IAEAの福島閣僚会合とフクシマアクションプロジェクト


吉田明子

(2013年1月23日、「女たちの一票一揆」院内集会での報告)

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吉田明子です。私はFoEジャパンでスタッフをしていまして、311の後からは原発エネルギー担当として福島の問題、原発の問題そしてエネルギー政策の問題 に携わっています。今日はIAEAの閣僚会議、「原子力安全に関する福島閣僚会合」が昨年12月15日から17日に開かれました。で、これに対して福島の女たちを初めですね、フクシマアクションプロジェクトという活動体を作って、このIAEAに市民の声を届ける、福島の声を届けるという活動をしてきました。このことについて簡単にご紹介したいと思います。

私は東京からこのプロジェクトに参加さぜていただいたんですけれども、一週間くらいその間ですね、福島と郡山に行ってきました。

IAEA, これは原発推進派の組織として、皆さん、当然、ご存知だと思うんですけど、これはIAEAのホームページで、about usというページを見ますと、このようにatoms for peaceというのが高々と掲げられていると、こういうことになっています。まあ、IAEAの成り立ちとして第二次世界大戦の後に原子力の平和利用という ことで1953年にアメリカのアイゼンハワー大統領がatoms for peaceという演説をしたというところから、それがまあ今にも引き継がれているというか、今だにこういう組織であるというものです。

IAEAweb

こ れは外務省の今回の閣僚会議に関するページなんですけれども、ここに今回の会議のプログラムですとか、様々な決定文書、それから後でご紹介しますけれども 福島県などとの協定文書がすべてこちらにアップされています。外務省のWEBサイトで、今ちょっと分りにくいところにあるんですけれども。

この「原子力安全に関する福島閣僚会合」なんですけれども、開催目的としては国際的な原子力安全強化に貢献することを主な目的としているという風に掲げられ ています。これはその閣僚会議の公式のサイトに載っているものなんですけれども、テーマが3つぐらいありまして、一つは「東京電力福島第一原発事故から得 られた更なる知見および教訓を国際社会と共有」すること。そして「原子力安全の強化に関する国際社会の様々な取組の進捗状況を議論」すること。そして3点目、「放射線からの人及び環境の防護について議論・共有」すること。

で、これと並んでですね、「福島の復興に向けた確かな歩みを国際社会に発する」と。こういったことが目的に掲げられて開催されました。で、これは会場の本会議場の前の一番目立つところに掲げられていたものなんですけど、 making nuclear power safer、まあ、もっと安全にというということが正面に掲げられていました。

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福島県郡山市で開催されまして、こちらの会議はですね、113ヶ国から約700名が参加したということで、この期間中ですね、郡山市はこの関係者、そしてスタッフの方で溢れていたんですね。で、スタッフの方はピンク色のジャンパーを着て、郡山の駅前だとか、各ホテル、まあ一つのホテルでは宿泊できないので何カ所かの、まあ7つか8つくらいのホテルに分れて宿泊していたんですけれども、それぞれのホテルのところにこのIAEA専用の受付があって、そこにまあ、 ピンクのジャンパーの人が常駐している、というような、まあ、ある意味で、賑いで開催されていました。

スケジュールはこんな感じだったんで すけれども、この前に14日に県内の視察ツアーというものが行なわれまして、浜通り・中通り・会津の3るのコースがあったと。そしてその夜に福島県産の農作物の安全に関する説明会のようなものも行われたという、まあ、積極的に復興をアピールするような、まあ;全体的には内容だったですね。

一日目、二日目と、全体会合というか本会合が開かれたいまして、その中では各国からの、117ヶ国の代表がそれぞれの国で原子力の安全についてどう考えているか、というような6分間のスピーチを開催していました。そして、二日目、三日目は専門会合ということで先程のテーマ、福島原発事故からの教訓、そして原子力安全の強化、放射線からの人および環境の防護ということで、それぞれテーマについて専門会合が開催されていました。

