題が多い。我々の税金で、このような広告を出されては困る。この根拠を示してほしい。

環境省:すぐには答えられない。なお、当方は、この広告の内容を事前には確認していなかった。

市民側:しかし環境省名で出ている。事前に確認していないわけはない。担当部署は、「射線健康管理担当参事官室」のはず。これについては、後日、再度、質問を送らせていただく。

質問:
「福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方」に関して、被災当事者や一般市民の声を聴く場を、環境省として正式に設けるべきだと考えるが、いかがか。少なくとも標記専門家会議の取りまとめ結果についてはパブリック・コメントに付すべきだと考えるが、いかがか。

環境省:専門家会議とも諮り、検討する。一方で、早く取りまとめを行わなくてはならない。

市民側:今までダラダラと線量評価ばかりやってきていた。今になって急がねばならないことはないはず。それとも来年度の概算要求に反映するという明確な方針があるのか。

環境省:そのような方針はない。

※環境省の専門家会議は、どうやら、「何もやる必要はない」という結論ありきで開催しているような疑惑が生じています。

質問:
8月27日に示された「健康管理のあり方に関する主な論点(案)」に関して、これまで委員、外部専門家、市民等から指摘のあった、以下の事項が含まれていないのはなぜか。

①甲状腺がんや心の健康以外の多様な疾病に着目した健診項目の拡大
②避難区域からの避難者向けに行われている健診の地理的拡大
③福島県外での健診の実施

環境省:これから、専門家会合の委員の指摘も踏まえ、改定していく。

市民側:これらの点をぜひ明確に盛り込んでほしい。

環境省:ご意見として承る。

※そのほか、専門家会合で招聘された外部専門家からの意見が反映されていないことや、「健康リスク評価の各論点に関するこれまでの議論」(第9回会議・資料2)の問題点などを具体的に指摘しました。詳細は、以下の質問書の「6.」をご覧ください。
https://dl.dropboxusercontent.com/u/23151586/kankyosho_korousho_shitsumon.pdf
しかし、環境省からは、「ご意見として承る」という回答しか得られませんでした。

最後に、市民側として、以下を要請しました。

・長瀧座長は、外部専門家の意見を無視し、強引な議事運営が目立つ。低線量被ばくワーキングのときも、招聘された外部専門家を威嚇するような態度であった。委員会の構成を抜本的に見直すべき。

・診療報酬に放射線障害が対象として記載され、一定の検査ができるようにしてほしい。

政府側対応者:
<厚生労働省>
・健康局がん対策・健康増進課 藤下課長補佐
・ 同 中川係長
・大臣官房厚生科学課健康危機管理・災害対策課 姫野室長
・ 同 亀山補佐
・ 田中主任
<環境省>
・環境保健部放射線健康管理担当参事官室 参事官補佐 鈴木・後藤・藤井

※当初、直接「専門家会議」に実質的にかかわっている佐藤参事官補佐が出席予定だったのですが、「急用ができた」ということで、鈴木さんがピンチヒッターとして出席されました。
鈴木さんはおそらく誠実な方で、批判することは申し訳ないのですが、それでもまったく内容的なことは答えられませんでした。

以下は吉田由布子さん(「チェルノブイリ被害調査・救援」女性ネットワーク)のプレゼンの主たる内容です。画像はすべて吉田由布子さんのパワーポイントファイルからの引用です。

・東電福島事故とチェルノブイリ事故(初期避難者は除く) 実効線量は変わらない。むしろ福島の方が高め? ・UNSCEAR2013年報告による 大気中ヨウ素131の拡散状況を見ると プルームは何度も福島県の県境を越えて、広範囲にわたって広がっている。関東にも達している

(UNSCEAR、アニメーション 2011年3月11日18時~4月1日01時)
http://www.unscear.org/unscear/en/publications/2013_1_ATT.html

・環境省の専門家会合は、以下の点で問題あり。
– 長時間の議論で、現段階でのデータの不十分性・不確実性が浮き彫りにされた。断定的評価は無理。原爆もチェルノブイリも線量把握と評価、線量再構築に長期間を費やしている。今後も線量再構築に向けた情報収集と分析が必要。
– 健康管理については、やっと議論が始まったばかり。外部専門家の意見は考慮されていない。被爆者援護法やチェルノブイリの健康管理に学ぶことは多いはずだが、論題に載っていない。

・一方、福島1県で子ども・未成年層に103名もの甲状腺がんまたはその疑いのある者が見つかっているが、国(厚労省)として何らの評価や対応もない。
・チェルノブイリ原発事故後、甲状腺がん以外、あらゆる疾病が増加した。

・私たちは、もっとチェルノブイリ原発事故後の対応や、「被曝者援護法」に学ぶべき。

・福島原発事故によって被曝した人たちに対する健康管理体制は、福島県民に限られていたり、避難指示区域と区域外に健診の内容に差があったり、合理的ではない。

・予防原則および「子ども・被災者支援法」に のっとり、 (1)健診エリアの大幅な見直し (2)健診項目の大幅な拡充 (3)居住地選択の権利の保障、保養を含めた 総合的支援 (4)科学的な検証に活用可能なデータベース の構築 (5)国の責任による一元的取り組み (6)被災者の信頼を得られる体制の構
築 これらの実現を!

