国立環境研究所とセシウム入りのアンパン

竹内雅文

環境創造センターにはIAEAやJAEAと並んで国立環境研究所も参画することになって います。これは筑波に本部のある独立行政法人ですが、環境省のシンクタンクと位置付けられている機関です。例えば地球の温暖化とか、産業廃棄物の処理とか、リサイクルとかを研究してきたのですが、過去の実績一覧のようなものを見ると、放射能に関して格別のものはないように見受けられます。というか、リストに記載されていません。

2011年の原発震災以後は、それでもボチボチ、関連の研究に乗り出していて、幾つか報告書も検索することができ ました。その中から、「事故由来放射性物質に汚染された一般廃棄物の飛灰封込固形化実証試験」というものを読んでみることにしたいと思います。2011年11月の日付のある論文です。

国が進めている放射性瓦礫などの焼却に伴って、 放射性核種の濃縮した焼却灰が大量に発生し、フレキシブルバッグという名称のプラスチック系の材料の袋に詰められた状態で各地に積まれています。これを環 境省は、セメントと混ぜて固化せよ、という方針を出して、実施試験を下してきていたようです。けれども、セメントと灰とを均一に混合するというのは実際にやってみると、非常に難しいものなのだそうで、そこで、環境省から降りてきている指針には反するが、二重袋による固化というものを実験的にやってみました、というのがこの研究です。

灰の詰まったフレキシブルバッグより一回リ大きなフレキシブルバッグを用意し、それがピタリと収まる大きさに 木枠を組みます。底にスペーサーを置いて、その上にフレキシブルバックを置きます。そしてペントナイトモルタルという、一種のセメント材料を充填していくわけです。結果は、立方体のアンパンみたいになるわけです。

灰とセメントを攪拌する方法に比べて、この方法には、汚染灰の詰まった袋を開けなくて済むので、作業者が比較的安全であるという利点があり、また作業場も仮設的なもので良いことになります。

ペントナイトモルタルというのは、トンネル工事や空洞充填などに使用される、充填用のモルタルです。一種の粘土が、給水するとき一挙に10倍程度膨張することを利用した材料です。その時、同時に粘りも出るので、水の浸み出しが少ない壁になります。

しかし、ペントナイトの含有を高めれば粘りは強くなり、仕上りは良くなりますが、粘りのためにパイプを流れにくくなり、ミキサーと充填の場との距離をその分縮める必要が出てくるなど、一筋縄ではいかないようです。

またちょっとした水の温度や流速の違いで仕上りに割れ目が生じたり、剥離したり、あるいは途中で内側のバッグが浮き上がってしまうので押さえに工夫がいると か、最初に予定していたような立方体にならず、角が丸くなるとか、色々な問題点がゴチャゴチャ書かれていて、細かい条件を変えながらテストを繰返した結果、問題点は多々残っているものの、実用化の目処はついたとされています。一体につき、コストは8万円程度のものであるとも書かれています。

重量2,5tの固まりになり、これに線量計をあてると、はじめの状態に比べて、70%ほど低い値になるということです。コンクリート厚は100〜200mm 程度ということなので、ガンマ線を完璧に遮断するのは不可能なわけです。しかしこれ以上厚くすると、重くなり過ぎるとか、コストが上るとか、他にも色々あるのでしょう。

セメントの耐用年は、瓦では20年程度で、これは20年経過するとかなり割れやすく、葺き替え時になります。ECPという名称の押し出し成形板(建材)は、繊維などを混ぜ込んで近年、石綿入り建材の代りにしていますが、カタログには60年耐用とあります。

仮にペントナイトを混合したセメントが同程度の耐久性があったとして、セシウム137の半減期は30年ですから、60年後にはまだ4分の1は残っていることになります。また、地中に埋められた上に、高線量の電離放射線に晒され続けた場合に、普通の条件下と同等の耐久性が期待できるとは思えません。また、ペントナイトモルタルが一般化したのは最近ですので、確かな耐用データはまだ存在しないのではないかと思います。

今、福島第一の構内が汚水タンクで溢れ返っているように、今度はまた何れかの場所がコンクリートの固まりで溢れ返るのではないかという心配もするべきでしょうか。まあ、彼らは土に埋めてしまえばそれで済むと言うのでしょうけれども。


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