これは会場にパネル展示が幾つかあったんでしけれども、子供たちへの放射線教育、まあ、そういった授業をやっているというパネルですとか、それから「県民健康管理調査」についてもこういったパネルが整然を並んでいたんですね。

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これが全体会合の様子でこういう広い会場で開催さていました。

この12月15日、会議の初日なんですけども福島県とIAEAとの間で協定が結ばれました。覚書が結ばれたんですけれども、これは福島県とIAEAの覚書な んですけれども、3種類の覚書が締結されました。一つ目は「福島県とIAEAとの間の実施取決め」、これは福島県とIAEAとの間で今後、放射線モニタリ ングや除染について協力していく、これは三春町、そして南相馬市にIAEAと福島県による共同の研究センターが設置されて、そこでこういった除染の実験な どが行われていく、そして福島県立医科大学とIAEAとの間では県民健康管理調査、そして研究、啓発。この啓発というのは、放射線とはどういうものなのか、そのリスクだとかそういったものについて県民、人々にどう伝えていくか、ということについて協力していくということだそうです。

そして3つめが「務省とIAEAとの間の実施取決め」というもので、緊急時の対応、まあ、事故が起った時の対応について、協力していく。この3つの種類の協定が この会議で結ばれました。とは言っても原発推進のIAEAが福島県にやって来てこの健康問題、そして除染問題その他について協力するということは、 IAEAがチェルノブイリ事故の後にやってきたことを見れば、その影響を過少評価する、矮小化するとぴうことに他ならないだろう、ということで立ち上がっ たのがこのフクシマアクションプロジェクトなんですね。

このフクシマアクションプロジェクトは、今日はいらしていないんですけれども福島の佐々木慶子さんなどが中心になってスタートをしたんですけれども、11月24日に福島でキックオフ会合を開いて、出発しました。その時にはこういった覚書の内容だとか、どういったものになるか、まだ分っていなかったんです。けれども、とにかくこういった決定をする場に福島県民の、市民の声が届かないというのはいかがなものか。そんな県民不在で決めることは許されない、ということで、市民の声をこの場にいかに伝えるか、ということをまず主眼としてスタートしました。

この会議の情報とかも、外務省のホームページにアップされて、なかなか直前だったんですけれども、最初は一般市民の公開は予定され ていなかったんですね。で、それであれば現地の福島の状況については、福島県だとか、県立医大だとかが、代表して伝えるということにはなっていたんですけ れども、それではせっかく福島県で開催するのに市民の声を聞かないで、何の意味のある会議なのか、と。その点について訴えまして、で、辛うじてなんですけ れども、50人程度、事前に傍聴の登録をした人に限っては市民の傍聴も認められるですとか、それから直前になってですね、市民の声を、、福島県民に対する 説明会、どういうことを話して、まあ、郡山市で実際に開催するわけですので、交通規制含め様々な、まあ大規模な催しなので、市民に対してどういう意義があ るのか、どうやっていくのか、その方針などを説明する説明会を開催して欲しいということを要求しまして、これは12月9日の日曜日、この会議開催の僅か1 週間前だったんですけれども、そういった市民説明会が、郡山市で開催されることになりました。

で、その場でもですね、この本会議の場で、被 災者、福島県民の方から直接、意見を述べる場を持って欲しい、直接、会議の出席者に福島県の声を伝える場を設けて欲しいということを外務省に交渉しまし て、で、まあ、検討すると言ってくれたんですけれど、まあ1週間前だったということもあって、その会議のプログラムの中に組込むということは叶わなかっ た、しかし、そいういった声をですね、メールやファックスなどで外務省に贈ればそれを会場に掲示するということはこのフクシマアクションプロジェクトから の訴え掛けによって、実現しました。

これがそのメッセージボードですね。本当に普通のホワイトボードにプリントアウトした物が貼ってあるという簡素なものだったんですけれども、まったくこれが無ければ、政府と福島県が用意した美しいパネルが並ぶだけの会議だったかもしれないっていうところ に、生の声、こうした声が届きまして、資料にもあるフクシマアクションプロジェクトの要請書も、こちらに二日目には貼り出されました。