以上、吉田由布子さんのプレゼン内容より。

IPPNWドイツ支部:「システマティックに核災害の結果を過小評価」


グローガー理恵

IPPNWは、この記事の中で、当局によって汚染区域に設置された放射線モニタリング・ポストの殆どが実際の線量よりもはるかに低い線量を表示して いることや健康管理当局が被災者の健康被害を故意に過小評価しようとしている、いわゆる「システマティックな核災害結果の過小評価」を暴露しています。

なお、この記事を和訳することの快諾をIPPNWドイツ支部のプレス担当者、ヴィルメン氏から得ることができましたことをお伝えしておきます。

原文(独語)へのリンクです。http://www.ippnw.de/startseite/artikel/440830c468/systematische-verharmlosung-der-fol.html

 IPPNWプレス・リリース 2014年 2月 17日

システマティックに核災害の結果を過小評価 

原子力大災害後の日本で生きること

(和訳:グローガー理恵)

原子力大災害から3年経っても、やはり日本当局の秘匿、もみ消し、否定が続いている。しかも、不都合な事実の秘密保持が、新制定された日本国家秘密 保護法によって、更に容易くなり(秘密保持できる)範囲が広まった。もみ消しは既に、当局設置の放射線モニタリング・ポストで始まっている。

彼らは環境放射線量をシステマティックに縮小表示しているのである。「3,141ある当局設置の放射線モニタリング・ポストの80パーセント以上が 低すぎる局所線量を表示していて、実際の放射線量の半分から⅔までの量だけしか表示していないことが度々ある」と、環境ジャーナリストのアレクサンダー・ ノイロイター(Alexander Neureuter)氏は、彼のフクシマ地域での調査について報告している。一方、日本の環境省は放射線測定装置が構造上の欠陥を示していることを認め た。: 装置の測定センサの周りに、間断なく電力を供給するための鉛の蓄電池が設置されたのだった。しかし、鉛は最も放射線遮断性のある物質なのである。
それに加えて、放射線による健康被害がシステマティックに過小評価されている。原発事故当時、福島県に住んでいた18歳未満の子供たちや青少年たち 360,000人全員が甲状腺検査を受けている。しかし、診察担当の医師達は、病歴、触診、超音波検査を含めた全ての診察を、たったの3分以内に行うよう にと指示されていたのである。このような時間制限は、綿密な診察検査をする上で、全く現実に即していないことである。

検査結果は詳細に解説されておらず、診察結果や超音波画像、または医師のコメントなどのような診断証書が両親に渡されることは全くない。他の医師の セコンドオピニオンを求めることが予め考慮に入れられているようなことはなく、しかも、開業医達は被災した子供たちの診察検査を行わないようにと文書で指 図されていたのである。この次の超音波検査(再検査)は、一定の順番間隔により2年後にやっと実現されることになる。「結節の検出と次の再検査の間の期間 が2年間だというのは余りにも長すぎる」と、アレックス・ローゼン博士(Alex Rosen-IPPNW)は断言する。

2014年2月 7日、日本で、現時点における甲状腺検査のデータが公表された。2013年 12月 31日までに269,354人の子供および青少年が検査を受けた。: 受診者の47パーセントに甲状腺結節と甲状腺嚢胞が検出された。33人の子供達が甲状腺癌に罹っていることが確認され、さらに41人に悪性疑いがある。こ のことは、有病率 (検査時点の疾患数)が、住民100,000人中13.0人であることを意味している。日本の18歳未満の子供たちにおける通常の甲状腺-癌腫の罹病率 (発病者数)は住民100,000人中0.35人である。「それゆえに、福島における甲状腺癌症例数は憂慮すべきことだ」と、ローゼン博士は述べる。

2014年の4月から実施されることになっている集団スクリーニングの第2ラウンドが、実際の新症例数を決定することを初めて可能にすることになる。

更に、批判的コメントとして、ー 例えば、❶固形腫瘍-白血病-リンパ腫のような他の悪性疾患、❷白内障-内分泌疾患-心臓血管疾患のような非悪性の健康被害、❸被曝した集団における遺伝的影響などの診察検査が適切に為されていないこと ー を付け加えておく。

以上

〈記事出典コード〉サイトちきゅう座http://www.chikyuza.net/