こういった形で、私たち、外務省と何とかお話しをしたんですけれども、少しずつでも市民の声に耳を固むけようという姿勢を引き出したという点でまあ、こうしたアクションを実際に起したことに意義があったかな、と考えています。

最初は目立たない場所に置かれていましたが、最後の日には、本会議場の目の前のよく目立つ場所に貼ってありまして、参加者の方も、「結構ですね、生の声」ということで、興味深くこの掲示板に立ち停って読んでいたり、写真を撮っている方もたくさんいたそうです。

これは12月15日なんですけれども、その要請書ですね、これをIAEAの担当の方に直接手渡ししたいという、この要求も佐々木慶子さんを中心に粘り強く外務省に交渉していまして、ついに実現することになりました。15日11時半からですね、何と30分以上にわたって、この寒空の下ですね、IAEAのスポークスマン、広報官の方が出てきて、この要請書の読み上げ、そして現地からの直接の声を聞いてくれました。

で、フクシマアクションプロジェクトとしてはそちらに要求事項を書いてあるんですけれども、1月の末までに文書で回答して欲しいということを伝えまして、その広報官の方からは、その点は強調して本部に伝えるという回答をいただいています。

もう一つ注目していただきたいのはこの被っているお面なんですね、これは人見やよいさんがデザインをしてくださったんですけれども、IAEA、福島でこれか ら活動していくんですけれども、決っして過少評価を許さない、それをしっかりと見ているという意志を込めたこの「眼」を着けてこのアクションをしました。

そ して12月16日、会議二日目なんですけれども、こちら市民会議を開催しました。で、フクシマアクションプロジェクトの関係者、そして海外からですね、 IAEAの本部があるウィーンからFoEオーストリアのラインハルトさん、そしてWHOの本部のあるジュネーブやパリのフランス厚労省の前で活動している クリストフ・エランさん、このIAEAやWHOに対して市民活動を続けているこのお二人を招いて、今後フクシマアクションプロジェクトはどういった姿勢で このIAEAを監視していくべきかということについて、会議を開催しました。

で、ここに元外務省の天木直人さんもいらしていただきまして、 ワワワの会のイベントのチラシが入っていますけれど、天木さんからは元外務官僚といった立場としてたいへん興味深いお話しをいただきました。まあ、外務省 の役人という、まあ、中にいるとですね、本当に大きな権力が動かす大規模なプロジェクトを淡々と進めなければいけない、そうすると市民の声とかを聞いてい ると、それを進めることができない、だから外務省の官僚は不勉強だし、情報もなかなか取り入れようとはしないというようなことを言っていました。本当にそれ、私たちのこのフクシマアクションプロジェクトを通じて外務省の方と話している中で感じたことなんですね。

で、その12月9日の説明会で も説明にきた外務省の方はですね、IAEAとWHOの協定についても、チェルノブイリの影響についても、知らなかったという風におっしゃっていました。で すので、まあ、粘り強くですね、コミュニケーションをして情報を伝えていくということが今後も引き続き必要だと実感しました。フクシマアクションプロジェクトは今週末、会議を開いて、継続していきますので、どうぞ宜しくお願いいたします。

汝の敵を知れ:国連の機能のし方


キース・ベイヴァスタク

IPPNWチェルノブイリ25周年集会(ベルリン、2011年4月11日)での講演に使用されたスライド

国際連合のある重要な特徴

関連組織や機構を傘下とするための「武器」が2つある:
1. 安全保障理事会(IAEAはここに入る)
2. 経済社会理事会(WHOはここに入る)

前者の傘下の組織や機構は、後者の傘下の組織や機構よりも、強い影響力を持つ

国連の組織や機構は、加盟国によって所有されている:加盟国があなたの金(税金)で組織や機構に支払いをしているのだ

国連は自身を一つの家族と見なしていて、組織や機構の各々は、この家族への忠誠を自覚している

組織や機構の責任領域に重なりのある時には常に、双務的な合意を取り交す; WHOでは、合意文書は«基本文献»と呼ばれているものの中に入っているーーほとんど聖典だ。

そこで、IAEAとWHOとの間には合意文書が存在する。そこには原子力に関するただの議論以上のものがある。WHOにとってはたいへん重大な要素がいくつもある。

様々な問題のある領域の中でも、原子力こそはもっとも重要な領域だ。どういう問題があるのか、注意深く、かつ精確に分析することが重要だ

WHOには公衆の健康防護し、保健の質を確保する権限があるーーWHOの「万人に健康を」政策:

IAEAには原子力の平和利用推進する任務があるため、核技術が安全な使用を確保する権限がある:

放射線が疾病の診断や治療に有力な道具である限りでは、2つの組織は協調し、相互に支援しながら、働いていけるように見える

核技術が«原子力»であるところから、問題が生じるのだ。

2つの組織の協働には明らかに利点がある:

低開発国に提供された放射線治療装置(charged particle generators)を例に取ろう: 装置の扱い者と患者とを、誰が後見するのか? 装置が誤用されていないか、誰がチェックするのか? 放射線測定の専門技能は基本的であるーー誰がそれを提供するべきかーーIAEAかWHOか?

同じく低開発国での、治療診断用の小さな放射線源を例に取ろう: 正しい保管、使用、余分な線源の処置を誰が指導するのか? ーー医学目的のものには違いないとは言え、WHOだけの責任分野になるのだろうか?

こういう領域こそがIAEAの任務ーーIAEAが推進する技術の安全な使用、それによってWHOの任務も拡充できるのが否定できないーーWHOには専門技能が欠けている領域

さて、原子力である:

IAEAは、不誠実にも、彼らは原子力の推進などしていない、求めに応じて援助をするだけだ、原子力の使用が、武器製造技術に転用されないよう監督するのだ、と主張する。後の方の論点は、IAEAが安全保障理事会という国連の武器の傘下になっている理由

不誠実に。IAEAで仕事をしようというような連中は始めから核推進派で、はっきり書いてあろうが無かろうが、組織の観点に隅から隅までバイアスを掛けるのは避けようがない

ここで少しばかり寄り道をして、脳について話をしよう

人類の進化の仕方によってこうなったのだが、脳は«記憶»を機能よりもむしろ、構造に即して扱っている。脳はソフトウェアではなくむしろ、ハードワイア、堅い針金細工のようなものだ。

何か役に立つ発見があると、その新しいものを「システムに針金で結い付け」れば、、失くして、«忘れられて»しまわないよう、サバイバルを強化することになる。

1950年代には、原子力は何でも解決できる答のような顔をしていた。来たるべき原子力の黄金時代にはエネルギーはメーターが不要になるくらいに安くなる。一世代が丸ごとそう信じ込まされ、それは頭脳に針金で結い付けられて、変えれないようである。

もちろん過大評価だった。故意にそうしたのだ。国連加盟国の一部が、核兵器を開発しようとし、プルトニウムを必要としていたのだ。イギリスでは、否認し続けられてはいるが、民間原子力プログラムはプルトニウムの生産のために運用され、今や100トンの在庫を抱えて、処分に困って核燃料に混ぜ込もうとしている(MOX燃料)。(これがA世代、核推進派の世代である)

1979年と1986年という2度にわたり、巨大で警告的な核事故を私たちは経験した。そして核の力はあまりに危険似すぎると誠実に(また理性的に)信じる世代が登場した(B世代)。サバイバルは危うくなってきた。

その結果、原子力は汎地球的に凋落に向い、能力のある原子力技術者や物理学者たちの中から、職を他に求める人たちが続出したーー核は黄昏れ産業と化した。こうした流れに、数週間前のフクシマは拍車をかけたに違いない。

2000年頃だが、汎地球的気候変化が重要な政治課題として浮上してきた。(A世代によれば)原子力こそ、解答である:もはや安いエネルギーではなくなったので、今度は低炭素のエネルギーだというわけだ。2つの事故の結果の矮小化を通じて、こうした見方は多くの人々を引き付けた。原子力ルネサンスが見込まれる(れた)。B世代の立場からA世代の立場へと転向した人々もいる。著名なところでは、モンビオ、ラヴロクなど。

かくて、今や、核の有用性の議論は二つの陣営に割れていて、共通の土俵などはないーーどちらにとっても、相手方は不合理で滑稽の極みだ。

しかし1980年頃には、一筋、光明もあった。その時代に、原子力の未来は«高速増殖炉»へと向っていた。この炉はウラニウムを製錬する必要がなく、プルトニウムを燃やすことができ、炉は天然のウランから燃料を「増殖」することができる。

1980年頃、ジアン=カルロ・ピンケーラというイタリアの核物理学者が、高速増殖炉は本質的に危険であることを示した。
ただ1本の講演録で、高速増殖炉はほぼ全面的に放棄された。私は1990年代の初めにピンケーラに会ったが、彼は「核の弁護人たちは死後硬直の瞬間に蹴りを入れてくる、注意したまえ」と警告した。

今まさに私たちはその蹴りを目にしている、しかし、彼らは多分、死んでなんかいないのだ!

フクシマ:この事故が原子力政治に与えるインパクトを見るには時期尚早である。

この寄り道のポイントは、WHOとIAEAの間の、私たちの直面している状況を説明するためであった。

私たちには、2つの決定的に対立した見方があり、一方は一方の陣営に、他方は他方の陣営にある。

国連はどう働くか?

私は下部から(技術スタッフの話から)始めよう。これだけは忘れないでいただきたい:
加盟国は国連に金を払っていて、だから利益を引き出そうとしている。

沃素安定剤のガイオドラインの作成過程を、例として取り上げよう。1997年に、IAEAのマルコム・クリクと、WHO欧州事務局が雇ったウェンドラ・ペイルとリーフ・ブロンクヴィストという2人の研究者とともに、技術スタッフ・レベルの連携プロジェクトとして始められたものだ。

1998年の中頃、ガイドラインの最初の草案が、IAEAとWHOとの管理者レベルで回覧された。

2つの組織の間には管理者レベルの明確な合意があったし、仕事はオープンに進められていた。ところがIAEAはここまできて引いてしまい、問題の部分があるから、そこの全体を省くか、見直すことを強く勧告した。問題の部分は、行動の実施規準となる子どもの甲状腺被曝線量を100グレイから10グレイに引き下げる提案であった。

1999年にWHO欧州事務局は、出版に向うべきだということでジュネーブ本部を説得した。

IAEAはガイドラインに「草案」であり単なる参考資料だとして繰り返し言及する、という形で応酬した。これはガイドラインに加盟国から疑いの目を向けられたこと、また、加盟国はこのガイドラインを採用しなかったことを意味する。

IAEAに従えば、加盟国の多くが、このガイドラインの新しい実施規準の部分が、「科学的に不十分」と見做していたという

そこでWHOのジュネーブ本部はガイドラインの弁護を拒んだが、欧州事務局は立場を変えなかった。

問題は2001年にウィーンで実務会議を開いて解決されたが、そこでは科学的不十分さなるものについて4日間以上もの間、議論された。

最終的に明かになってきたのは、フランスがコストを理由に反対していたということで、IAEAはフランスの利益に沿って行動していたのだということである

政治レベル(加盟国)がIAEAに圧力を掛ける
フランス

管理者レベルでは、IAEAは報告書への裏書を拒み、WHOはそれでもガイドラインを1999年に出版する。しかしIAEAはそれはただの「草案」だと主張し、ジュネーブのWHO本部も同意する
IAEA:アベル・ホンサレス
WHO:リヒャルト・ヘルマー、ミカエル・レパコーリ、アン・カーン

安定沃素剤ガイドライン策定のためのWHO/IAEA連合による技術共同作業(1997/99)
IAEAからマルコム・クリク
コンサルタント2名: ウェンデラ・ペイル、リーフ・ブロンクヴィスト

これに関しては、WHOとIAEAとの合意はまったく関係がない。IAEAは一加盟国の代理人として行動したのである。

今、必要なのは、公衆全体のレベルでの事故のインパクトを知るための戦略である。そうした時にのみ、政府が一般的に認めるよりもずっと酷い健康被害があるということを示すことができ、兵器と電力、というのも二つは繋っているからだが、その双方の領域で核の問題をキチンと議論することができる。

ここ2年間、欧州連合に援助されたグループが、健康調査の優先順位を見直す作業を続けてきた。

「チェルノブイリ調査計画」(ARCH)プロジェクトは完成し、「戦略調査計画」が公表されている(http://arch.iarc.fr)

ARCHは欧州連合に対し、広島長崎の原爆生存者に関して行なわれた諸研究にも似た、「想定寿命研究(LSS)」を、既存の諸研究をベースに進めていくための資金援助を、被害を受けた3国と協力して行なうよう、勧告している。

EUを説得して動かすには、政治レベルでのサポートが必要である。このことは今や急務で、IPPNWのような関係NGOがEUに対して圧力を掛けていく必要がある。

IAEAはこういう研究はしないし、WHOがもしすればIAEAは妨害してくるだろうと、いうことは確信してよい。

国連とIAEAとWHO


ロザリー・バーテル

「チェルノブイリ:信じられない失敗」(2008年)より

核事故の後の、放射線に関する健康調査、報告、援助について、IAEAの権限とされているものは、本来、権限が属していたはずのWHOに委譲されるべきです。ここで委譲というのは、言うまでもなく、WHOが放射線に関する健康問題を取り扱う能力を強化することを意味し、またIAEAから原子力を推進する権限を剥奪することも意味しています。WHOには現在のところ、この権限を遂行するのに必要な科学的素養のある人員が欠けています。この技術と、IAEA/ICRPの放射線研究独占に結びついた、歴史的秘密の故です。

1957年に、IAEAと国連との間で、「理解の覚書」が交されています。その中に一項目、たいへん議論の余地のあるものがあるのです:

第2条にこうあります:

「….情報の公開が(IAEAの)の何れかの加盟国の、あるいは誰であれ、その情報の提供元の「内密事項の侵害」になりうる時には、その情報は内密事項として保護を受けうる」

一国の内部でさえ、原子力産業はデータを専有しようとします。チェルノブイリの惨事には、サンクトペテルスブルク近郊の原子炉での、規模は小さいけれどもよく似た事故に、予兆されていたようなのですが。IAEAは1999年に、業界内部での秘密の緩和について、懸念を表明しています:

「原子力発電所に経験を積んでいない国々の中にも、そうした施設の建設と運転の企てへの関心を表明している国々があります….これら5つの(安全)課題を全うしーー適切な運転体験のより多くの分ち会い、共通の標準への強化された信頼、安全性の風土への世界規模の勇気付け、「核の安全協約」の強化、多国籍的設計の見直しの確立ーー汎地球的な安全体制は大幅に改良することが可能である。こうしたことは革命的な変化ではない。双方の上に、これまでも私たちに役立ってきた国際的協働の努力と各国的な体系とを作っていくものである。しかしそれらは、核技術が全人類の利益のために利用され続けていくことを、確実にするのを助ける」

1959年5月28日に、IAEAはWHOとの間に作業手順の合意をしました。それには次のような条文が含まれています。

第1条

2. 特に、世界保健機関の憲章と、国際原子力機関の憲章とに従って、また同じく、国際原子力機関が国際連合との間に取り結んだ合意書や、その合意書に関して交され書簡とに従って、また双方の協力関係において双方が互いに果すべき責任に照らして、世界保健機関は、国際原子力機関が、平和利用のための原子力エネルギーの研究および開発と実用とを、全世界で鼓舞し、援助し、組織する根本機関であることを認めるが、世界保健機関が、研究を含むあらゆる形態を通じて、国際的な保健活動を鼓舞し、開発し、援助し、組織する権利は損なわれないものとする。

3. 一方が、他方にとって多大な関心事である分野での、計画または活動を企てようとする度毎に、前者は後者に諮り、共通の合意において問題を処理するものとする。

IAEAとWHOとは、紙の上では「対等」ですが、この2機関の現実の権力の差は大きいのです。IAEAは核兵器の拡散を扱っているのですから、国連安全保障理事会に直接、報告をします。WHOが国連経済社会理事会に報告をし、その理事会が今度は、総会に報告するわけです。この手続上の慣習によって、WHOの声は、鈍いものにされてしまいます。これを治すには、IAEAの権限を核の拡散問題に限定し、原子力発電の推進ですとか、その他の原子力平和利用といった権限を剥奪することです。健康環境上の安全を語るWHOというものをしっかり認めて、WHOから安全保障理事会に直に報告するようにするのも、良い方法かもしれません。欧州には、国際再生エネルギー機関IREAを創設しようという、勇気を与えてくれる運動も存在しています。

国際原子力機関と世界保健機関との間の合意書


第1条  協力と協議

1 国際原子力機関と世界保健機関とは、国際連合憲章が立てた一般的枠組みの中で、それぞれの組織の憲章の条項が定義する目的を実現しやすくするために、緊密な連携のもとに行動し、共通利害に関わる問題については定期的に協議することとする。

2 特に、世界保健機関の憲章と、国際原子力機関の憲章とに従って、また同じく、国際原子力機関が国際連合との間に取り結んだ合意書や、その合意書に関して交され書簡とに従って、また双方の協力関係において双方が互いに果すべき責任に照らして、世界保健機関は、国際原子力機関が、平和利用のための原子力エネルギーの研究および開発と実用とを、全世界で鼓舞し、援助し、組織する根本機関であることを認めるが、世界保健機関が、研究を含むあらゆる形態を通じて、国際的な保健活動を鼓舞し、開発し、援助し、組織する権利は損なわれないものとする。

3 一方が、他方にとって多大な関心事である分野での、計画または活動を企てようとする度毎に、前者は後者に諮り、共通の合意において問題を処理するものとする。

第2条 代表の交換

1 世界保健機関の代表者たちは、国際原子力機関の総会に際して、世界保健機関の利害にかかわる議事日程に関しては、出席するよう招待され、総会およびその下部機関(各種の委員会等)の討議に参加するが、投票権はない。

2 国際原子力機関の代表者たちは、世界保健議会に際して、国際原子力機関の利害にかかわる議事日程に関しては、出席するよう招待され、議会およびその下部機関(各種の委員会等)の討議に参加するが、投票権はない。

3 世界保健機関の代表者たちは、国際原子力機関のガバナー会議の会合が開かれる時、世界保健機関の利害にかかわる議事日程に関しては、出席するよう招待され、会合および各種の委員会等に参加するが、投票権はない。

4 国際原子力機関の代表者たちは、世界保健機関の執行委員会の会合が開かれる時、国際原子力委員会の利害にかかわる議事日程に関しては、出席するよう招待され、会合および各種の委員会等に参加するが、投票権はない。

5 国際原子力機関と世界保健機関とが、双方のいずれかが主宰するこれ以外の会合において、他方の利害にかかわる問題を取り扱う時には、適宜協議を行なって、適切な態勢を取る。

第3条 情報および資料の交換

1 国際原子力機関と世界保健機関とは、提供を受けた情報の機密性を保つために、何らかの抑制的な手段を取るべき場合があることを認識する。本合意書の一方ないしは他方が、その所持する情報について、その公開が、その機関の何れかの加盟国、あるいは誰であれ前述の情報を提供した人の信頼を裏切ることになるか、またはその仕事の円滑な遂行を何らかの形で妨げる恐れのあると、判断した場合については、この合意書のいかなる文言も、情報の提供を義務付けているもののように解釈してはならないという点で、双方は合意している。

2 国際原子力機関の事務局と世界保健機関の事務局とは、ある種の資料の機密性が保たれるために必要な手段が取られるという条件付きで、双方にとっての関心事となりうる、あらゆる企画や計画にについて相互に承知しておくものとする。

3 世界保健機関の事務局長と、国際原子力機関の事務局長と、あるいはそれぞれの代理人は、双方のどちらか一方の求めに応じて、諮問会を開催し、どちらか一方のもつ情報がもう一方にとって関心事でありうる場合に、それを提供する場とする。

第4条 諸問題の議事日程への組み入れ

世界保健機関は、国際原子力機関から提起された問題について、必要に応じ前もって諮問にかけた後、議会または執行委員会の議事日程案に組み入れる。 同様に、国際原子力機関は、世界保健機関から提起された問題を、総会またはガバナー会議の議事日程案に組み入れる。一方から他方への討議を依頼する案件には、解説書を付帯するものとする。

第5条 事務局間の協働

国際原子力機関の事務局と世界保健機関の事務局とは、双方の組織の事務局長の間で適切な時期にとられる取り決めに従って、仕事上の緊密な協力関係を維持する。特に、双方に関係する問題を研究する際には、混合委員会を組織することができるものとする。

第6条 管理上、技術上の協働

1 国際原子力機関と世界保健機関とは、人員および資材をもっとも効果的に使用するために、また、施設や業務の創設や実働が、競合し、あるいは二重使用になるのを避けるために、適時協議を重ね、純正な方式を公けにする。

2 国際原子力機関と世界保健機関とは、国際連合のとっている一般的な態勢の枠組みの中で、人員配置の面で協力しあえるよう、以下の諸手段を取ることで合意する:

a) 人員の採用に際して競合を避けるための諸手段

b) 職務をより有効に役立てるために、双方の職員を、必要とあらば、一時的な場合と恒久的な場合とを含めて、より容易に交換できるようにするための諸手段。ただし、該当する職員のそれまでの在籍歴や職員住宅に関する権利、その他の権利が損なわれることのないように配慮するものとする。

第7条 統計業務

統計の分野でできる限り完全な協力を確かなものにするために、また情報の蒐集先である政府やその他の組織の負担を最小限にするために、この分野での協力のために国際連合がとっている一般的な態勢を考慮して、 国際原子力機関と世界保健機関とは、統計の蒐集と樹立と公表の過程で、不要な二重使用を避け、統計の分野での情報と原資料と技術職員とをもっとも効果的に使用する目的で、協議を行うこととし、また、双方の共通の関心事についてのあらゆる統計的作業についても同様とする。

第8条 特殊な任務の財源

一方の当事者による援助要求に応えることが、他方にとって多額の財政負担となり、またはその危険性があるとき、もっとも公正な形でその負担を処理できるよう、協議する。

第9条 地域事務局

世界保健機関と国際原子力機関とは、諸状況により必要とされる時には、双方のうちの一方が、もう一方が既に開設しているか、あるいはこれから開設しようとしている地域事務所あるいはその付属施設の、場所、人員および共用サービスを使用できるよう、協力態勢を整える目的で、協議することに合意する。

第10条 合意書の執行

国際原子力機関の事務局長と、世界保健機関の事務局長とは、この合意書を執行するために、両機関の経験の光に照らして望ましく思われる方向で、あらゆる態勢を取ることができる。

第11条 国際連合への通知。分類と目録への登録

1 国際原子力機関と世界保健機関とは、それぞれが国際連合との間に結んでいる合意に従って、この合意書の各条項を国際連合に対して直ちに通知する。

2 この合意書の発効に際しては、国際連合事務総長に対して、国際連合によって採択されている規則に従って通知し、分類と目録への登録を受ける。

第12条 改正と破棄

1 この合意書は、世界保健機関と国際原子力機関との、何れか一方の提議により、双方の合意によって改正されることがある。

2 この改正案が合意に至らなかった場合、どちらか一方の当事者はこの合意書を、任意の年の遅くとも6月30日までに予告することによって、その年の12月31日をもって解消できるるものとする。

第13条  発効

この合意書 は、国際原子力機関の総会と、世界保健議会との双方で批准を受けて、直ちに発効する。